【肉体改造】4歳馬
ステルヴィオの成長曲線には舌を巻く。父
ロードカナロアも競走生活晩年、
安田記念を制しス
プリンターの壁を破り超A級マイラーへと脱却。種牡馬としての道も自力で切り開いて行ったが、初戦度産駒の
ステルヴィオも、父の背中をなぞるようにして昨年3歳秋。
毎日王冠を1分44秒7で駈け(2着)、
マイルCSで待望のGIを奪取。追い込み型から自在性のあるマイラーへと大変身をはたした。
4歳春緒戦の
中山記念は前走比12キロ増、自己最高の490キロに成長、胴から腰にかけずっしりと重さが加わり、中距離体型へと肉体を改造。前半1000m通過・58秒2-マイル通過・1分33秒6という澱みのない平均ペースを踏み、レースの上がりを2秒1上回る33秒5という最速の上がりで2着強襲。スタートミスと坂上で外に振られたぶんクビ差届かなかったが、1分45秒5という決着タイムは過去十年では文句なしの最上位だった(第2位は
ドゥラメンテの1分45秒9)。
阪神内回り2000mの
大阪杯は先行馬の天下だが、今の
シルエットなら自ら動いていける。鞍上の丸山もコンビ二度目。1F延長の2000m対策もシュミレーションしてきた。
第一本線は
ワグネリアン。ダービーはラスト4F目から一気に11秒7に突入。上り3F11秒2-11秒2-12秒2(34秒6)という、瞬発力と持久力の両方を求められるHレベル決着を、好位差し、過去十年では
ドゥラメンテに次ぐ第二位の、2分23秒6というタイムでGI戴冠。
2400mの
神戸新聞杯も力でモノにしたが本質は9から10Fをベースに切れとスピードを活かす中距離系。460キロ前後と牡馬にしては小柄だが、コース追いに加えプール調教を課し、木曜発表の体重は474キロ(前走460キロ)、隙のない仕上げができている。
単穴は
ブラストワンピース。馬体の成長速度が微妙にかみ合わず、ダービーは2番人気で5着惜敗。
新潟記念を1分57秒5で圧勝したものの、同レースを
ステップに3000mの
菊花賞というローテはやはり王道ではかった。裏を返せば、そういうローテーションを取らざるを得ない、ひ弱さや幼さを抱えていたが、
有馬記念は自ら動き出し古馬を制圧。グリップ力に待望の力強さが加わった。
紐解けば阪神1800mの
毎日杯は、鋭くイン強襲、意外に
アクティブに動ける。阪神2000mを想定し、この中間での南Wコースの追いは長目6Fがメイン。仕掛けにも敏感に反応、最終追い切りは3F・36秒5で気合を注入、これで重めも解消した。
スピード指数なら
キセキ。天皇賞に続きJCは、2000m通過・1分57秒2という激流を、骨をきしませ2分20秒9で2着。さすがに
有馬記念は、少し疲れもあったか。立ち遅れを強引に追い上げ、7枠から脚をつかい、結果5着と沈んだが、驚異の反発力で心身ともに復調。JCのデキとまではいかないにせよ、内回りの阪神2000mなら、逃げ切り態勢に持ち込める状態に造り上がった。
4歳世代の圧力は大きいが、
ペルシアンナイトは
マイルCSで過去二年1・2着、昨年の
大阪杯は2着。叩き二戦目に良績が集中している。ミルコもやる気満々。
勝ち切るまでは微妙だが、
アルアインも高いレベルで好調。
エポカドーロとともに、一瞬の隙を突きたい。