デイリー杯はこの時期の2歳重賞らしくメンバーレベルにバラつきはあるが、外回りのマイル戦で頭数も手ごろだから、レーヴディソールが楽勝したり、クラレントとダローネガが叩き合ったり、リディルとエイシンアポロンが叩き合ったり、先々芝1600m以上でオープンを張るような素材が出てくればだいたい勝ち負けになる。

　◎アトムが勝った新馬戦は3着だった○が次走圧勝したし、1-3着馬はいずれも説得力十分な血統配合で、かなりハイレベルな叩き合いだったと思っている。

　ホウライアキコは1400mベストとみているし、プライマリーコードも好素材だがどちらかといえばパワー型だから、ここは◎○の叩き合いの再現とみた。

　京都芝1600m外回りで行われるデイリー杯2歳S。この舞台を考えると、坂路調教馬が圧倒的に有利かと思いましたが、最終追い切り場所が栗東坂路は過去9年4勝。まずまずの好成績、調教適性はあると思いますが、そこまで抜けた数字でもありません。

　そこで、調べてみたのが、最終追い切りの「時計」。競馬予想TV!で使用している調教チャートの「スピード」は5段階になっていますが、それを区分別で検証しました。

【1】[1-2-0-13]
【2】[1-1-2-22]
【3】[1-4-5-31]
【4】[3-1-1-15]
【5】[3-1-1-1] 単1010%/複395%

※【3】が標準的な時計、回収率は100%超のみ表記。

　スピード【5】が圧倒的な良績を残しています。具体的な馬名を挙げると、2007年キャプテントゥーレが、最終追い切り栗東坂路4F49.8秒をマークして、3番人気1着でした。もちろん追い切り場所は坂路に限りません。2004年ペールギュントは標準坂路でしたが、最終追い切り場所はD芝コース。ここでスピード5をマークしていました。

　今年の出走馬でスピード【5】に該当したのは、◎ネロと▲アグネスドリームの森秀行厩舎2頭。パターンとしては、2007年キャプテントゥーレと同じ。順位付けは、最終追い切りで併せ馬に先着した方を上にしたという感じです。

1.アグネスドリーム
今回：標準坂路
前回：標準トラック

2.プライマリーコード
今回：標準坂路
前回：標準トラック

3.ジャックトマメノキ
今回：一杯平均トラック
前回：急仕上げトラック

4.ツァーリ
今回：標準トラック
前回：標準トラック

5.モズハツコイ
今回：標準多め坂路
前回：標準トラック主体

6.ホウライアキコ
今回：標準併用
前回：標準多め坂路

7.アトム
今回：標準多め併用
前回：標準併用

8.ピークトラム
今回：標準坂路
前回：標準坂路

9.オースミチャド
今回：一杯平均坂路
前回：標準多め坂路主体

10.ネロ
今回：標準坂路
前回：標準多め坂路

11.オトコギマサムネ
今回：標準少めトラック主体
前回：標準併用

12.ライザン
今回：乗込坂路
前回：標準多め坂路

2番：好馬体。
7番：馬体絞れた。
12番：グンと良くなった。これなら勝ち負け。

【鉄腕・鉄板アトム】アトムは、暮れの朝日杯FSも視野に入るだろう、ディープインパクト産駒の切れ者マイラー。デビュー戦は、前半1000mが1分2秒9のスローだけに、全体時計こそ平凡だったが、直線入り口で7番手という位置取りから計ると、ゴール前2ハロン推定10秒台を連発。坂のある阪神で、この加速ラップは秀逸。母は芝1800mの米国GI・ゲイムリーBCS勝ち。日本にはあまり馴染みのない牝系とはいえ、血統のバックボーンも確か。併せ馬では、まず負けたことがない。CWのチップを上がり11秒台で蹴立ててくる、集中力の高い調教内容にも素質のありかがうかがえる。対抗一番手はライザン。新馬戦はアトムの瞬発力に屈したが、次走はラスト3Fを、11秒0-11秒0-11秒5(3Fは33秒5)でパンチアウト。後続を0秒5と突き放す悠々の逃げ切り。走破タイムも2歳秋としては出色の1分48秒0。大幅なレベルアップをはたしている。ただ、中一週とローテはタイト。当日のパドックでイレ込み等の最終チェックは忘れずに。ライザンに思わぬ体調降下と折り合い難が生じれば、オトコギマサムネの末脚が一角崩し。ジャングルポケット産駒だけに、同じ末脚勝負型でも、ディープインパクト産駒のアトムとはタイプが違うが、初陣は大外一気に中京の坂を34秒2で登板。走破タイム・上がりラップは、同じ時期に1400mでデビュー勝ちし、後に新潟2歳Sを制したハープスターと、共通する部分が大だ。小倉2歳S2着のホウライアキコは、馬場に脚ととられながらもゴール前もうひと伸びを果たしているが、ヨハネスブルグ産駒だけに距離1600mが微妙。勝ち馬以外はレベル?の感じもあるが、新潟2歳S3着馬ピートクラムは、一戦ごとに馬体に実が入ってきた。函館組ゆえ、時計で能力を証明し辛いが、プライマリーコードは、センスも勝負根性もなかなか。

