･前走｢1番人気1着馬｣をのぞく､前走でG1以外に出走していた馬
※東京過去8年[0-0-4-64]
●2010年該当馬→アグネスワルツ(3着)､ブルーミングアレー(7着)､モーニングフェイス(8着)､トレノエンジェル(12着)､ニーマルオトメ(18着)
○2011年該当馬→バウンシーチューン､エリンコート､カルマート､マイネソルシエール､アカンサス､シシリアンブリーズ､ハッピーグラス､マイネイサベル､ピュアブリーゼ

･中央1勝馬
※東京過去8年[0-0-1-32]
●2010年該当馬→ブルーミングアレー(7着)
○2011年該当馬→ハブルバブル､メデタシ､カルマート､マイネソルシエール､シシリアンブリーズ､スピードリッパー､ハッピーグラス､ピュアブリーゼ

･前走で重賞&オープン特別以外に出走していた馬
※東京過去8年[0-0-0-13]
●2010年該当馬→該当なし
○2011年該当馬→カルマート､サイレントソニック､グルヴェイグ

2010年残った馬→アパパネ､サンテミリオン､アニメイトバイオ､オウケンサクラ､アプリコットフィズ､タガノエリザベート､ギンザボナンザ､シンメイフジ､プリンセスメモリー､エーシンリターンズ､コスモネモシン､ステラリード､ショウリュウムーン

【昨年結果】
1着:アパパネ(○)
1着:サンテミリオン(○)
3着:アグネスワルツ(×)

2011年残った馬→ライステラス､マルセリーナ､デルマドゥルガー､ホエールキャプチャ

井崎:う?ん､アパパネさえいなければ完璧だったんだけどなあ｡

須田:いやいや､肝心かなめの勝ち馬がヌケだったんですから､惜しくも何ともないですって!　それに､グランプリエンゼルが4着じゃなくて3着だったら､それはそれで……｡

井崎:卒倒モンだよな(笑)｡なんでアパパネをヌケにしたんだと､自分自身を小一時間は問い詰めてるところだよ｡

須田:というわけで､両雄が見事に並び立ったヴィクトリアマイルもハズレ｡ケツに火が燃えさかっている状況のまま､今週のオークスへ突入することになりました｡

井崎:その火に関しては､一年中ずっと燃えているって話もあるけどな(笑)｡とはいえ､このあたりで少しは鎮火しておかないとマズいよなあ……｡

須田:おお､センセイに｢当てないとマズい｣って自覚があったのが､せめてもの救いですよ(笑)｡というわけでオークスなんですけど……消去ネタ､少なすぎません?

井崎:いや?､たったの3ネタで14頭も消せちゃうとは思わなかったんだよ｡で､消去ネタをこれ以上増やすと､マルセリーナとホエールキャプチャ以外が全滅しそうだしさ｡

須田:なるほど｡先週を1点で当てていればともかく､ここで｢今週は1点勝負!｣って狙いに行って外したら､カッコ悪いなんてモンじゃないですからねえ｡

井崎:とはいえ､その1点で決まる可能性もけっこう高いとは思うんだよ｡なんせ今年は､未勝利を勝ったばかりのカルマートが出られてしまうほどだからね｡

須田:でも､ちょっと気になるのがグルヴェイグ｡最後のネタで消去対象となっていますが､血統が血統だけに怖い存在になるかもしれませんよ?

井崎:でも｢母エアグルーヴ､父ディープインパクト｣って血統だけで､ソコソコ人気になっちゃいそうだからなあ｡配当的妙味が低すぎて､さすがに手が出しづらいよ｡

須田:内枠を引いたハブルバブル､メデタシあたりにも巻き返す余地はありそうですよ｡あとは､軽量馬が穴をあける傾向にあるので､バウンシーチューンとか｡

井崎:今週はやたらと不安を煽ってくるねえ(笑)｡でも､この4頭であれば組み合わせ次第で高配当も狙えるはずだし､初志貫徹で行くぞ!

須田:不安を煽っているのではなく､警鐘を鳴らしてるんですよ!　個人的には､ここはもう少し手広く入ってもよかった気がするんですけど……｡

井崎:でも､それだとトリガミ祭りの発生率が一気に上がっちゃうからな｡いいカタチで大一番のダービーへと臨むためにも､ここはビシッと決めておきたいねえ!

