【来るなら来い】
グランアレグリアが春秋マイルGIを制圧する。
若駒時代はデリケートな部分も残り、
朝日杯FSは3着、
NHKマイルCは5着に沈んだこともあった。しかし、
桜花賞を1分32秒7のレースレコードで駈け抜けた才能は、
阪神C快勝などを経て4歳春に開花。5月の
安田記念は、稍重条件下・1000m通過は57秒3のタフなミドルペースで展開。ラスト3F・11秒4-11秒0-11秒9(34秒3)というレースラップを、上り33秒7でひと差し。先頭に立ったラスト2F地点で、推定10秒台半ばの脚を使い一気に弾けた。
アーモンドアイ、
インディチャンプといった超A級マイラーたちを0秒4差に封じ込めている。
高松宮記念も
スプリンターズSも前半追走に苦労したが、前走はレースの上りが35秒5に対し、自身のソレは33秒6。数字が示す通り、坂上からの末脚は他とは桁が違った。デビュー時458キロだった馬体は、前走は504キロにビルドアップを果たした。もとより時計勝負は望むところ、1分31秒5近辺のレコード決着も想定に入っている。
対抗は3歳馬
サリオス。本命にどこまで食い下がり、あるいは逆転できるか。
コントレイルという大きな才能の前に、
皐月賞は0秒1差、ダービーは0秒5差を広げられたが、体型は明らかにマイラー。
サウジアラビアRC・1分32秒7のレコ勝ちと
朝日杯FSの快勝が将来の設計図だった。
ひと夏を越え緩さも解消。目に見えて馬体の
バランスが良くなり、
毎日王冠は鞍上の指示に滑らかに反応、加速状態に入ったときのフォームも格段にシャープさを増している。能力には能力で、追い比べに打ち勝つとしたら3歳馬の可能性と伸びしろしかない。
逆転の可能性を秘めるもう一頭は3歳牝馬
レシステンシアの速力。阪神JF・1分32秒7というレコードは、
グランアレグリアも
アーモンドアイも先人もなしえなかった快挙。
桜花賞の敗因は重馬場に加え、雨中の乱ペース。その桜の疲労が明らかに残る中、
NHKマイルCはよく2着を確保した。春最後は体重のマイナスぶん以上に、身体を小さく見せ歩様も力強さを欠いていたが、骨折は軽傷、乗り込みは万全。
秋は胸前や肩回りの筋肉が盛り上がり四肢も背中もピンと張っている。デビュー前から坂路の動きの良さは知られていたが、一週前の追い切りでは11秒6という自己ベストを楽々計測。武器は速力、大胆なロングスパートが持ち味。波乱の主役はだいたいが逃げ馬。
グランアレグリアに視線が集まり、直線5馬身後続を引き離していれば、まんまの逃げ切りがあるかもしれない。
インディチャンプは、昨年の
マイルCS時より今年のほうが明らかに強くなっている。5か月半の休養明けになるが、コース追いも交え、これまでの休み明けでは一番の負荷を調教で課してきた。一瞬の脚をどこでいかすか。福永Jも黙ってはいない。
アドマイヤマーズは、
スワンSは久々、58キロ、1F短い1400m。叩き上昇は当然だろう。ただ、1分31秒台の時計対応はどうか。香港やあるいは英仏のマイルならチャンピオンでも、日本の高速決着はちょっと辛い。
ラウダシオンはNHKマイル時とはまた違った身体造りを試みている。馬体をひと絞り、3歳馬の伸びしろ注意。