【進化係数高い】
サトノレイナスが右肩上がりに急上昇、一気に2歳牝馬チャンピオンの座に駆けあがる。
東京マイルの新馬勝ちは、時計・ラップ共に平凡。本気を出したのはゴール前1Fだけだった。約4ヶ月となった前走の
サフラン賞は、プラスは4キロながら、歩様に力強さを増し、肌艶も光度を増した。周回ごとにテンションが高くなり、スタートで立ち遅れたが、ひとまず後方で伸び伸びとは走れている。1000m通過は60秒2、レース形態は明らかに前残り。しかし11秒7-11秒6-11秒7(3Fは35秒0)というレースの上りを、上り34秒0で一閃。ゴール板が近づくにつれ、テレビカメラを突き破らんばかりに姿が大きくなり、唸りながら坂上一気に決着をつけた。パワーを要する今季の9月の中山の芝で、上り2Fは推定11秒3-11秒0くらいだろうか。見た目の豪快さだけではなく数字でもしっかりと加速ラップを描けている。なんて、前年の
サフラン賞の
マルターズディオサの1分34秒3・上り33秒8との違いを指摘する人もいるが、今年は開幕緒戦の
京成杯AHの決着タイムは1分33秒9(その前年は同じ
トロワゼトワルが1分30秒3でレコ勝ち)、明らかに馬場が異なる。ちなみに全兄は
サトノフラッグ。2歳11月の東京2000mのレコ勝ちを契機に
弥生賞まで一気に三連勝を遂げたが、その兄より進化係数は高く、馬体、調教時計等、前走後の成長度合いは一目瞭然。
強敵は
ソダシの完成度。紐解けば、祖母の名は
シラユキヒメ、父に
サンデーサイレンスを配し、ひょんなことに世にも珍しい白毛が生まれた。祖母は未勝利に終わったが、三番仔
ユキチャンは関東オークスなど交流重賞3勝。キングカメハ産駒の
ブチコは4勝。そこにまた芦毛の
クロフネをブレンドし、小さな白毛血統の芽は太い幹となり大きく枝を広げ、白毛一族から遂に、
ソダシという芝重賞馬が誕生した。なんて、新馬戦の函館1800mの加速ラップも見事だったが(12秒0-11秒7-11秒6)、
札幌2歳Sは1000m通過・59秒2-マイル通過は1分35秒2というHラップを、早々に外目3番手追走。上り3Fのレースラップは11秒9-12秒0-13秒0(36秒9)、対する自身の上りは36秒7。さすがに終いはアラアラ気味ながら、迫りくる後続を二枚腰を使って封印。終わって見れば1分48秒2のコースレコードが点灯、力でもぎ取った重賞ベルトだった。
アルテミスSはスタートで半馬身リード、これは天性の才能か。「速い脚がないので早めに動いた」と、吉田隼Jが言っていたが、直線入り口では後ろをチラ見する余裕あり。ラスト3Fは推定11秒2-10秒9-11秒8(33秒9)。高速ラップにも対応できた。
パトロールフィルムを見返してみるとわかるが、フォームにブレが少なく、全力でとにかくまっすぐ走る。馬体そのものも完成度が高いが、走法も非の打ち所がない。初コースになるが、東京よりは断然パワー馬場の阪神向き。
折り合えば
メイケイエールも首位有望。母系は
ソダシと同族、しかし四肢を叩きつけ跳ね上がるような弾力、運動神経の高さ——能力の高さは同等ながら、母系も一つ代を重ねると、
ソダシとはまったく異質なタイプが出る。パドックでは、変にイレ込んだ感じはないが、実戦に行くと頭を上げてパオパオ。
ファンタジーSも、1000m通過は56秒6-1200m通過は1分8秒1。この速い流れでも
武豊Jは棒立ち。
小倉2歳Sは大丈夫だったが、1F延長の1400mはどうか。ドキドキしつつも、ラスト2Fでフォームを調整。前走ほど弾けなかったが、終わってみれば1分20秒1のレコードが点灯。ただ、マイルGIともなると、さすがに我攻めで決まるとは思えない。ハミをドライビットにかえ、ロスなく進むことが条件になるが、前半をスムーズに乗り切ればチャンスも生まれる。
サウジアラビアRC2着の
インフィナイトは、兄に重賞連対馬数頭。調教はいくらでも動く、パワーで知られる良族だが、良馬場の瞬発力決着でさてどうか。今回が試金石になる。
オパールムーンも、
ファンタジーSはタメにタメ、上り33秒5という矢のような伸び脚を駆使したが、はたしてマイルという距離で、二番が効くかどうか微妙。連穴は
ウインアグライア。馬体重の増減の大きな馬だが、
アルテミスSは明らかにガス欠。膨らめば化ける。