本命はマルセリーナ。牡牝混合の重賞シンザン記念では負けてしまいましたが、エルフィンステークス、桜花賞と牝馬限定戦ではしっかりと勝ちきっています。前走のように後ろから行くと展開次第で少し怖いところもありが、この馬の能力があれば問題ないでしょう。

　対抗はライステラス。前走は大敗してしまいましたが、それまでの成績から前走だけで見限るには早すぎる気がします。また、長距離の菊花賞を勝ったソングオブウインド産駒と言うのも引っかかります。

　3番手にはメデタシ。過去走はなんとも言いがたい成績ですが、逆にそこそこの安定感もあるという見方もできます。

　4番手評価はホエールキャプチャ。今までの成績は悪くないですがクロフネ産駒の芝長距離ということで少し割り引いて考えました。

　最後にバウンシーチューン。フローラSを穴で勝ったように、ここでもなにかしでかすかもしれません。

東大ホースメンクラブ　おにぎり

　桜花賞は阪神外マイルになってからオークスと直結するようになっただけに、この◎○の線を崩すのは、単に距離やコースが向くという理由ぐらいでは難しいだろう。

　器で割って入れるかもしれないというファンタジーがあるのはやはり▲で、オークス3代制覇がかかる良血でエアグルーヴ産駒のなかでは最も母似ではないかとも思える。

　◎は母系のブラッシンググルームのしなやかさとナシュワン×タレンティドガールの重々しさが出た走りで、もともと桜よりオークス向きと書いてきただけにここは逆転という結論。

　○もスローなら斬れと性能で好走する可能性は高いが、代々マイラー・スプリンターばかりがかけられてきた母系で自身もそういうマイラーっぽさが出ていてベストは1800mあたりだろう。オークスはマイラーでもこれるレースではあるが、あんなに強いアパパネがやっとこさ勝ったように、能力が僅差ならば中距離馬が有利なのも事実だ。

　調教Gメン研究所でも記しましたが、坂路単一調教馬にとって苦戦するのがオークス。
過去5年の勝ち馬と調教タイプを列記すると、

2006
カワカミプリンセス/標準多めトラック

2007
ローブデコルテ/標準多め併用

2008
トールポピー/標準多め坂路主体

2009
ブエナビスタ/標準トラック

2010
アパパネ/馬ナリ平均トラック主体
サンテミリオン/乗込トラック主体

　調教適性から本命を選択するのであれば、トラックもしくは併用調教馬という根拠が最もしっくりいきます。

　特に2007、2008年のように少し人気がなくても勝ち切ってしまうのは調教本数の豊富な「標準多め」。これをキーワードにすると該当馬はエリンコートかハッピーグラスに絞れます。

　この選択で上位に評価したのがエリンコート。

　前走は中1週と間隔が詰まった使い方でしたが、その反動もなく、早い時期から調教時計を出すことができています。

　また馬場が左回りになる日曜日にCWとDPで時計を出し、初めての左回り対策が行えている点も大きく評価できます。

　最終追いも長距離輸送があるからといって極端に遅くなることはなく、前走時とほぼ同じ内容で行えました。

　今年の出走馬の中では最もオークスに適した調教を行えたのがエリンコート。
　距離適性の不安を打ち消すことができるだけの調教適性を持っている馬です。

　今年のオークスは本賞金400万円の馬が5頭(トライアルで権利を掴んでいない1勝馬は2頭)出走します。これはどういうことなのかというと、同じ馬が賞金を稼いでいるということで、こういう年はもともと強い前走桜花賞組が活躍を見せる傾向にあります。実際の決着指数も桜花賞がもっとも高く-21でした。

　前哨戦ではレーヴティソールが2着に4馬身差を付けて勝利したチューリップ賞を除くと、次位はフラワーCで-13。桜花賞と前哨戦では大きく差があることから考えても、印の上位は前走桜花賞組にするべきでしょう。

　桜花賞の勝ち馬マルセリーナや2着馬ホエールキャプチャにも十分チャンスはありますが、◎は桜花賞6着のハブルバブルにします。同馬ははキャリア3戦目のフラワーCで桜花賞の3着馬トレンドハンターと0.2秒差の2着。競走馬はデビューからキャリア5戦目くらいまで指数を大きく上昇させる傾向にありますから、キャリア3戦目で指数-11をマークしたのは将来性があればこそです。前走桜花賞は道中で行き場所を失って力を出し切れていませんから、一気に指数を上昇させてくる可能性を秘めます。

