【熱闘・激闘】本年の
皐月賞は、数多の個性派が揃い荒れ模様の大混戦。坂上にかけレース風景はガラリ一変、ゴール寸前
ビザンチンドリームの外強襲を決める。祖母は
フサイチエアデール。
母ジャポニカーラ(
父ジャングルポケット)は8F2勝。牝馬のように華奢に見え、性格は繊細。12月の新馬戦はレース前半は後方寄りでソロリソロリ、前半1000mは62秒0のスローで展開。3コーナー過ぎムルザバエフJがスイッチを押すと、若干内にモタれ気味ながらも一気にギアが上がり、11秒7-11秒5-11秒3(34秒5)というレースラップを自身33秒9で大外一気。上がり2Fは推定11秒2-10秒9を計時していたか。
しかし2か月たった
きさらぎ賞でも、まだ心身ともにベイビー。ダッシュがつかない、頭を上げ抵抗する。前半は60秒2のスロー、馬の進路が見つからず直線はやむなく大外へ誘導、先頭とはかなりの距離がある。上がり3Fのレースラップは12秒0-11秒1-11秒3(34秒4)、直線だけの正味2Fの瞬発力勝負となったが、3F33秒7(2Fは推定10秒9-10秒7見当?)の豪脚を繰り出しハナ差ながらも勝利をもぎとった。ちなみに1分46秒8は、
サトノダイヤモンドの記録より0秒1速い、
きさらぎ賞のレースレコードだった。中間の追い切りの負荷と過程は前走通り、ハミを
トライアビットに替え操縦性アップをムルザバエフJも確認。性格は子供だが輸送で動じるタイプではなく、レースの流れが厳しくなればなるほど最後は決め手がモノをいう。枠は17番、しかし後方待機ゆえ却って腹を括れる。
牝馬
レガレイラは76年振りの牡馬混合GI
皐月賞に狙いをすましての挑戦。1800mという中距離を二回使った行きがかり上、暮れは10Fの
ホープフルSに参戦。年末の荒れ馬場を前半1000m60秒フラットのミドルペースで推移、タフな流れゆえレースの上がりは35秒9を要した。中山2000mは
皐月賞然り、メンバーレベルや格が上がると、ジワリ後方待機策が功を奏すパターンも多く、上がり35秒0は最速、ラスト1F11秒5前後の加速ラップで鮮やかな強襲劇を演じた。2分0秒2は過去十年ではNo.1、
サートゥルナーリアや
コントレイルより1秒以上速く、なよなよとしたいかにも牝馬のような身体つきも胴周りに実が入り
シルエットも変化。一週間前追い切りに跨った北村宏Jも力量を把握、レースプランを描けた。
メイショウタバルは、自作自演のハードな逃げ切りVもありえる強烈なスピードスター。二走前の
つばき賞は残り4Fすぎから11秒台に突入。続く3Fを11秒1-11秒1-11秒8という味わい深いラップで1分46秒9で振り切った。
毎日杯はさらにもう一段レース精度が向上。馬場差2秒という重馬場条件下、前半1000mを59秒6で飛ばし、上がり3Fを最速の11秒6-10秒9-11秒9(34秒4)でパンチアウト。2着にはおいでゝの6馬身差、ラスト2Fめの10秒9という加速装置は出色。父は
ゴールドシップ、なるほど挙動不審な怪しげな雰囲気も漂わせているが、身体は驚くほど柔らかい。ローテはタイトだがCWで6F追いを一本、最終追い切りの坂路1F11秒8という速力と
タフネスさも目を見張る。
惑星には
コスモキュランダの完成度を指名。血統および馬体に強力なストロングポイントは見当たらないが、チークピーシーズを大きなものにかえ、二走前の中山10F戦は上がり2F推定10秒台のHラップで坂上2着に急加速。
弥生賞は湿り気の残る馬場の下、1000m通過60秒4という平均ペースを向こう正面半ばからスルスルと先頭に並びかけ、メンバー中第二位の上がりで
シンエンペラー以下を封じこめた。気が急き早めのマクリに出たというよりは、スピードに任せたまたま出して行った結果、力でねじ伏せた好内容だった。モレイラJなら勝負どころでタメも利き操作は自在、坂上近辺では間違いなく最先端で勝ち負けを演じているだろう。
シンエンペラーは、勝負どころで即座に反応してくれるか。追えばどこに飛んでいくのか。コントロールがきわめて難しいが、
凱旋門賞馬
ソットサスの弟、
ホープフルS2着、
弥生賞2着。坂井瑠Jも眦を決してクラシック制覇に挑んでくる。
アーバンシックは
京成杯を上がり33秒9の末脚を繰り出し2分0秒6の2着に急追。不器用ゆえ
皐月賞よりは
日本ダービー向きだが、同じように
京成杯を好走して
皐月賞を直一気で仕留めた
ソールオリエンスと末脚の威力はよく似ている。
ジャスティンミラノの搭載エンジンは巨大、
共同通信杯の上がりは10秒9-10秒8。ダイナ
ミックな推進力とスケール不気味。