　デイリー杯は過去10年の勝ち馬のうち7頭が、前走で勝ったばかりの1勝馬。2着馬も4頭がそれにあたる。先に勝ち上がってオープン・重賞を使われていた馬のアドバンテージは意外に小さい。ただ、新馬を勝ちたての1戦1勝馬は人気になりやすい面もあり、馬券に絡んだ馬は4番人気以内ばかり。穴を狙うなら格下と思われがちな未勝利勝ち直後の馬だ。この組は(4.1.3.28)なのだが、2戦1勝の馬が(4.1.2.14)でそれ以外は(0.0.1.14)。当然狙うべきは前者だ。

　今年は該当馬が3頭いるが1頭はダートから来た馬なので除き、残る2択も函館の不良馬場を勝ってきた○アグネスドリームよりは中央場所で3→1着ときた◎ライザンのほうがアテにできるだろう。▲はそのライザンに新馬で勝っているアトム。決め手のある血統が強いレースなので、▲は血統的にも良い。

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【小波乱】ピークトラムを中心に推す。未勝利勝ち直後の前走・新潟2歳Sは勝ち馬に離されたものの、2着馬にハナ差の3着。末脚堅実で、メンバー的にも勝ち負けだ。アトムは非凡な瞬発力が武器。キャリア1戦だが素質は見劣らない。ホウライアキコはデビューから2連勝で小倉2歳Sを制覇。追ってしっかりしており、距離さえ持てば逆転も。センスのいいオースミチャドに、アグネスドリーム、オトコギマサムネ、ライザンを押さえる。

　◎アトムは「ディープインパクト×ラーイ」という組み合わせで、母シャイニングエナジーはゲイムリーH(米G1・芝9f)を勝った名牝。ヴィルシーナ(ヴィクトリアマイル、クイーンC)やトーセンラー(京都記念、きさらぎ賞)と配合構成がよく似ており、ディープインパクト産駒の配合としては文句なしに一級品。新馬戦は全体時計こそ遅いものの、ラスト2ハロンは10秒9-11秒3と速く、これを中団から差し切った瞬発力は目を瞠るものがあった。ディープインパクト産駒は京都芝外回りコースで勝率19.4%、連対率32.7%と、07年以降20走以上した種牡馬のなかでトップの成績。コース替わりは吉と出るだろう。新馬戦を勝ったばかりだがここでも十分やれる素材だ。

　2歳戦で最初のG2戦。過去10年で、このレースの勝ち馬からのちのG1馬が3頭出ています。夏のローカルの2歳G3とは、格の高さで一線を画します。早熟さよりも将来性、そしてマイル適性が求められるレースです。

　去年から施行時期が一週早められて、開幕週に繰り上がりました。前が止まりにくい馬場で行われたため、去年は先行した馬3頭での決着。しかも小倉2歳Sからの距離延長組が2・3着に入りました。ただ、勝ったのは芝1600の未勝利戦からの臨戦だったテイエムイナズマ。1200m以下しか距離経験のない馬は、なかなか勝ちきれない傾向が出ています。

　アトムは、評判馬の揃っていた秋の阪神開幕週の新馬戦を快勝。直線で前が詰まる場面がありながら鮮やかに差し切って、着差以上の強さを感じさせました。父はディープインパクト、母はアメリカでG1勝ちと、血統背景も申し分なく、今後も含めて楽しみな存在です。

　ピークトラムは新潟2歳Sで3着。ハープスターには突き放されたものの、早めに動きながら最後までしぶとく伸びました。ここまで4戦していずれも3着以内と、相手なりに走る馬で、レースぶりも器用。ここも大崩れはなさそうです。

　ホウライアキコは、新馬戦をレコード勝ちのあと小倉2歳Sを完勝。2戦2勝のスピード馬です。400mの距離延長は課題ですが、控えても競馬ができるところは前走で証明していますし、直線に坂のない京都ならば見せ場以上の期待も。

　プライマリーコードは新馬戦で牡馬の評判馬を一蹴。切れ味のあるクロフネ産駒で、上積みは充分です。ネロは馬場が堪えて小倉2歳Sは見せ場なく終わりましたが、最後は脚を使っており、むしろ距離が延びて良さが出そう。マラムデールは極悪馬場の札幌2歳Sでは切れ味を削がれましたが、良馬場ならば見直せます。ライザンは初戦でアトムの3着に敗れましたが、すぐさま未勝利戦を圧勝して、ここに進んできました。強行軍ですが参戦するようなら侮れません。

※月曜段階の予想ですので回避馬が含まれるケースがございます。あらかじめご了承ください。