【限りなくGIに近い32秒0】
ウーマンズハートの切れ味極上。母は掲示板多数、母の弟
サドンストームは
京王杯2歳S2着など4勝、もう一頭の弟
ティーハーフは
函館スプリントS優勝(現役7勝)という、ゴドルフィン自慢の良血。上り重点ながら、デビュー前の栗東坂路を1F・11秒台で登坂していた。
いざ実戦は、前半1000mは63秒5の超スロー。新潟外回りの8-10Fの2歳戦は、ヨーイドンの上り勝負が大勢を占め、残り2F近辺で10秒台のラップを出さないことには勝ち負けはならず、ウーマンの新馬も上りに比重の高い、定番の瞬発力決着となったが、11秒1-10秒7-10秒9(3Fは32秒7)というレースラップに対し、自身のソレは32秒0。ラスト2F・推定10秒5前後の上りを2連発。新潟の2歳外回りコースで、推定ではなく目に見える形として10秒台を計測したケースは、ごくごくまれ。
ひとつはあの
ハープスターの
新潟2歳S。前半のペースや走破タイムは異なるものの(新潟2歳のほうが1秒速い)、レースの上りは11秒5-10秒9-11秒4(3Fは33秒8)、
ハープスターの上りは32秒5だった(推定10秒台2連続)。
もうひとつは新潟・芝1800mでデビュー勝ちを果たした
ルージュバック。1000m通過は68秒7という
ウルトラスロー、1分55秒5という勝ち時計も歴史的といっていいほど遅いが(マイル通過は1分44秒7)、レース上りは11秒7-10秒7-10秒8(3Fは33秒2)、自身の上りは32秒8だった。10秒台の2連続ラップは、のちのGI・
オークス2着へつながる数字だと、ルージュの伝言あり。
ウーマンズハートの上り32秒0は、二頭のGI馬たちの新潟戦績を軽々と凌駕。中二週になるが、日曜追いを含め時計4本を出せた。最終追い切りは唸るように1F・12秒1をマーク。父は
ハーツクライ、背腰は兄たちよりのびやか、456キロなら体格もまずまず。ス
プリンター仕様の兄たちより距離に融通の利く重賞マイラーに仕上がった。
対抗は
モーベット。
母アイムユアーズは、
フィリーズレビューなど重賞4勝、阪神JF2着、
桜花賞3着。実にPOG孝行な、元気でスピードのある栗毛馬だった。二番仔となる本馬の父は
オルフェーヴル。四肢の捌きは軽やか。母の現役時代など思い返しながら新馬のパドックを見ていたが、時折頭を上げたり、まだ仕草は幼い。
スタートの後手は、ルメールも想定していたのだろう。無理に型にはめようとはせず、
リラックスをこころがけ、道中は最後方。1000m通過62秒5のスローにも動じることなく、11秒8-11秒4-11秒2(3Fは34秒4)というレースラップを、自身は33秒8(平坦新潟なら32秒台に匹敵)。東京の坂、残り1F標識を推定10秒8前後の加速ラップで抜けきった。馬本位の成長に合わせローテを組み、成長期を設けたことで、坂路調教も折り合って我慢が効いていた。454キロから10キロ増を目安にパドックを歩けていれば、あとはシンプルに才能比べ。自然と勝機が訪れる。
割って入れば
ペールエール。一番仔
タングルウッドは1勝、二番仔
マロリンは現在1勝。
ダイワメジャー産駒の3番仔は、500キロの肉厚。まだ下腹に余裕があり、新馬戦は交わすまで、交わしてからもジリジリだったが、上りラップは推定12秒0-11秒5-11秒3(3Fは34秒8)。1分23秒2という決着タイムも、馬場差2秒を考慮すれば上出来の部類。
ダイワメジャーは今年、中京シリーズでもう一頭、
シャレードというA級牝馬が勝ち上がっているが、メジャーの仔たちは、どういう身体造りで送り出せばいいのか。昨年の
アドマイヤマーズの出現で、いいお手本ができた。坂路を登板している姿、顔のでっかい流星も、
アドマイヤマーズにソックリですね。
エレナアヴァンティも好調。母は
福島民友C(OP)勝ちなど8勝。ローカル1200mに印象的な活躍歴がある良績ス
プリンター。父に
アドマイヤムーンを迎え、配合イメージ通りのスピード馬が誕生。デビュー戦は、前半3F・33秒8というタフなミドルペースを積極的に追いかけ、力で圧する好内容だった。1分9秒5は、例年の福島開催の6Fの2歳戦の水準を1秒近く上回っており、
ダリア賞も最速の上りで1分22秒1で突破。1F延長のマイルでも数字的には連下圏内。
クリアサウンドのタイムおよびラップは、対抗の
ペールエールをモノ差しにすれば、押さえとしての必要性あり。
タイムマシンも、前走時計は1分35秒4、上りは33秒8。1秒時計短縮も期待していい上昇ぶりだった。