【やっぱそだし】上り10秒台も必要とされる、瞬発力勝負の東京マイルで、
パワー血脈の
ソダシを本命とするか否か。実は迷った。紐解けば、祖母の名は
シラユキヒメ、父に
サンデーサイレンスを配し、ひょんなことに世にも珍しい白毛が生まれた。母は未勝利に終わったが、三番仔
ユキチャンは関東オークスなど交流重賞3勝。キングカメハ産駒の
ブチコは4勝。そこにまた芦毛の
クロフネをブレンドし、小さな白毛血統の芽は太い幹となり大きく枝を広げ、白毛一族から遂に、
ソダシという芝重賞馬が誕生した。
なんて、新馬戦の函館1800mの加速ラップも見事だったが(12秒0-11秒7-11秒6)、
札幌2歳Sはさらに大きくレースレベルをアップ。脚にまとわりつく札幌の洋芝・1000m通過・59秒2-マイル通過は1分35秒2というHラップを、早々に外目3番手追走。いや、これはタフな位置取りになった。なるほど、上り3Fのレースラップは11秒9-12秒0-13秒0(36秒9)。対する自身の上りは36秒7と、さすがに終いはアラアラ気味ながら、
バスラットレオンを競りつぶし、迫りくる
ユーバーレーベンを二枚腰を使って封印。終わって見れば1分48秒2のコースレコードが点灯、力でもぎ取った重賞ベルトだった。
ただ血統を思うと、東京・京都マイル戦の10秒台のラップ対応はどうか。大きく崩れはしないが、決め手勝負では分が悪い?。アレコレ考えてもみたが、CWコースの6F追いで上り11秒台を連発。坂路も前進気勢あふれる軽い脚捌きで、グリップも確かに12秒7を馬なり。よく見ると、470キロ台ながら、厚ぼったい馬ではなく、胸回りも四肢もスラリ。東京でもきっと走る。高速マイル決着も、避ける必要はない。
逆転があれば
ウインアグライア。新馬戦は10頭立て8番人気のロングショット。だが上り33秒8(10秒台のラップを内包)を駆使、評判馬
ブエナベントゥーラを、ゴール前もうひと伸びしてクビ差競り勝ってみせた。
でも、
マツリダゴッホの仔だよなぁ。ちょっと地味で、短距離系の形だったかも思い出しながら、
コスモス賞のパドックを見たら、12キロ増ですか?(460キロ)。胸・胴回りが大きく膨らみ、おお。パンパンに張った、血液循環の良い黒っぽい鹿毛馬に急激に進化していた。
少頭数、スローの上り勝負ながら、稍重の洋芝で、11秒9-11秒9-12秒2(3Fは36秒0)というレースラップに対し、自身の上りは35秒3。地味に映るが、しっかりと11秒台の加速ラップを描けている。稍重で1分50秒0なら時計も及第点。また違う
シルエットに確変、一気のGIII制覇があるかもしれない。
テンハッピーローズも、単勝候補の一頭。母は芝9-10Fで3勝を挙げ、
中山牝馬Sに挑戦したこともある栗毛。新馬戦には1200m戦をチョイスしたが、父
エピファネイアの特性や母の戦績を思い、構えはゆったり。前半3Fは33秒8のミドル、先行勢には苦しい流れも功を奏したが、ゴールめがけて飛び込んできた、ラスト1Fの脚色は断然。
前走の
サフラン賞は、1000m通過は60秒2のスロー、レース形態は前残り。レースの上りは11秒7-11秒6-11秒7(3Fは35秒0)という高速ラップとなったが、出遅れ、大外を回りながら、上り34秒5で2着はガッチリ確保。420キロから438キロに体重も増加。敏感ではあるが余力を残しつつ坂路を登坂。末脚温存、直強襲――東京マイルは、ふたを開けてみたら一番適性が高かったということも考えられる。
タウゼントシェーンの巻き返しも要警戒。長男
ロサギガンティア(
父フジキセキ)は、
スプリングS・
阪神C優勝。二番仔
スターオブペルシャ(
父ダイワメジャー)は7勝。この兄弟では初めての牝馬が誕生。414キロと小柄ではあるが、2歳7月にデビューできる健やかさは、かなり大事なポイント。馬体の柔らかさ、皮膚の薄い青毛…。
コントレイルを少し小さく、牝馬に変えたみたいに見えるときもある。
福島・芝1800mの新馬戦は、粘りつく重馬場にも道中フォームは乱れず。3-4コーナーでは外を回らざるを得ず、人気馬に外から圧もかけられたが、ハミを咥え直し跳ね返す闘争心あり。12秒0-11秒5-11秒8(35秒3)というレースラップを34秒9で突き抜けた。全体時計は1分51秒2(馬場差2秒以上の重馬場)ながら、同週の福島芝1800m以上のレースで、上り2F・11秒台を連続してマークしたのは(しかも加速ラップを)、本馬一頭だけだった。
サフラン賞は出遅れ。馬群を割ろうとして前をカットされ、外に持ち出そうとすると内にもたれる…。なんともちぐはぐな競馬になってしまったが、直前の坂路調教は大渋滞の時間帯、でもチップを被っても平気。左回りの良馬場なら、伸び脚も一変。切れ味鋭い、シャープな走法にかわるかもしれない。
マイル適性が微妙なぶん連下としたが、器の大きさなら
ユーバーレーベン。
札幌2歳Sは、
ソダシにつられ、道中行こうか控えようか。迷い多く、コース取りにロス。ぶつけられたりもしたが、盛り返すようにして2着。
ゴールドシップ――いや、
ステイゴールド系の、想像を超える大物食いの血脈はしっかりと遺伝。展開の助けひとつで、きわどい勝負に持ち込める。
完成度の高さなら
ヴァーチャリティ。母は
フラワーC勝ちを含め3勝。母の半弟
ショウナンアルバは
共同通信杯など4勝、
ショウナンパルフェは
青葉賞2着。父は新種牡馬
マクフィ、勝ち上がった産駒は6-8Fでパンチの利いた走りをする仔が多いが、本馬も札幌1500mの新馬戦を1分29秒4で2着。次走はなぜか、18キロ増で出走。道悪の影響もあったか、6着に沈没。馬体造りを見直し、前走はマイナス8キロの458キロで登場。スタートはマズマズ、テンの2F目に10秒9と、先行いが激しくなったところで一旦中団待機。1000m通過は58秒8というタフなミドル。3コーナー過ぎ馬の気に任せ先頭にとりつき、直線入り口手前のラスト4Fめから11秒8とピッチを上げ、続く3Fは推定11秒7-11秒5-11秒9(35秒1)。Bコース替わりで先週より時計の出やすいコンディションではあったが、前後半のラップのまとまりは極めて秀才的。走破タイムは稍重で1分34秒0。レース内容は2歳秋とすれば満点に近い。