【数字の理にかなっている】
ジャスティンミラノが4戦無敗で二冠を奪取。2歳秋の東京10Fデビュー、新馬勝ち決め成長期間を設け、年明けの
共同通信杯は11秒4-10秒9-10秒8(3Fは33秒1)というレースの上がりを、二番手追走から自身32秒6の加速ラップで
朝日杯FS馬を悠々退けた。芝中距離の坂コースで10秒台の数値を二連続出せる馬は過去と照らし合わせても稀。出色の数値こそが能力の発露であり次走の
皐月賞・1分57秒1というレコードに連結した。ちなみに前回は一転前半1000mは57秒5という激流、位置取りは終始5番手。厳しい流れにも余裕をもって対処し、後半1000m・11秒-12秒1内のよどみのない流れにも音を上げることなく、坂上一気に先行勢を呑み込んだ。
皐月賞時は心身ともまだ緩さを残しており、その器の大きさには驚く。前走後の立ち上げは早く、CW6-7F追いを3本課し、仕上げは坂路でばねを利かした走りでサラリ。友道厩舎は近8年で
日本ダービーは3勝、大一番の仕上げを知り尽くしている。
対抗は
レガレイラ。三走前のアイビーSでは、11秒2-10秒9-11秒0(3Fは33秒1)というレースラップを、
ジャスティンとほぼ同じ32秒7(推定10秒台を3つ)を2歳10月時に早々に計測。
ホープフルSは年末の荒れ馬場、前半1000m・60秒フラットのミドルペースで推移、レースの上がりは35秒9を要したが、上がり35秒0・ラスト1Fを推定11秒5前後の加速ラップで鮮やかな強襲劇を演じた。2分0秒2は
皐月賞に比べると地味に映るが、
サートゥルナーリアや
コントレイルより1秒以上速く過去十年ではNo.1。ただ、隆起した逞しい前腕部に比べ、ハチのように腰は細く発馬やコーナーで踏ん張りが利かない。
ホープフルSは後方でジックリ構えフォームが整うまで追い出しを待つ余裕があったが、同じ1番人気でも
皐月賞は勝負どころである程度動かして行かざるを得ず、4コーナー手前で外に膨らみ他馬と接触、
バランスを崩し直線は内にモタれ伸びを欠いてしまった。しかし今度は大箱の東京、懸案の腰回りもふっくら筋肉もついた。牡馬混合戦でもとりみだすことなく女王様のようにハートは強い。
ルメール騎手の瞬発力をもってすれば首位に肉薄――あるいは逆転の単も一考の余地あり。
前記二頭には少し記録は劣るけれど、
アーバンシックは東京10Fの
百日草特別を上がり33秒2で駈け、中山の
京成杯でも上がり33秒9をマーク。
皐月賞は追い切り一本が不足、皮一枚厚ぼったい造り。ややトモ回りも硬くダッシュがつかず、小回り対応に泣きエンジンがかかったのはやっと坂上から。時すでに遅しの4着に終わったが、最速の上がりとはいかずとも印象度は一番。本馬の適性と目標はあくまで
日本ダービー。稽古はハード、一変を期待していい。
ダノンエアズロックもアイビーSの上がりは32秒7、東京に10Fの連続ラップを保持。大柄のわりに性格は敏感、
弥生賞は右回りとコーナーに対処できなかったが、モレイラ騎手が跨れば前進気勢もおさまり返し馬も堂々。前走の
プリンシパルSは前半1000mは61秒6のスローは承知。
日本ダービーも見据え、あえて中団馬群で待機。逃げ先行勢の脚は余力十分、残り3F地点から11秒0に一気にペースが上がり、続く2Fは11秒5-11秒7と高速(3Fは34秒2)。前を掴まえるのに若干苦労したように映ったが、33秒4の加速ラップをグイグイと繰り出し、終わって見れば1馬身余の快勝。「まだ強くなる。2400mでさらに良さが出る」と、モレイラ騎手の言葉は単なるエクスキューズとは思えない。
プリンシパルSから
日本ダービー制覇は冒険的ローテではあるが、堀調教師は
タスティエーラを完璧な仕上げで
日本ダービー馬へと導いている。
シックスペンスも9Fの
スプリングSから異例ともいえる
日本ダービーぶっつけ。距離延長、初の左回りなどいくつも課題を抱えているが、中山の急坂を推定10秒7-10秒6の猛ラップで後続を3馬身余にチギり捨てた逸材。背中は適度に長く、川田騎手も
日本ダービー好勝負を口に。いつもデータは、超えるためにある。
シンエンペラーは体調か、ムラな性格か。
皐月賞は残り100mで脚が止まった。しかし中間まるで
オジュウチョウサンのような耳袋や巨大なチークピーシーズなど装着。集中力と末脚の持続力が劇的にまでアップしている。
皐月賞5着からのジャンプアップを期待していい。
ビザンチンドリームは
皐月賞は直線勝負を決意。出遅れやポジションなど想定通りだったが、ただ3-4コーナーでモロに前をカットされる痛恨の不利。見限るのは早計、東京替わりで大逆転ホームランはないか。