【頂上へ】
メイケイエールはGIの頂までにあと一歩。戦績は12戦7勝。1200mから1600mで5つの重賞を勝ち、3歳クラシック戦線でも中身の濃い競馬をいくつか重ねてきたが、3歳シーンは折り合いに腐心。取りこぼしも多かったけれど、本年1月の
シルクロードSから馬具を工夫。課題だった引っ掛かり癖の解消法が見つかった。
高松宮記念はインコース絶対有利の馬場に泣いたが、
京王杯SCは1200m通過・1分8秒0というなだらかな平均ペースに、苦労しながらも最後1Fもうひと脚を使い、後続をねじ伏せ地力強化を明確に示した。
馬具の効果や体力強化も重なり
セントウルSは484(+14)キロに増量。骨格と筋肉量がピタリと一致、折り合いに汲々とした以前と異なり、前半3F・32秒5というペースを押っつけながら追走。直線2F標識でエンジンが点火、レースの上りを0秒8上回る32秒9という上りを駆使。従来の記録を0秒5塗りかえる1分6秒2のレコードで走り、理想像を数字でも具現した。
レコ勝ちの反動と中二週というタイトなローテーションがカギになるが、
セントウルS当日は1勝クラスのマイルでもレコードが飛び出す異例の高速馬場。時計は0秒5くらいは割り引いて考えたほうがよく、力を絞り出してはいないぶん、疲労も少なくてすみ、一週前の土曜日に速いところをやり、当該週の水曜日はCWで上り重点という調教パターンは前走とまったく同じ。坂路・CWのタイムも前走と同じか、それ以上。追い切りビデオを見て、改めて四肢や首の動きに力がみなぎっているのも確認できた。先週の中山は前残りのオンパレードだったが、腰が大きくなり踏ん張りがきくようになった今はスタートも決まり、奇数枠とはいえ13番枠なら包まれることなく先行勢の脚色をはかり、ある程度好ポジションもとれる。
ただ、一つ年下の
ナムラクレアは相当手強い。紐解けば
小倉2歳Sを上り33秒9で外一気、1分7秒9という決着タイムは過去十年の
小倉2歳Sの最速タイだった。GII・
フィリーズレビューはアタマ差2着に敗れたものの、1分19秒9という決着タイムはレースレコード。前年の
メイケイエールも
小倉2歳Sを勝ったが、レース内容は同等か、それ以上。1Fが長い
桜花賞も枠順や馬場に恵まれたとはいえ、0秒1差の3着というあわやの見せ場を作り、函館SSは好位で悠々と脚をため、並ぶ間もなくという表現がぴったりの鮮やかな一気差し。50キロの軽量とはいえ素材の確かさを見せつけた。
北九州記念は外枠からジンワリとポジションを探ったが、勝負どころで外から外から来られ四方をぐるりと囲まれる大誤算。直線入り口、外に持ち出そうと合図を送ると、反応があまりに敏感すぎ外に一気に2頭ぶん大きく膨らむ、思ってもいない大誤算。あわてて内に切り替え逆に進路を失ってしまったが、ラスト1Fの伸び脚は強烈。斤量は53キロ、正攻法の競馬を心掛ければ逆転の単も十分。
三番手には
シュネルマイスターの決め手を抜擢。
NHKマイルCをレコ勝ち、
毎日王冠完勝、
マイルCS2着で
グランアレグリアの後継マイラーに浮上したかに見えた。だが、GIマイラーの力量は示したものの、
安田記念は流れに乗り遅れクビ差2着の惜敗。秋の狙いはむろん次走の
マイルCSにあるが、今年は
毎日王冠ではなく勝負どころの反応と動き出しを機敏にすべく
スプリンターズSをチョイスし。思えば父は欧州のス
プリントシーンを席巻した快速馬
キングマン。
見れば4歳秋を迎え体型もずんぐりと寸が詰まり、100m走者のようなス
プリンター仕様になっている(気のせいか)。道中の位置取りや流れには苦労は覚悟。6Fもマイルも有無を言わせぬ末脚を繰り出す
グランアレグリアのような馬は二頭はいないけれど、決め手と体力はNo.1。15番枠とあれば後方待機、坂上猛追と腹も括りやすい。
ウインマーベルは、まなじりを決してここ一番に臨む。
キーンランドCは直線外に逃げ気味、空いた馬場の真ん中を強襲され痛恨の2着に敗れたが、惜敗のくやしさはジョッキーが一番に知っている。ひと叩きして馬体もフォームも精度アップ、今度はブレない。夏場を3戦というローテが微妙だが、
キーンランドCの覇者
ヴェントヴォーチェは、知っての通り西村淳Jとのコンビで
春雷Sを1分6秒8で圧勝歴がある。時計勝負は少し厳しいが、
ナランフレグは昨年暮れの
タンザナイトS一気差し以降、右回りでも三分三厘でガツンとギアが入るようになった。