　○は桜花賞で終始外々を回るロスのある競馬を強いられながらも2着にがんばったホエールキャプチャ。▲はオーバーペースの桜花賞で2-4着馬よりも積極的に動いて勝利したマルセリーナ。

　グレード制導入のS59年以降から「消える馬」・「残る馬」を検証してみよう。馬名の前の数字は出走馬番です。

1.ハブルバブル　
　2月以降4戦以上消化の1勝馬(マル地馬は中央戦のみを対象)は、前走重賞戦3着内好走馬・OP戦連対馬を除き[0-0-0-23]。

2.メデタシ　
　前3走(3歳時以降に限る)とも1600m以上のOP以上良・稍重のレースで5着以内と堅実な走りを見せていた馬は[1-0-2-11]。

　また、キャリア3戦以上で連対が1回だけの馬は[0-0-1-10]だが、この連対を外した11頭はすべて前走が桜花賞以外のレース。前走桜花賞4着の同馬は要警戒。

3.バウンシーチューン　
　前3走内(3月以降に限る)に未勝利戦使用歴がある馬[0-0-0-31]。

4.エリンコート　
　キャリア10戦未満の馬で、前3走内に芝の条件戦で連対を外したことがあった馬は、前3走内に重賞戦勝ち歴があった馬を除き[0-0-0-48]。

5.カルマート　
　良馬場条件の芝2000m戦経験馬で、持ち時計が2分04秒0を切っていない馬は[0-0-0-32]。

6.サイレントソニック　
　前3走内に6着以下が2回以上あった馬は、前3走内に重賞戦で連対歴があった馬を除き[0-0-0-96]。

7.ライステラス　
　1600・1800・2000mともに勝ち星がない馬(マル地馬は中央成績のみ対象)のうち、前走6着以下かつ0秒8以上敗退馬は[0-0-0-56]。

8.マイネソルシエール　
　前3走内、OP・重賞戦以外のレースで2回以上連対を外していた馬は、前走重賞戦勝ち馬を除き[0-0-0-25]。

9.マルセリーナ　
　桜花賞勝ち馬は[8-5-5-7]。このうち、a.ダート戦使用2回以上・b.前走体重10kg以上増減・c.芝3勝未満・d.キャリア7戦以下で着外2回以上・e.前3走内に条件戦使用ある場合、そこで1馬身差以上勝ちのない馬・f.連対率が5割を割っている馬・g.前年11月以降4戦以上レースを消化していない馬、以上のa?gの7項目に当てはまる馬を除くと[8-1-0-0]。

10.デルマドゥルガー　
　キャリア10戦以上で前走重賞戦10着以下・非重賞戦連対外の馬は[0-0-0-30]と上積み見込めず。

11.アカンサス　
　キャリア4戦以下の馬のうち、前2走内に条件戦敗退歴、もしくは条件戦勝ちも着差が1馬身差未満の辛勝だった馬は[0-0-0-30]。

12.ホエールキャプチャ　
　桜花賞2着馬は[4-3-1-15]。このうち、桜花賞の前走が3歳1600m以上重賞戦3着内好走だった馬は[3-0-0-3]。勝つか負けるか逆転劇に注目。

13.シシリアンブリーズ　
　キャリア5戦以下で前3走(2月以降に限る)とも1800m以上のレース使用馬は、前走トライアル重賞のフローラS勝ち馬を除き[0-0-0-15]。同型で、H21年のサクラローズマリー(前3走：未勝利1着→忘れな草賞3着→スイートピーS2着)は11番人気12着と穴出番なし。

14.スピードリッパー　
　3歳以降3戦以上消化していた馬のうち、前走1?3番人気以外で10着以下のフタ桁大敗を喫していた馬は[0-0-1-61]。前2走とも1秒以上敗退や前2走とも10番人気以下を除く前走10着以下馬のうち、a.前走大敗も1秒4差止まり・b.キャリア5戦以上で年明け3戦以上消化・c.芝の連対率が5割以上あるいは2走前に重賞戦連対歴、以上のa?cの項目をすべて満たしていた馬は[0-0-2-1]で、S62年タレンティドガールが11番人気3着・H12年オリーブクラウンが16番人気3着と大穴3着を演出。

　また、前走8番人気以下かつ10着以下(落馬・降着を除く)大敗馬は[0-1-1-52]。このうち、2走前に重賞戦で7番人気以内で連対・前走大敗も1秒4差内・斤量増加なしの3項目すべてを満たしていた馬は、前出のオリーブクラウンの他にH15年13番人気2着のチューニーが大穴演出。

