【三冠一等星】
スターズオンアースが、史上7頭目の牝馬三冠に挑む。祖
母スタセリタはルメールJとのコンビで仏
オークスを制覇、米国に遠征し合計6つのG1タイトルを手にした世界に名をとどろかせた名牝。加えて母の妹は
オークス馬
ソウルスターリングという重厚感あふれる良血。ただ、ハミ受けやフォームを丁寧に矯正しつつ、
桜花賞制覇は6戦目。近年のクラシックでは珍しく助走期間が長かったが、
桜花賞はその経験値が混戦を断ち割る源となった。湿った馬場、内枠圧倒的有利のコース・コンディションを密集馬群で我慢。残り1F標識過ぎ馬群をこじ開け急加速、培ってきた精神力の高さと
パワーで最後は力で捻じ伏せてみせた。
オークスはミドルペースの
桜花賞とは一変、前半1000m通過は60秒6のスロー。コースロスの大きな18番枠からの進発となったが、中団にとりつくまでのリズムはスムーズ。残り4F標識から11秒6というHラップが表れ、続く3Fのレースラップは11秒3-11秒7-11秒8(34秒8)。瞬発力を問われる典型的な上り勝負となったが、上り33秒7という最速の上りを駆使し後続を置き去り。着差は1馬身余りでも脚色は断然優勢、高速決着にも軽々と対応して見せた。骨折は軽度で済んだ。
オークス時、少し細くなりかけていた首回りや身体は、一回り幅が出て頑丈さを増した。
エリザベス女王杯など次走も想定し、わずかにオツリを残した造りなのだろう。一週前の追い切りは重心が高く、伸びひと息を心配したものの、最終追い切りは馬なりでビュン。南W上り3F・36秒9-11秒6で唸るように加速。鞍上のルメールJも仕上がりのよさと操縦性を再確認できた。
対抗は
ナミュール。牝系の大本は快速で知られた
桜花賞馬
キョウエイマーチ、近親
マルシュロレーヌのBCディスタフ制圧は記憶に新しい。本馬も東京マイルの
赤松賞を上り33秒0で一閃、1分33秒8という走破タイムはGIII・
アルテミスSより0秒2速かった。
チューリップ賞の1分33秒2という走破タイムは過去十年で2位タイ。世代マイル戦線では突出した記録を叩き出している。体力不足のため成績に波があり、
オークスも決して万全とはいえない造りでも、直線半ば一旦見せ場を作った。ひと夏を充電期間にあて、木曜日発表の体重はプラス30キロ。輸送で大幅に減る馬でもあり、ふたを開けたらアレという微増にとどまるかもしれないが、
ナミュールは数字ではなくいかに腹回りからヨロのラインが巻き上がっていないか。歩様の力感と四肢の踏ん張りが大事。テレビカメラから大きく飛び出して映るようなら逆転の単も一考。
スタニングローズは
フラワーC勝利を契機に確変、いざ
オークスへ
アタック。勝ちに行ったぶん2着に惜敗したが、
紫苑Sは14キロ増という余裕残しの造りで、内回りの阪神2000mを念頭に入れ先行勝ち。二週にわたり坂路1F・11秒9を連発、デキも
ピーク。
週中雨が続き、日曜日の空はたぶん曇天。もし重馬場、もしくは湿り気の残る特殊な馬場になれば、
ストーリアを惑星に抜擢。目下3連勝中、しかしいずれも左回り。水気を含んだ馬場か稍重と、記録的根拠が説明し辛いタイプではあるが、二走前の
カーネーションC・1分47秒0は、同日の古馬OP・メイSと0秒7差。前走の
三面川特別も稍重条件下・ラスト1Fを11秒7で走破。最終追い切りは木曜日、しかも抽選待ちとあって表には出てこなかったが、坂路を駆け上がるグリップ力と
パワー圧巻。内回りの5番枠、鞍上は松山J。あっと驚くイン強襲、単勝も少々。好天の
時計勝負なら
アートハウスも上位争い必至。
オークスは果敢な先行策で勝機を探ったが、まだ背腰が尖り踏ん張りが利かない。ただ未完成な造りでも4着には入線を果たした。ひと夏越えた
ローズSは、体重数値に変化はないものの、四肢の可動域が大きくなり力強さを増している。
ローズSは道中2コーナー、3コーナー手前で外から厳しいプレッシャーを受けたが、上り4Fを11秒台の連続ラップで抜け出す
パワーを獲得。予定より力を使い疲れを心配したが、直前調教の動きや川田Jの表情など見ると持ち直しているだろう。
ローズS3着の
エグランタインも、バテることなく最後ジワリともうひと脚を使った。少し時計のかかる馬場になれば粘り込み十分。
ウインエクレールの兄は香港G1を2勝、9-10F重賞を席巻した
ウインブライト。
ステイゴールド産駒の兄ちゃんとは身体もタイプも違うが(笑)、二走前の稍重馬場での
スイートピーS完勝、そしてSTV杯の1分47秒7(2着)は、翌日のGIII・
クイーンSより0秒1速く内容は濃い。