【激闘・東京決戦】
マスクトディーヴァが初のGI・マイル制覇へ挑む。
ローズSを1分43秒0の大レコードで圧勝、3歳秋に一気に才能開花をみた。
ローズSは全体時計だけでなく、マイル通過タイムは1分31秒2、ラスト2F目に推定で最も速い10秒8というラップを計測。高速馬場に恵まれただけでは決してない。
秋華賞は内回りに加えスロー、馬群を捌き切れず2着に終わったが、最速の上がりで
リバティアイランドに0秒1差に急接近。リバティはほぼ安全圏に入っていたが、馬体を併せていたら逆転の可能性も生まれたかもしれない。本年は
ヴィクトリアマイルを念頭に置き
東京新聞杯から発進したが、ポジションを取ろうと気ばかり逸り、逆に出遅れを喫しレースプランが台無しになってしまった。
阪神牝馬SはモレイラJを配し、発馬を決め1番枠から好位内の4番手をスムーズに追走、直線入り口外に持ち出す正攻法の形が取れた。さあこれから加速という場面で右手綱が外れ、片手だけしか使えないサーカス騎乗でも、上がり2F推定10秒8-10秒9の脚が使えた。前走後の上昇度も青写真通り、最終追い切りの坂路調教は力強く首を使い四肢はリズムよく連動、グリップ力もガッチリ。後入れの偶数枠6番も引き当てた。
超えるべき壁は
マイルCSの覇者
ナミュール。3歳時は腰回りが薄く後肢の送りが弱く硬くなる時がある。レース運びや加速にムラが生じ、
オークス3着、
秋華賞2着に終わったが、4歳秋・富士Sを境にボディラインとフォームが一変。1分31秒4という破格のタイムで外強襲を決め、
マイルCSは上がり3F11秒6-11秒5-11秒2(34秒3)というレースの上がりを1秒3上回る33秒0の超速ラップでゴボウ抜きを決めた(上がり2Fはどうみても推定10秒台を計測)。香港遠征は小回りと平坦に手を焼き、
ドバイターフは火の出る追い比べを短頭差2着に惜敗したが、末脚の威力は世界屈指であることをまざまざと示した。検疫のため栗東入りが遅れ、正味2本での出走となるが、ビクともしない心身が備わった馬になっている。左回りのワンターンの東京は条件ベスト、本命との一騎打ちが濃厚。
三番手は
ウンブライルの切れ。キャリアは8戦、うち最速の上がりをマークしたのは実に5回。状態をはかりながらの仕上げでも
阪神牝馬Sは32秒9でゴール前2着に急追。馬込みに入ると脚を突っ張り仕掛け遅れとなるが、スムーズに外に持ち出せれば一角崩しは十分。
モリアーナの一発も要警戒。3歳9月の
紫苑Sは1分58秒0、タイレコードで驚異のシンガリ一気に成功。記録ホルダーの先輩
ノームコアは、後に
ヴィクトリアマイル、
香港Cを制覇。横山典J騎乗も含め随所に共通点が多く、先輩に倣い倣え。
折り合いや追い出しどころなど気難しさはあるが、
フィアスプライドはマイルの
ターコイズSがもっともスムーズだった。
コンクシェルはマイペースの単騎逃げ、流れはきっとスロー。展開のみならず、二走前の
初音S1分45秒5は、時期は異なるが
府中牝馬Sのレベルに近い。後続には0秒5差の圧勝、上がり4Fを11秒台の力強いラップでパンチアウトしており、稍重の
中山牝馬Sを逃げ切ったが良馬場の方がもっと力が出る。