15.ハッピーグラス　
　2000m以上戦を2回以上走ってゼロ勝馬は、前走重賞戦3着内好走馬を除き[0-0-0-24]。

16.グルヴェイグ　
　前走が5月の条件戦(未勝利戦も含む)だった馬は[0-0-0-25]。また、前走OP戦勝ち歴・重賞戦3着内好走歴のないキャリア3戦以下は[0-0-0-15]。

17.マイネイサベル　
　桜花賞不出走でトライアル重賞フローラS5着以下だった馬は[0-0-0-44]。

18.ピュアブリーゼ　
「未勝利戦または条件戦→フローラS」のローテで、フローラSで連対をはたせなかった馬は[0-0-0-37]。

　マルセリーナ、ホエールキャプチャの2強構図になっているが、指数的にもその2頭がやや抜けてる。2頭ともに3桁指数をマークした実績があり、淀みない流れへの適性も示しているだけに、距離延長に対する不安を積極的に煽るのは難しい。指数的には、距離延長に対する魅力の面を重視して一発を狙いたい。

　本命はエリンコート。現時点の最高指数が｢95｣で、やや物足りない印象もあるが、ここまでの指数動向を見ると、距離延長に対する適性を最も示している。初戦、2戦目が1200mで70台の指数だったのが、1500mに距離を延ばした3戦目に｢82｣で初勝利。2勝目が最高指数をマークしたレースで、その時のローテも京都1400m→阪神1800mの距離延長。しかも、京都1400m(4着)のレース上がりが34.0秒で、阪神1800m(1着)が35.0秒だった点も見逃せない。

　前走の忘れな草賞(阪神2000m・1着)は指数こそ低調も、自身の上がり3F36.0秒で分かるように、時計の掛かる馬場を差し切る内容。ここまでの戦績、指数動向を見る限り、持続力の方にベクトルが振れてるのは明らか。「デュランダル産駒で2400mの距離は…」という側面で不安視されるのであれば、指数的には積極的に狙ってみたい。

１番：捌きが若干堅い。
３番：雨降ってきたのはプラス。
７番：デキ良いし、先行すれば一発ある。
９番：万全のデキ。距離ももちそう。
10番：距離延長プラス。雨もこなせそう。
12番：良い感じだが、若干後ろの飛節ブレる。
13番：デキ目立つ。
16番：好馬体。

　桜花賞の1、2着馬による一騎打ちのムード。上位には桜花賞馬のマルセリーナをあげた。前走は狭いところを抜群の瞬発力で抜け出して快勝と、性能の高さを証明する走りだった。間隔を適度に空けて使われて来ていることで、桜花賞後の回復も早かったようで、順調に調整ができており、態勢は万全。2冠達成を見込んでいいだろう。
　
　逆転ならG12着2回の実績を持つホエールキャプチャ。前走後はやや疲れが出たそうだが、今週の追い切りの動きは抜群で、大一番に向けてしっかりと状態を整えてきた。長く脚を使えるタイプで東京コース替わりに不安はなく、レース振りも自在なタイプで距離延長も問題ない。悲願の戴冠も可能だ。
　
　割って入るならハブルバブルか。桜花賞は6着だったが、連闘明けでコンディションが万全ではなかったように映っただけに、レース内容は評価していい。リフレッシュして臨む今回は、さらなる健闘が期待できる。
　
　超良血で素材のよさを感じるグルヴェイグ以下、メデタシ、ピュアブリーゼ、アカンサス、バウンシーチューン、ライステラスに注意したい。

