【甲乙つけがたい3頭】明け3歳牡馬は
ディープインパクト産駒のヴィンテージ・イヤー。すぐ後の
皐月賞でも好勝負を演じるだろう、3頭の逸材が、早くも
弥生賞で激突する。
皐月賞・ダービー展望も含め、まず第一に注目したいディープ産駒は
オブセッション。
デビュー戦は10月21日の東京2000m、体重は516キロ。パドックで馬っ気を出し、走破タイムも2分7秒5と遅かったが、上り3Fのラップは11秒6-11秒3-12秒0(自身の上りは34秒5)。あの重馬場で11秒台が出せたのか――ふと思い返せば去年のダービー馬
レイデオロも、新馬戦は重の東京2000m、上りは34秒6だった。
さて次走のシクラメン賞は、時計勝負をどう乗り切るのか。しかしパドックでまた馬っけ、加えて立ち遅れ。舌越しをしたり幼さ丸出し。いろいろとのんきな馬ですが、前半5Fは59秒1のミドル、マイル通過は1分33秒8。ラスト3Fのレースラップは11秒3-11秒4-11秒8(3Fは34秒5)という高速ラップを、のみ込むようにして上り33秒5で大外一気。1分45秒6は従来の記録を0秒6も塗り替える2歳レコード。いやはや途方もない、新モデルの
ディープインパクトの牡馬が現れたものだ。
コーナー4つの中山2000mに舞台はかわるが、どんな流れになろうと、GIを目指そうという素質馬に小細工は必要ない。この少頭数なら外差しで間に合うし、間に合わせなくては
皐月賞も厳しいだろうしダービーはさらに厳しいはず。
格好の目標は2歳チャンプ・
ダノンプレミアム。紐解けば6月25日の阪神・芝1800mの新馬戦の走破タイムは1分48秒7(やや重)。テレビ画面を突き破りそうなド迫力で後続を4馬身と
チギリ捨てた脚が印象的な馬だったが、続くサウジアラビア
ロイヤルCは、やや重という条件下で、あっさり1分33秒0のレコードをマーク。グッと沈み込む水平首、スナップの効いた手返しも、めったにお目にかかれない上級フォーム。
朝日杯FSも、立ち合いつっかけ気味に好位にとりつき、11秒3-11秒0-11秒7(3Fは34秒0)というレースラップを0秒4上回る、33秒6という最速ラップで、ゴール前は首筋をなでなでしながらフィニッシュ。1分33秒3は
ウオッカが長く保持する2歳コースレコードに0秒2差と迫るレースレコードだった。
体型的にはマイラー、ただし過去3戦の記録内容を思えば、3歳春までは絶対能力とスピードで、皐月はもちろん、ダービーだって踏ん張れる。10Fを想定し、
エンパイアメーカーの背中も知る敏腕トレーナー・中内田師がスタミナ強化に努めてきた。
ワグネリアンの出発点は7月の中京・芝2000m。前半1000m通過が1分7秒0という超スロー、上がりが速いのは当然とはいえ、レースラップは11秒2-10秒9-11秒0(33秒1)、自身の上がりは32秒6。2歳中距離の新馬戦では究極ともいえる快ラップをマーク。
二戦目の
野路菊Sは、折からの雨で芝は重、450キロの瞬発力勝負型には苦しい条件になるのではないかと思っていたが、ラスト3F・11秒5-11秒4-11秒6(3Fは34秒5)というレースの上りに対し、自身のソレは1秒5も速い33秒0。馬場もコースも問わない馬なんだなぁ。
なんて、前回の東京スポーツ杯2歳Sは7頭立てながら前半5Fは58秒5-マイル通過は1分34秒6というHペースで展開。直線勝負を決めていた同馬にとって、おあつらえ向きの流れとなったが、レースの上りを1秒2も上回る34秒6で二段加速。雨残りの、実質はやや重に近い渋い芝で1分46秒6という記録も出色、関東への遠征も経験できた。
父ディープは、ダービーまではパドックではせわしなく怖い馬だったが、
ワグネリアンも繊細な部分を多く残し、東スポ杯は11月だというのに股下に白く汗をかいていた。そこら辺りの
テンションの高さも、耳袋を着用するなどで工夫。輸送がうまくいけば、大観衆の本番も自信をもって臨める。
ジャンダルムの
ホープフルS・2分1秒6は、普通の年なら
弥生賞有力候補。
武豊も魂をこめて騎乗するだろうが、今年の世代は相手が悪いかもしれない。予想は◎○▲の3頭としたい。