【9Fの天才】
ホウオウビスケッツは、マイルから10F重賞を舞台にして、将来も長期政権を築ける良駒。6月という超のつく遅生まれ。しかし
マンファスの4×3という野心的なインブリード配合をもち、祖母の兄弟は
キングカメハメハ。その異形の交配がプラス効果となったか。
マインドユアビスケッツ産駒ながら、適度に四肢は長く皮膚とボディラインは薄く滑らか。中山マイルの新馬勝ちタイムは1分34秒9。1000m通過・59秒6というミドルラップを自ら牽引し、上り3Fを11秒9-11秒4-12秒0(35秒3)でパンチアウト。
後続が迫ってくるとまたひと伸び、坂上から11秒4という二枚腰を使い、余力を残しゴールテープを切った。
フリージア賞のパドックの仕草には風情さえ感じ、度胸もあり無駄な動きがほとんどない。ただ父は
マインドユアビスケッツ、2000m適性はさてどうか。ガツンと頭を丸め素早く先手、前半1000mは61秒6のスロー。
見た目は平穏な逃げ、しかし6Fめから11秒8-11秒6にペースアップ。続く3Fは11秒2-11秒2-11秒9(3Fは34秒3)。後半1000mをすべて11秒台で走破、5F・57秒7という数値はちょっとすごい。パワフルな前脚の手繰り方を見ると、湿った馬場もこなせる可能性が高く、二戦の内容を見ると、まさに中山の9Fは
ドンピシャ。ただ、ハナを主張するスピード馬がいて、好位で折り合えるかどうかがデリケート。ロスが生じ末が甘くなるようなら
セブンマジシャンの首位も有望。
母は5勝、母の妹は
ノームコアと
クロノジェネシス。鼻息が荒く少しそそっかしいところがあるが、二走前の
黄菊賞は内回りの2000m、シンガリ一気の大マクリ。
重馬場条件下・11秒8-11秒8-11秒8(3Fは35秒4)というレースラップを、自身34秒7というパワフルなラップでネジ伏せた。
ホープフルSはスタートからずっと頭を上げ引っ掛かりっぱなし。
京成杯は3-4角、直線入り口と二度にわたって致命的な不利を被り、馬も騎手も馬券を買っているワタシたちも泣きたい思いの3着に敗れたが、反動もなくより研ぎ澄まされた姿形で
スプリングSに参戦。
黄菊賞の内容を想うと、渋った馬場は大歓迎。中山9Fの
スプリングSの追い込み風景がよく似合う。割って入れば
ベラジオオペラ。三代母は
エアデジャヴー、母の兄
エアアンセムは
函館記念勝ち。新馬戦の上りは推定11秒7-10秒6-11秒3(33秒6)という高速ラップを計時した。
セントポーリア賞の東上を楽しみにしていたが、まだ水っぽいかな? 気性も前掛かり。
バックストレッチ半ばあたりで折り合いがつき、二番手で納得、前半1000mは61秒3で通過。上りラップは推定11秒4-11秒2-11秒3(33秒9)。ジワジワと
トップギアに入るスピードタイプだが、才能のありかは示した。ただ時計は1分48秒0。本命のホウオウの
フリージア賞の通過タイムは1分47秒4だった。この時計差が現状の力差になるかもしれない。
割って入れば
パクスオトマニカ。母の弟
サンデーウィザードは
新潟大賞典優勝、もう一頭の弟
ヒーズインラブはダービー卿CT優勝。半姉
ディヴァインラヴは
菊花賞3着という、タイプの異なる活躍馬が母系には顔をそろえている。本馬の初勝利は二戦目、新潟内回り2000mを逃げ切りV。
葉牡丹賞は前半1000mを60秒0というHペースで飛ばし、結果6着に沈んだものの2分0秒0を計測。
若竹賞は1F距離を短縮、1000mを60秒8というほどよい流れで通過し、後半5Fめから11秒9-11秒8、最後の3Fは11秒8-11秒5-12秒2(3Fは35秒5)。これぞ中山9Fのお手本という、軽妙洒脱なラップ構成で逃げ切りVを決めた。
1分48秒1も古馬2勝クラスに匹敵、将来は9Fのスペシャリストとして面白い存在になる。湿り気が残りスタミナ勝負になれば
ハウゼの粘り込み。
トーセンアウローラも道悪はオニ。
アイスグリーンはイレ込が課題。