【上位拮抗】
グレイトホーンと藤田菜々子コンビが、中央初重賞制覇に挑む。東京マイルの新馬を2着したことで、福島9Fに
アタックをかけたが、平坦とはいえ1800mは根本的に長い。今一度鍛えこみ中山マイルで仕切り直しをはかったところ、1000m通過・58秒8-1400m通過・1分22秒1というよどみのないミドルペースを中団外、坂下から二段
ロケットで急坂を鋭く加速。1分34秒1というタイムは、翌週の
サフラン賞(2歳1勝クラス)より0秒2超。時計的な下地も前回で整った。全兄
イッツクール(7Fの
ききょうS勝ち)より重心は低く、首の使い方は滑らか。藤田Jが毎回つきっきりで手綱を握り、胴回りに実が入りCWの動きも見るたび俊敏、中間さらにパワフルになっている。51キロから55キロというのが悩ましいが、馬も騎手もそこを超えてこその、歴史的重賞制覇がある。
対抗は
タイセイビジョン、東京の1400mなら差し届く。
母ソムニアは
函館2歳S3着、2歳早期から動ける血統的下地はあったが、実戦に行っても前進気勢は旺盛。6月第一週めの阪神の新馬戦は、1000m通過・58秒6というミドルラップを踏み、直線入り口ではもう先頭。最速の上りで余裕をもって先行勢を仕留めた。続く
函館2歳Sは6Fに距離短縮。初陣の7Fとは流れがまったく異なり、前半3F・33秒6のHラップ。ならばと道中、腹を括って直線勝負。ロスのないようコーナーを回り最速の上りで2着に追い上げたが、1200mのスペシャリスト相手では2着がいっぱいだった。しかしあの末脚温存策は、東京1400mに替わればすぐにも活用可能。輸送、左回りに課題は残すものの、それは他馬も一緒。最終追い切りの反応も敏感、決め手勝負なら五分以上の戦いが待っている。
マイネルグリットも上位争い必至。重馬場で行われた7月末の新馬戦は、時計は1分36秒6。一見すると地味、しかし1000m通過は60秒4-1400m通過・1分24秒2というタフな平均ペースで展開。11秒9-11秒9-12秒4(3Fは36秒2)というレースの上りを、35秒3で寄り切ってみせた。祖母は
コスモヴァレンチ(
小倉2歳S)、平坦の小倉を得意とする血統ではあるが、
フェニックス賞を手土産に
小倉2歳Sへと参戦。培ってきたキャリアをいかし、前半3F・33秒7というHペースを中団から徐々に漸進。内外から追い上げるラ
イバルを、振り切りようにして先頭ゴールで駆け抜けた。1分21秒前半の時計決着や、11秒前半のラップ対応がカギになるが、ス
プリント戦線における、現時点での完成度は世代一といっていい。最終追い切りの坂路は、台地に蹄を叩きつけるように、1F・11秒8を馬なりで登板。気迫が全身からほとばしっていた。
ビアンフェは、
函館2歳Sを前半33秒6のハイペースで主導、力の逃げで制圧を果たした。上りラップも乱れ少なし、7Fまでは守備範囲だろう。
ヴァルナは東京マイルを11秒6-11秒0-11秒4という快ラップで逃げ切りV。スミヨンなら、逃げにこだわらず好位差しも十分ありえる。
グランチェイサーは、東京7Fの新馬を1分22秒6で勝ち上がっている。