【無敗で戴冠】
デアリングタクトが、牝馬クラシック初となる無敗の三冠を戴く。2歳秋、新馬戦の外一気に、後の活躍の片鱗が透けて見えていたが、明けて3歳。二戦目の
エルフィンSは、1000m通過は58秒5のミドルで展開、ラスト3Fのレースラップは12秒0-11秒7-11秒4(35秒1)、自身の上りは34秒0。ラスト1F・推定11秒を切る超加速ラップで、テレビ画面を突き破るようにしてゴールへと飛び込んできた。走破タイムは1分33秒6、あの
ウオッカが持つレースレコードを0秒1更新。この時計が能力の証でもあり原点。
迎えた一冠目の
桜花賞は、一転重馬場。先行勢も辛いが、追い込み型にはさらに辛いコンディション下で、豪快な大外強襲。道悪でもモノが違った。
オークスは、道中幾度かぶつけ合い、厳しい囲い込みにあい、直線進路探しに迷うシーンもあったが、馬場の中央付近で前が開くと、11秒2-11秒2-11秒8(3Fは34秒2)というレースの上りを、33秒1でひと差し。ラスト2Fのどちらかで、11秒を切る超高速ラップを、ただ一頭だけ計測。着差はわずかながら、瞬発力勝負でも次元が違った。
一戦燃焼型の気質や仕上げ度を思い、秋のローテーションは
秋華賞一本。調教には主戦・松山Jが4度騎乗、CWで6F追いを二本、スタミナを強化。直前の坂路を痺れるような手応えで登板、木曜日発表の体重は480キロ(+14キロ)。筋肉に厚みを増し腰の踏ん張りが強くなった秋は、少し前めに動いていき、内回りの流れにもついていけるだろう。よしんば後方追走となっても、
アーモンドアイ級の能力ありと睨めば、直線勝負で間に合う。
対抗は
マルターズディオサ。
チューリップ賞では2歳チャンプ・
レシステンシアを撃破したが、重馬場の
桜花賞は馬場不得手を承知で勝ちに行ったぶん、終い甘くなってしまった。他の有力馬たちよりもレースキャリアは多く、関西へ三度も遠征すれば、さすがに
オークスはオツリがない。身体が硬くなり10着に沈んだが、夏の立て直しは完ぺき。
紫苑Sは力の違いを見せつける先行策からの圧倒、内回り2000mの動かし方も、予行演習できた。
三番手は
リアアメリア。新馬戦・
アルテミスSを連勝したが、気性は激しく、身体も華奢。
桜花賞前は腫物に触るような追い切りしかかけられない。
オークスは、なんとか体調を整え4着に追い上げてくれたが、ひと夏を越え
ローズSは488キロにビルドアップ。好発を決め、すかさず二番手に陣取り、折り合ってリズムを刻み、直線入り口に入るとすかさずスパート開始。次位を0秒3差に封印、後続に付け入る隙を与えなかった。中間の調教強度は前走以上、もう一段上の末脚を繰り出せる状態に心身を練り上げてきた。
惑星は
ソフトフルート、藤岡康Jの乾坤一擲のロングスパートに期待。
夕月特別は緩ペースの上り勝負。しかし後半5Fはすべて11秒台、加速ラップを描きつつ、2着を0秒7とチギる独走。2分0秒0は、一週前の
ローズSと0秒1差、
リアアメリアと時計勘定は遜色ない。
ウインマイティーは、気迫あふれるイン強襲で
オークスは残り100mで一旦先頭。
紫苑Sは重め、出遅れなど重なり6着に敗れたが、最速の上りが示す通り、坂上からの脚は際立っていた。
ウインマリリンは木曜日計測では470キロ。ぶっつけというローテーションは王道ではなく、そのぶん連下としたが、最終追い切りは動いた。
オークス2着はやはり実力なんだな。中山2000mで2勝を挙げており、京都の内回りは
ドンピシャ。