一昨年までは芝1400m戦として行われていましたが、昨年から芝1600mに距離が延長されました。翌日の
桜花賞もそうですが、阪神芝1600mは牝馬クラシックに向けての重要レースがたびたび行われる基幹的なコースです。
桜花賞に対する
チューリップ賞がそうであるように、豪華メンバーで行われる「プレ・
ヴィクトリアマイル」として定着することでしょう。
1.牝馬は消長が激しい
昨春の牝馬クラシックの主役だった
メジャーエンブレム、
ジュエラー、
シンハライトは、すでに3頭とも引退しています。牡馬に比べて牝馬は新旧交代のスパンが短く、現役を続けている馬でも、
ピーク時の強さをずっと維持できる牝馬は数多くありません。過去10年のこのレースの勝ち馬のうち、8頭までが「
阪神牝馬Sが重賞初制覇だった」という馬。さらに5頭までは「生涯で重賞勝ちは
阪神牝馬S・1勝だけだった」という馬でした。
2.なにはともあれ前走1着馬
1400m時代を含む集計ですが、過去10年の
阪神牝馬Sで、前走が1着だった馬の成績は[8-1-2-27]と圧倒的です。その8頭の中で1番人気だったのは、
カレンチャンと
スマートレイアー(2勝のうち1回目)の2頭だけ。格より現況の勢いが重要だということは、過去歴の分析からあきらかなのに、馬券を買う人間のほうがネームバリューに引きずられて、実績馬を過剰に評価してしまっているのだ、というデータ。
3.反比例の下克上レース
同様に1400m時代を含む過去10年の集計では、前走で準オープンを走っていた馬が5勝、オープン特別を走っていた馬が3勝、GIIIを走っていた馬が2勝。GI、GIIを走っていた馬の勝利はなく、2着2回があるだけです。
グレード別定のGII戦なのに「前走の格が低いほうが成績がいい」という反比例の傾向がきれいに出ています。
特別登録馬の中で前走1着は、
ジュールポレール、
アドマイヤリード、
トーセンビクトリーの3頭。この3頭を1着においた馬単フォーメーションを組めば、充分戦術性の高い馬券ができるでしょう。
なかでも中心は、
ジュールポレール。ここまで最下級条件から3連勝中で、前走は今回と同一コースのうずしお賞で1分33秒台をマーク。先行しながら上がり3Fが32秒台という、完膚無きまでの勝ちっぷりでした。
サダムパテックの半妹でパワーもあって、阪神マイルでは2戦2勝です。
アドマイヤリードは3走前に
ジュールポレールに負けてから2連勝。前走は牡馬相手に3馬身差をつける圧勝でした。ただ、小柄な馬だけに、1600で時計勝負になった場合は割り引かざるを得ません。
トーセンビクトリーの前走は恵まれた印象ですが、逆に言えば恵まれる位置で折り合えるのがストロングポイント。1600での経験は少ないものの、スピードがあるので無難に対応できるでしょう。
ミッキークイーン、
クイーンズリングのGI馬2頭では、休み明けから動ける点と前哨戦向きのキレ味がある点から、
クイーンズリングを上に置きます。他では、前走ゴチャついて力を出していない
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クリノラホール。