　今年の桜花賞は、4F通過が46秒7-1000m通過が58秒5の平均ラップ。20数年前のような、10秒台のラップが連なり、1000m･57秒を切るような熾烈な桜は遠い昔のこととなった。
　
　平均ラップ以下にペースが緩めば、馬群に包まれる馬も出るだろう。外枠を引いた馬は余分に脚も使わされる。
　
　事実マルセリーナも、「道中2?3回、ミスがあった」と、安藤勝騎手がレース後のインタビューで述懐していたが、前後左右にカベができれば逆に脚をタメることにもつながる。状況を味方に、瞬発力を研磨し、そうしてマルセリーナをワンランク上の馬に導くことができた。
　
　ま、「エルフィンの反動が意外に大きく、馬体を戻し戻しだけに、当日馬を見るまでは危ない」。なんて、下手な予想家もいたが(ワタシか)、デビュー当時のポサポサとした冬毛も抜け、肩口から胸前、そしてトモと、一戦ごとに、格段に各パーツが盛り上がっている。
　
　ちなみに、母は欧州の中でも、ややレベルの劣るイタリア産馬だけに、底力はどうか。距離適性もイメージし辛かったが、近年のオークスは、よほどのことがない限りスローよりの上がり勝負が大勢。桜から樫への道筋は、比較的容易だ。
　
　ブエナビスタやウオッカに比べると、確かに時計やラップの精度は落ちるものの、それでも1分33秒9は、桜の水準。2400mのオークスでも、まず大崩れはない。
　
　当面の敵は、外枠のロスをハネ返し、ロングスパートで桜花賞2着に詰めよったホエールキャプチャ。桜の再現が濃厚だ。
　
　前走は、平均ラップの外め16番枠。道中、動くに動けず、直線入り口では大外。人気を背負っていただけに、すぐさま追い出しに入らなければならないだろうし、一旦鼻面をマルセリーナの先へ伸ばすシーンもあったが、地力がなければ、最後はタレる。
　
　マルセリーナよりひと足先に手綱をしごく形で、結果2着に敗れたが、1番人気らしい競馬で、長く脚を使っている。
　
　ま、勝負事というのは、一度決した1、2着を覆すのは容易ではないが、パワー勝負の馬場(日曜は雨)と東京コース。真っ向勝負で奪い取ったクイーンCのレース運びが可能なら、池添騎手のひと工夫で逆転も十分。
　
　桜花賞上位二頭の力が抜けている。かといって、桜の後のトライアルも、時計･内容に特筆すべき材料が見当たらない。
　
　三番手評価のほうが、却って難解だが、一角が崩れれば、左回りのオークスに狙いを絞ったマイネイサベル。一週前にはタフな南Wで6F追いを敢行。前回とは調教過程が違う。
　
　同馬を尺度とするなら、フローラS勝者のバウンシーチューンも、切り捨てられない。
　
　忘れな草賞馬エリンコートは、二走前の1分47秒3で(同週のフラワーCが1分47秒0)、時計的には追いついているものの、ラップそのものにメリハリがない。
　
　ハブルバブルも、新馬戦の勝ちっぷり、立て直してウィリアムズというプラス材料はあるが、桜花賞の0.7差は少し決定的。グルヴェイグも、掲示板はあるだろうが、本格化は秋かなぁ…。

　オークス前になると距離適性やらなんやらと悩むことになるが、いくつかしっかり持っておくべき基準があれば、そうオロオロしないですむ。

　ひとつは、あくまで桜花賞組を中心に考えるということだ。かつて一世を風靡した忘れな草賞組も、ここ10年の成績は惨憺たるもの。反対に、桜花賞上位馬がびっくりするほどバテて大敗というケースも減った。

　牝馬は仕上がりが早いこともあり、桜花賞時点で有力馬が出そろっている可能性は高い。上がり馬タイプばかりを買うのは考え物だ。

　しかし桜花賞組が前走の着順通りに来るかというと、これがそうでもない。距離適性はもちろん、展開的な理由などでちょっとずつ順番は入れ替わる。桜花賞の負け組をどう拾うかがオークスのポイントなのだ。

　今年期待するのは◎ハブルバブル。スローペースならデビュー戦のような強さが発揮できる。

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　◎マルセリーナは「ディープインパクト×マージュ」という組み合わせ。母マルバイユはアスタルテ賞（仏G1）など3つのマイル重賞を制した名牝で、母の父マージュ、2代母の父ディスタントレラティヴは欧州マイルG1の勝ち馬。マイル適性の高さは申し分ない。とはいえ、800mの距離延長に耐えられないかというとそうではない。ディープインパクト自身が豊富なスタミナを持ち合わせているので、スピードタイプの繁殖牝馬を相手にして意外に距離をこなす産駒を出している。

　マルセリーナ自身は、バークリア≒ウェルシュフレーム3×4が底力をサポートし、父と相性のいいラストタイクーン、ラウンドテーブル、ハビタットなどが入るので配合的な完成度は高い。

　昔と違って東京芝2400mはスタミナの重要性が薄れ、逆に阪神芝1600mはスタミナが必要となってきているので、近年は両者の結び付きが深い。競走馬としての完成度が高く、桜花賞を勝っている馬なら、芝2400mがベストでなくとも総合力の差でオークスでも勝ち負けに持ち込める。

