【ハーダーゼイカム】4歳馬
ナムラクレアの可能性を買いたい。2歳夏、小倉2歳Sは上り33秒9で外一気。1分7秒9という決着タイムは過去十年の小倉2歳Sの最速タイだった。GII・
フィリーズレビューはアタマ差2着に敗れたものの、1分19秒9という決着タイムはレースレコード。1F長い
桜花賞も、枠順や馬場に恵まれたとはいえ、0秒1差の3着というあわやの見せ場を作った。函館SSは好位で悠々と脚をため、並ぶ間もなくという表現がぴったりの、鮮やかなレース捌きで古馬を撃破。
北九州記念は外枠からジンワリとポジションを探ったが、勝負どころで外からゝ前に入られ四方をぐるりと囲まれる大誤算。直線入り口合図を送ると、今度は逆に外に膨らみ、逆に進路を失ってしまった。不利というのは何故か続くもので、
スプリンターズSは直線入り口外一気に呑み込むかに思われたが、内外のトラックバイアスに泣き、残り1Fで外を動いた馬はみんな脚がピタリと止まってしまった。競馬にはラッキーもあればアンラッキーもある。ただそれを天を見上げ幸運を待っているだけではきっと後悔する。
シルクロードS前から、坂路からCWへ追い切りの重点を移し、チップを被っても怯まない我慢と、スタミナという課題も課した。結果前半3F・11秒9-10秒8-11秒1(3Fは33秒8)という6F重賞にして緩い流れも内で我慢。後半3F・11秒1-10秒8-11秒6(33秒5)というレースラップを0.6秒上回る、32秒9(10秒台のラップを推定2F計測)というオニ脚を駆使。
着差はアタマ差ながら2着との実力差と切れ味差は歴然。前走の調教メニューに1割増し、心身の造りも同じく1割増しがかなった。枠だけが何とも微妙だが、中京6Fは二連続、斤量は56.5キロから56キロへ軽減。若馬時代だが不良馬場完勝実績もあり、北海道の洋芝で
パワーの在処も証明済み。ちなみに近親は
凱旋門賞馬
バゴなど、欧州の中距離G1を勝ったブラックタイプがわんさか。熟せば熟すほど味わい深いス
プリンターになる。
対抗はひとつ年長5歳牝馬
メイケイエール。デビューは小倉、重馬場の小倉2歳Sを楽勝、
ファンタジーSをレコ勝ち。
桜花賞は18着に沈没し、折り合いに苦労したが、馬具など矯正し
セントウルSを1分6秒2・上り32秒9でレコ勝ち。その軌跡は本命の
ナムラクレアとよく似ている。
スプリンターズS惨敗は、パドックの様子などからレコ勝ちの疲れも残っていたか。香港戦は馬具に制限もあり力を発揮し切れなかったが、今一度昨年の
シルクロードS前後の調教メニューに立ち返り、走る楽しさと活気を呼び戻す努力を重ねてきた。4歳牡馬
ウインマーベルも差はわずか。
本格化までに何度か踊り場も経験したが、3歳春は橘S、GIII・
葵Sを連勝。古馬初対決の
キーンランドCを2着し、GI・
スプリンターズSはきわどい2着。特殊な先行・イン有利の馬場。コース取りにも気を遣い、ひと呼吸追い出しのタイミングが遅れてしまったが、GIでの立ち位置にはっきりと手応えを感じた一戦となった。前哨戦の
シルクロードSは59キロ、外枠に加え出遅れ、折り合い難を露呈し7着に流れ込むのがやっとだったが、フワフワとした走りと気性を稽古で見直し。今回もまた試練の大外枠となったが、GI仕様へと練磨してきた。
惑星は
アグリ。目下4連勝、重賞の壁も
阪急杯で一気にクリアした。正直まだ馬体の造りはGI馬というには幼い。若さや緩さを残すその姿形でも、前走の6F通過タイムは1分7秒6。ゴール前詰め寄られたシーンなど振り返ると、現状ベストは6F。もちろんGIでも勝負になる。
ヴェントヴォーチェも、不利を被ることが多く毎回好走とはいかないが、
オーシャンSの勝ちっぷりとタイムはGIへの特別席への切符になる。馬場適応と仕掛けどころがデリケートだが、ツボにはまれば
トウシンマカオ。
グレナディアガーズも、最後のギアがガツンとハマれば一発長打が期待できる。