ゴールドシップの3連覇が期待される今年の
宝塚記念。
ゴールドシップの一年目の
宝塚記念は、好スタートから速い流れを先行して押し切るとても強い内容でした。しかし、二年目の
宝塚記念は、代打騎乗の
ジェンティルドンナが「この馬は2列目で競馬をするもの」という固定観念で乗り、逃げ馬
ヴィルシーナが4F目でたっぷり息を入れても、
ジェンティルドンナを初めとする先行勢が
ヴィルシーナを突こうとせず、“魔の13秒2”を生み出しました。4F目の13秒台というのは、不良馬場の古馬G1でも滅多に出現しません。
宝塚記念を過去15年まで遡っても一度もないです。
この魔の13秒台の出現により、
ゴールドシップが出負けをリカバーし、2列目の
ジェンティルドンナの外のポジシションを確保することが出来たのです。確かにそこからは、この馬の持ち味でもあるロングスパートで、強い勝ち方はしていますが、鞍上がそのチャンスを生かさなければ、勝てなかった可能性も十分あるでしょう。それは論より証拠で、逃げ馬
クリールカイザーが淡々と逃げた、今回と同距離芝2200mのAJC杯では7着に敗れました。
阪神大賞典と、
天皇賞(春)の実績を見ると、一昨年や昨年よりも絶好調のイメージですが、
ゴールドシップは一昨年よりは確実に二の脚がつかなくなっています。一昨年はがんばれば前半3F36秒台前半で行けたのに、最近は、がんばっても前半3F37秒台後半。前走はとうとう40秒台越えをしました。これは
ゴールドシップが多少なりとも衰えた可能性もありますが、行かせない競馬ばかりしていたツケが回ってきたのも大きいでしょう。距離が3000m以上あれば、序盤のポジションの悪さを道中で補う(捲くる)ことが出来ますが、芝2200mだと前半4-5F目でがっつり緩まないと、追い込み馬が先行馬に追いつくのは難しいでしょう。
確かに今回は先行勢が手薄ではありますが、今回は昨年の
宝塚記念ではペースを押し上げずに負け、前走の
天皇賞(春)ではペースを押し上げすぎて負けた
カレンミロティックがレースメイクの形。実際に陣営も、「逃げたいとコメントしている
ネオブラックダイヤに出来れば行ってもらいたいけど、スローにするくらいなら自ら逃げる」とコメントしています。これは、
ゴールドシップに捲くらせないペースにするという意味でしょう。これだと
ゴールドシップは間違いなくピンチ! もう一度、神が
ゴールドシップに微笑むのだとしたら、
カレンミロティックがペースを引き上げすぎて、前が完全に崩れたときでしょう。本日、土曜日がタフな馬場で先行馬総壊滅状態だったことを考えると、十分その可能性もあるでしょう。
しかし、
ゴールドシップの出遅れがどんどんひどくなっていることを考えると、この距離で本命を打つ勇気が出ません。本命にして大出遅れされても心臓に悪いし、超出遅れて不可抗力のまま終われば腹が立ちます。よって、
ゴールドシップに3連覇してもらいたい気持ちはありますが、評価は▲としました。
◎は
オークスであの
ハープスターを2着に降して勝利した
ヌーヴォレコルトです。昨年の秋3戦は
ローズSを勝利した後の
秋華賞、
エリザベス女王杯ともに惜敗でしたが、人気を背負っていたためにマークされる立場の辛さもあったでしょう。また、土曜日の阪神芝はかなりタフな馬場状態でしたが、当然、
宝塚記念で好走するためにはタフな馬場に対する適性も大事となります。その点この馬は、今年初戦では馬場が悪かった
中山記念を勝利しているように、タフな馬場コンディションに対する適性はありそうです。
前走の
ヴィクトリアマイルは
中山記念好走の反動、そして枠順の不利、タフな馬場状態のレースを経験した直後でタイムの速い決着に対応しきれなくなってしまったなど、敗因は明確なものなので今回は前進必至でしょう。問題があるとするならば古馬・牡馬に混じるとPP指数の最高値がやや不足気味な点ですが、4歳春の成長力がそのマイナス点を打ち消してくれるものと信じて本命にしました。
○は昨年の
宝塚記念2着馬
カレンミロティック。前走の
天皇賞(春)では先行馬総崩れの展開を自ら勝ちに行って直線ではあわやのシーンを作ったように、スタミナが豊富な強い馬です。レースが速い流れになることが多い
宝塚記念は、PP指数最高値の高い、いわゆる強い馬が好走することが多く、歴史的には
宝塚記念で好走する馬のイメージにぴったりです。しかし、前走のレース内容が強すぎた点が、今回の体調面に影を落としていないかどうかという点は気になるところです。体調面が問題なく、力を出し切れば圧勝まであるでしょうし、もしも前走のダメージが残ってしまったならば惨敗でしょう。この馬は、一度は本命の視野に入れたものの、安定感をとって
ヌーヴォレコルトを本命という形にしました。