　オークスが行なわれる東京芝2400mの直結コースは、阪神芝1600m、京都芝1800m、阪神芝1800m、京都芝1600m外。直結コースの激走馬は、同じ適性が要求される今走のコースに合うため、高い適性を活かして大駆けできる。

　オークスは、2年連続で桜花賞の勝ち馬が制した。東京芝2400mの直結コースに阪神マイルがあるため、桜花賞の激走馬はオークスで注意が必要。特に阪神マイルが外回りになったことで、桜花賞の直結する割合が強くなった。桜花賞の勝ち馬○マルセリーナは、直結コース・京都マイルのエルフィンSも制し、直線の長いコースは得意、適性的にも実績的にも最有力となる。桜花賞2着の▲ホエールキャプチャは、同じく阪神マイルの阪神JFを連対して、直線が長く坂のあるコースに実績ある。この2頭の信頼度は高そう。

　桜花賞組から◎ライステラスを、穴馬に推奨する。直結コースの阪神JF・3着とチューリップ賞・2着の実績から、重賞を激走できるレベルにある。桜花賞は、2走ボケの影響とアクシデントによる惨敗、立て直した今回は見直したい。

　桜花賞以外から注目のコースは、京都芝1800mと阪神芝1800m。△グルヴェイグは、京都芝1800mの矢車賞を勝ち、オークスに間に合った。デビュー2戦目のエルフィンSでマルセリーナの3着に走った馬、その後の成長あれば一発ありえる。

　そして、阪神芝1800mの激走馬として、フラワーC・2着の△ハブルバブルに注目する。レース間隔の詰まった桜花賞は6着までだが、今回は十分な間隔をとって能力を出せるため、馬券圏内を争える。

　いよいよ3歳牝馬の頂点を決めるオークスが行われます。人気は桜花賞1、2着のマルセリーナとホエールキャプチャが分け合い、「2強」状態になりそうです。

　しかしその桜花賞は、「スタートで出遅れ、4角で一番後ろにいた3頭」が1?3着を占めるという極端なレースでした。果たしてこれをそのまま信用していいのでしょうか。

桜花賞(阪神外8F)
2007：35.7-24.1-33.9=1分33秒7(ダイワスカーレット)
2008：34.6-23.9-35.9=1分34秒4(レジネッタ)
2009：34.9-24.2-34.9=1分34秒0(ブエナビスタ)
2010：35.6-23.3-34.4=1分33秒3(アパパネ)
2011：34.6-23.9-35.4=1分33秒9(マルセリーナ)
※「テン3F-中盤2F-上がり3F」で表記、(　)内は勝ち馬

　桜花賞のラップを見てみると、今年は「テン?中盤」が極めて速いことがわかります。しかも、偶然にも2008年と「テン3F」「中盤2F」は全く同じでしたが、「上がり3F」は0.5秒速く、優秀な内容であるのは間違いないでしょう。

　また、これだけハイペースだと、スピードが問われる度合いが高まり、距離延長へ向けては不安がある場合がありますが、今年は「前半のスピードを見せなかった追い込み馬」が上位を占めたことで、その面の不安は比較的少ないと判断します。つまりレースは「前半型」でしたが、結果的に「2強」は共に「上がり3F34.3」と、むしろ「後半型」の脚の使い方をしたのが好感触、ということになります。

　こうなると、桜花賞上位「2強」のマークは外せません。後は伏兵をどこから拾うかということになります。

　桜花賞組では、「2強」以外に4、6、10、11、12着馬が出ていますが、差してキレ負けした組が差を詰めるのは難しそうです。巻き返しがあるならば「前半?中盤で中団につけて伸び悩んだ」「速い中盤で捲くって、なし崩しに脚を使った」といった組が、今回はスローで早めに抜け出すパターンでしょう。

　桜花賞がハイレベルだと別路線組は厳しくなりますが、しかし今年は、条件戦まで含めなかなか価値の高いレースもありました。

　重賞ではフラワーC、フローラSが急流だったので、これらで強い競馬をした組を中心に、別路線組もしっかりマークしておきたいところです。

●注目馬：マルセリーナ･ホエールキャプチャ(価値ある桜花賞1、2着)、ハブルバブル･スピードリッパー(桜花賞組で巻き返しがあるタイプ)、マイネイサベル(フラワーCで唯一先行して掲示板)、ピュアブリーゼ(フローラSで一番前で展開しての馬券絡み)、エリンコート(条件戦でフローラS組との比較から狙える)