【堅実無比】
トップナイフは、明け3歳世代のクラシックをはかる高精度の「モノサシ」。戦績と完成度の高さは突出している。半兄
ステラウインドは6勝(
万葉S勝ち、
七夕賞2着、
青葉賞3着)。息長く長丁場で活躍した味のある中長距離型だった。弟も挙動不審にすら映った新馬時から心身ともにすっかり幼さが抜け、実戦を幾度か経験し能力が開花。しっかりとした芯が通ったのは三走前の萩S。前半1000mを60秒3のミドルで通過、残り4F標識から11秒6にペースアップ、続く3Fを推定11秒5-10秒9-11秒5(3Fは33秒9)でパンチアウト。ラップも含め、1分46秒2という走破時計で、クラシック戦線への楔を打ち込んだ。
二走前の
京都2歳Sも前半1000mを60秒4で通過、今度は中団内を追走。後半1000m以降もよどみのない12秒3-11秒7のラップが連なり、今度狭いインを割って2着に肉薄してきた。
前回の
ホープフルSは緩ペースを想定。本質は逃げ馬、機先を制しまんまとマイペースに持ち込み1000mは61秒5のスロー。勝ち馬の思わぬ根性にハナ差惜敗を許したが、上り3Fは11秒9-11秒2-11秒9(35秒0)。中山の急坂も3連続して11秒台の高速ラップが使え、自在のレース運びがいつでもどこでもできる。鍛えられた馬だけが持つ、味わい深い鈍色の光沢を放つ馬体を保っている。
ポテンシャルなら
タスティエーラ。性格は敏感、しかし体重のわりには体は華奢。東京9Fの新馬戦は疲労など残さないよう安全策の逃げをうったが、上り3F・11秒2-11秒1-11秒2(3Fは33秒5)というHラップでまとめ、ムーアJが置き土産にと、後のクラシック戦線を思い最後まで気を抜くことなく追ってくれた。
共同通信杯のパドックに立つと、依然子供っぽさが気になる。前半の先行争いは一瞬厳しいのでは――ところが1000m通過は意外や60秒5の緩ペース。正攻法のポジションで教科書通りの競馬もできたけれど、決定打を放つには少し体力不足。前を行く馬にも脚は残っており4着に伸び負けてしまった。短い期間とはいえカギは前走後の成長。筋力増が可能なら中山の急坂を先頭で駆け抜けるシーンも十分ありえる。
長期休養明けのぶん三番手としたが、
ゴッドファーザーはGI級の
シルエットを醸し出している。特筆すべき血統馬とはいえず、性格はいかにも不器用。新馬戦はエンジンがやっとかかり始めたところがゴールだった。二戦目の福島戦は1000m通過・60秒8のミドルを油断なく追走、ラスト4Fめから11秒8に加速、直線は2着が映らないのでどんどんカメラが引いていく。文字通り持ったままの馬なりで後続を引き離す一方の大楽勝を果たした。福島ゆえ注目は低いが1分49秒1という走破タイムの質は相当高く、福島経由の久々のクラシック候補はこれだ。ずっと温めていた馬だった。長欠明けになるが、追い切り時計も一週ごとに短縮。最終追い切りは芝コースに入れ、本番のスピードに慣れさせる工夫もこらした。
グリューネグリーンも上位争い必至。祖母は
オークス馬
ウメノファイバー、半兄
ヴェルデグリーンは
AJCC・
オールカマー優勝。デビュー二戦目東京9Fを1分46秒4という好タイム勝ちがあったが、1000m通過・57秒9というHペースを経験。続く
京都2歳Sの1000m通過は60秒4、その前の一戦に比べれば遥かにペースは楽だ。2分0秒5のVは未勝利の延長線上にあったといっていい。
ホープフルSはタイトなローテ、関西遠征明け。出鼻をくじかれ先手を奪えず空回りしたが、体調を整えレースプランを定めれば巻き返し十分。
レヴォルタードの母は
フラワーCなど重賞3勝(
オークス3着)。東京9Fの新馬戦は1分47秒4(2着)、二戦目の前走は1000m通過・59秒4-1800m通過・1分47秒4という確からしい平均ペースの上に立ち、後続に0秒5差、1分59秒4という数値は重賞レベルに近く、さらに体力もついてきた。
ワンダイレクトは新馬戦に続き
若駒S2着。立ち回りが上手く、中間の調教では切れも感じるようになった。