今年の
桜花賞は、前半4F50秒0という、まるで未勝利戦のような空前絶後の超絶スローペースになりました。この結果が、能力の序列が見え始めた牝馬クラシック路線を、たちまち混戦ムードへと導くことになりました。
桜花賞が前有利のスローペースになったことにより、A.実績のある後続勢の巻き返しに期待する、B.本来は差し馬でありながら、スローペースに乗じようと早めに動きすぎた馬の巻き返しに期待する、C.それでも2着以下を4馬身突き放した
レッツゴードンキを支持する、D.
桜花賞の結果から、
桜花賞組は信用ならぬと別路線に期待すると、4つの選択肢から1つを選ばなくてはなりません。
私の
ジャッジメントは、C.です。
桜花賞は前半4F50秒0の超絶スローでも、ラスト3F目で急加速して、ラスト2F目で最速10秒5が刻まれたのが未勝利戦とG1では大きく異なるレースの流れであり、その流れを自ら刻んで圧勝した
レッツゴードンキはフロックではありません。実際にスローペース補正をかけると、
桜花賞のPP指数は水準レベルのものがあり、現時点での3歳牝馬ナンバー1は、
レッツゴードンキということになります。
しかし、
レッツゴードンキには△印までしかつけられません。なぜならば、この馬は逃げることでパフォーマンスを上げる逃げ馬だからです。いきなり逃げの手に出た
チューリップ賞で3着に善戦した時点でも「この馬は、本来、逃げ馬かもしれない」と薄々感じていたのですが、
桜花賞では先頭に立ったところで力みがとれて気持ちよく走れていたことから、逃げ馬である可能性がより高いものになりました。しかし、陣営はまだ折り合いに拘っているので、今回も折り合いに専念するレースをする可能性が高いです。
また、逆に距離が長くなる今回の舞台で逃げの手に出れば、他馬に競りかけられたり、突かれたりして有形無形の不利を受けるはず。そういうレースで逃げ切るとなると、相当強くないとダメです。現時点で
レッツゴードンキがその領域までのポテンシャルがあるかどうかは「?」だし、今回は
桜花賞を大目標にした後の一戦なのでダメージも怖いところ。一番、好ましい形は逃げたいけど前走では逃げられなかった
ノットフォーマルの逃げで、単独の2番手という形。単独の2番手ならば、大きな目標にはならないし、自身も気持ちよく走れるはず。ただ、その
ピンポイントに期待するのは、あまりにリスクが高すぎるので、今回はA.を選択します。
よって、◎は3戦3勝で
フィリーズレビューを勝利した
クイーンズリングです。
フィリーズレビューでは権利を掴むために強い仕上げをした結果、馬体重は前走比20kg減となってしまいました。結果
フィリーズレビューでは勝利はしたものの、馬体におつりがなくなってしまい、
桜花賞ではどうしても目一杯とはいかなかったはずです。中間の追い切りが軽かったのはそのせいでしょう。だから
桜花賞は「絶対ない!」くらいの気持ちでぶった斬りましたが、そのコンディションで外枠から外目を追走しての
桜花賞4着は立派でした。
現在の東京芝コースは、前に行く馬か内をぴったり回る馬が有利な超高速馬場です。今回
クイーンズリングは内枠を引いたのでインでロスなく折り合える可能性が高くなりました。能力面は今回のメンバーでは上位と言える存在だけに、この舞台で巻き返しを狙います。
○は前走で芝2000mの
忘れな草賞を勝利した
ミッキークイーン。2歳牝馬クラシックの主力が芝1600mからいきなり芝2400mの
オークスに向かうのに対して、
忘れな草賞で距離をある程度経験していることは例年
オークスの舞台では有利に働きます。
クイーンCでは出走馬最速の上がりで2着。その2着は成績以上に秘めた能力の高さを感じました。
今回のレースで穴人気に支持されている
アンドリエッテとは新馬戦で対戦し、明らかに内容上位で先着したことがあります。この結果からも
桜花賞組と比較した場合でも潜在能力は見劣らないという推測はできるでしょう。
今回
ミッキークイーンと
クイーンズリングのどちらを本命にするかはかなり悩みました。最終的には枠順が少しでも内であることを重視したのですが、乗り方ひとつで
ミッキークイーンが
オークス馬になることも十分考えられます。
▲は休養明けの
フラワーCでいきなり2着と驚きの成長を見せた
アースライズ。デビュー3戦目の昨年12月の未勝利戦では距離が延び、スタミナを生かす先行策で一変しました。この結果からこの馬はスタミナ型の馬である可能性をかなり強く感じさせます。前走の
桜花賞は休養明けの
フラワーCで激走した直後で、かなり疲れが溜まっていた可能性が高かったと言えます。
そんなコンディションながら4コーナーでは外から勝ちに行き、結果2着馬とは差のない競馬、大健闘でした。今回の舞台は先行馬にとって有利。前で立ち回れる強みと豊富なスタミナを生かせれば、激走があっても不思議ない馬です。