【血統をなぞって】充実著しいティーハーフが中心。半兄ラッキーナインの香港短距離シーンでの活躍は日本でもよく知られているが、弟も5歳を境に三連勝。彦根Sの上がり33秒6も印象深かったが、函館SSは前半3F・33秒0というHペースに恵まれたにせよ、1200m戦で2着を2馬身半とチギる外一気。本格化の気配と洋芝適性の高さを同時に示した一戦だった。

対抗はレッドオーヴァル。馬場や輸送を選ぶタイプだけに、戦績にムラはあるものの、昨年の札幌シリーズは2戦1勝・キーンランドCで2着。続くスプリンターズSを3着した滞在型のスプリンター。UHB賞はハンデ差のぶん3着に終わったが、最速の上がりをマークし1分7秒6で駈けている。ローブティサージュもキーンランドC連覇に虎視眈々。イン強襲型の差し馬だけに、函館SSのように前が詰まるとお手上げ。馬群をいかにして捌くかが課題となるが、調整過程は昨年で学習済みだ。

1分7秒中盤の高速決着が微妙だが、オメガヴェンデッタは函館日刊スポーツ杯を楽勝。1200m転向と洋芝がハマった。UHB賞レコ勝ちのエポワスは、個人的には前走が目いっぱいのように思う。ただ、鞍上はモレイラ。札幌1200mのコース形態と芝は香港とよく似ているだけに、搾りきるように馬を動かしてくるかもしれない。ウキヨノカゼも、上がりだけなら前回で重賞に足りている。

　キーンランドカップはどちらかというと堅いレース。函館からのコース替わりがあってなお函館スプリントS上位組が引き続き好走する傾向にある。

　◎はティーハーフ。後ろから来る人気馬を軸にするのは嫌なのだが、ローカル小回りにしては差しがよく届くレースなので、アタマまで突き抜けるかどうかは別として馬券圏内には届いてくると考える。

　○はレンイングランド。◎と同様前走を評価しただけなのだが、前売りを見る限りあまり売れていないようなので、馬券上の妙味ではこちらということになる。

　▲にオメガヴェンデッタ。上がり馬としての魅力と既に重賞で好走しているという安心感の両方を備えた馬だ。☆にはエポワス。UHB杯組は例年過剰人気になりがちなのだが、この馬は北海道シリーズの短距離戦に強いファルブラヴ産駒という点と、鞍上モレイラが魅力だ。

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【伏兵注意】レッドオーヴァルは昨年の2着馬で、今年も叩き3走目での好勝負に期待。ティーハーフは差し脚強力で重賞連勝も視野に入る。オメガヴェンデッタも流れひとつで善戦以上が狙えそう。ウキヨノカゼは相手強化だが素質的に要警戒とみて押さえておく。ローブティサージュは前走大敗も本来の差し脚発揮なら食い込みも。タガノアザガルはムラだが好位付けが叶えば上位まで。

◎レンイングランドは、昨年末に直結コース中山芝1200ｍのオープン特別(クリスマスローズS)を勝ち、前々走にて直結コース函館芝1200ｍの函館スプリントS(G3)を12人気3着で馬券にからんだ。複数の直結コースを激走して、コース適性が高い。前走はコース形態がまったく異なる直線1000ｍを3人気8着に凡走したが、札幌芝1200ｍに替わることから巻き返しを警戒する。

▲ペイシャオブローは、昨夏に札幌芝1200ｍのすずらん賞(OPEN)を12人気ながら勝利した後、直結コースの福島芝1200ｍで福島2歳S(OPEN)を制した。昨年末以降は距離1400ｍ以上のレースを惨敗しており、適距離は1200ｍといえる。前走は札幌芝1200ｍのUHB賞(OPEN)を11人気5着に善戦、すずらん賞と前走の内容から洋芝は向いている。コース適性の高さから、大穴馬として注目する。

※月曜段階の予想ですので回避馬が含まれるケースがございます。あらかじめご了承ください。

　サマースプリントシリーズでは最終戦のセントウルSだけがGIIですが、残り5戦のGIIIのなかでキーンランドCだけはやや賞金が高く設定されています(1着賞金4000万円。他の4戦は3800万円)。また、他の4つのGIII戦がハンデ戦や賞金別定であるのに対して、このレースはグレード別定。つまり、このレースは同じGIIIでありながらやや格上に位置づけられているのです。

