【天才マラソンランナー】
フィエールマンの長距離シーンの基盤は万全。秋の
凱旋門賞は、想定外の馬体細化。パドックでは緊張で目を白黒、飛節の上まで埋るぬかるんだ馬場にずっぽり脚をとられ12着に沈没した。前走の
有馬記念は、心身の再整備はどうか。だが、結果4着とはいえ、断然人気の
アーモンドアイの外から差しかけることで存在感を示し、2020年の展望は開けた。美浦トレセンに入ってからの調教開始は、前走時より1週間程度は早く、今度は距離は3200m。同じ京都の3000m・
菊花賞は、マラソンレースというよりは、9Fや10Fの中距離に近い、極端な瞬発力決着となったが、ラスト3F・12秒2-10秒7-11秒3(34秒2)というレースラップを33秒9という超速ラップで一気差し。
昨年の
天皇賞(春)は、2着
グローリーヴェイズと4Fから11秒7-11秒6-11秒0-11秒7という長い叩きあいを演じ首差競り落とした。ちなみに3着とは6馬身差、2着馬は12月の世界の中長距離GIが集う
香港ヴァーズを圧倒。極端に折り合いを欠いたりアク
シデントに巻き込まれることがなければ、長丁場ならほぼ順当。
対抗は
キセキ。2017年の
菊花賞優勝以来、長く勝ち星から遠ざかっているが、2018年の
ジャパンCは2分20秒9という快時計で2着に粘り込み。2019年の
大阪杯はハナ差2着、そして
宝塚記念2着、
凱旋門賞遠征も含め、中長距離GIの舞台で目を見張る戦いを演じてきた。
有馬記念、
大阪杯と続けて致命的な出遅れを喫し、パフォーマンスを発揮できないでいるが、ゲート練習は上手くいった。発馬がまず、大きな条件となるが、一週前の追い切りでまたがった
武豊Jも、よほど心を砕き跨ったのだろう。「人馬一体」という言葉を思いかみしめる騎乗風景だった。
割って入れば
ユーキャンスマイル。2018年3歳秋、
菊花賞3着入線。2019年の
天皇賞(春)は5着に終わったが、
ダイヤモンドS、
新潟記念でGIIIを勝ち、前哨戦の
阪神大賞典を一気差し。調子はさらに上向き、いざGIの舞台に登壇。
ミッキースワローも、3歳秋の
菊花賞6着から2年余り、明けて6歳。時には58・5キロの重いハンデを背負ったりしながら、
七夕賞など多くの重賞で勝ち負けを演じ、
日経賞完勝をはたし、京都のGIへ打って出る。
ダンビュライトは、今回は去勢明け。しかし、目の玉がでんぐりかえった狂騒状態でも、
AJCCや
京都記念を優勝した、ワタシタチの規格や想像の外にある大物。先週は
インディチャンプを併せ馬で圧倒、調教は恐ろしく動いた。すべてが噛み合えば、大駆けがあるかもしれない。
58キロに増えると加速が微妙になってくるが、
トーセンカンビーナは
阪神大賞典を最速の上りで2着突入。距離はいくら長くてもいい。
モズベッロは不利を受けながらも、
日経賞はゴール前また2着へと盛り返した。