　キーンランドCからスプリンターズSまでは中4週。昨年のスノードラゴン、2011年のカレンチャンと、ここを叩き台としてスプリンターズSを制覇している馬が近年で2頭出ているように、GIへのステップレースとしての役割もあって、ここまでのサマースプリントシリーズとは趣きが異なることに注意が必要です。


1.人気サイドで決着する

　GIに用事がある馬がそれなりの仕上げで出走するという性格上、夏のローカルスプリント重賞の中では例外的に人気決着が多くなっています。たとえば函館スプリントSの最近5回の馬連平均配当が10000円を超えるのに対して、キーンランドCは1602円。1番人気も最近4年続けて連対を果たしています。

2.格より勢い

　最近5年間の連対馬10頭のうち8頭までが前走でも連対を果たしていました。前走に重賞を走って連対していた馬は、過去5年のこのレースで［5-1-0-4］。昨年の勝ち馬ローブティサージュ、2012年の勝ち馬パドトロワは、前走を人気薄で激走した勢いでこのレースも制しています。スプリント路線では鮮度が大切ですから、上がり馬の勢いは軽視できません。

3.より長い距離での実績に注目

　昨年の勝ち馬ローブティサージュは阪神JFの勝者でしたし、2011年の勝ち馬カレンチャン、2010年の勝ち馬ワンカラットにも芝1400mで重賞勝ちの実績がありました。洋芝の札幌ということで、他場の1200m戦以上のスタミナを求められる様子。より長い距離もカバーできる馬が馬券的な狙い目になります。



　ティーハーフは函館スプリントSの覇者。展開が向いた面はあったにしても、2着に2馬身半の完勝でしたし、上がり3Fの34.0秒は2位を0.7秒も上回る圧倒的な数字で、完全に素質が開花したと言えるでしょう。折り合い難が解消したことでいまはどんな位置からも自信を持ってレースを進められますし、洋芝も合っている印象です。

　オメガヴェンデッタは今年の京王杯SCの3着馬。前走の函館日刊スポーツ杯で負かしたエポワスが前哨戦のUHB賞を勝っていますから、ここでも能力的には上位の評価が妥当でしょう。ローブティサージュは昨年の勝ち馬。函館スプリントSの大敗は前が壁になって脚を余しての結果でしたから、得意の舞台に戻って今回は一変が期待できます。

　エポワスは相手なりに走れる馬で、得意の洋芝ならば重賞初挑戦でも侮れません。レッドオーヴァルは昨年の2着馬。1200mでは展開の助けが必要になりますが、札幌コースとの相性は悪くありません。トーホウアマポーラは昨年のCBC賞以来精彩を欠いていますが、今回は順調に来ていますし、7-8月に3勝2着3回と夏場を得意にしています。ルチャドルアスールはオープンで2着が3回。ここも先手を奪えそうな組み合わせで、粘り込みに要注意。

スタートで他馬に寄られ、後方からになってしまったが、4角大外を回り14番手から伸び、直線の短い函館コースで0秒4差。流れが向いた事は確かだが、函館スプリントSのティーハーフは強烈な印象を残した。これで3連勝。2歳時は函館2歳Sで3着、朝日杯フューチュリティSで5着など早い時期から素質の片鱗を見せていた馬。長期休養などもありもう5歳だが、いよいよ本格化。V4の可能性も十分だろう。

レッドオーヴァルは昨年の当レース2着馬。近走は今ひとつの内容だが侮れない。相手本線とした。

3番手評価はローブティサージュ。こちらは昨年の覇者。前回は直線で前が詰まるロスがあり参考外だが、昨年ほどの勢いは無い印象。単穴評価までとした。

叩き3戦目で復調気配が漂う5レッドオーヴァルが主力。追い込み一辺倒だがUHB賞の剛脚から馬場適性は高い。再度、ルメールは歓迎で初重賞Vの可能性は十分。次位は10ティーハーフ。最後方から突き抜けた前走内容から重賞連覇は夢ではない。▲は13ウキヨノカゼ。前走から1200の適性は高く大駆けの魅力を秘めている。