･前走で条件戦に出走していた馬
※東京過去10年[0-0-0-17]
●2011年該当馬→グルヴェイグ(14着)、サイレントソニック(15着)、カルマート(16着)
○2012年該当馬→サンキューアスク

･前走、桜花賞で6番人気以下かつ5着以下だった馬
※東京過去10年[0-1-1-25]
●2011年該当馬→スピードリッパー(5着)、ハブルバブル(9着)、デルマドゥルガー(10着)
○2012年該当馬→マイネエポナ、オメガハートランド、メイショウスザンナ、エピセアローム、サンシャイン、トーセンベニザクラ

･前走1着馬と前走3番人気以内馬をのぞく、前走でG1以外に出走していた馬
※東京過去10年[0-0-2-33]
●2011年該当馬→ハッピーグラス(8着)、マイネソルシエール(12着)
○2012年該当馬→ダイワデッセー、チェリーメドゥーサ

･前走桜花賞組とフローラS組をのぞく、馬番11番から18番
※東京過去10年[0-0-1-31]
●2011年該当馬→アカンサス(7着)、グルヴェイグ(14着)、シシリアンブリーズ(18着)
○2012年該当馬→サンキューアスク、キャトルフィーユ、ココロチラリ

･前走1番人気馬をのぞく、前走4角を3番手以内で通過していた、馬番4番から18番
※東京過去10年[0-0-2-31]
●2011年該当馬→カルマート(16着)
○2012年該当馬→ダイワデッセー、ココロチラリ

･前走2番人気以内馬をのぞく、キャリア8戦以上馬
※東京過去10年[0-1-4-29]
●2011年該当馬→デルマドゥルガー(10着)、マイネソルシエール(12着)、カルマート(16着)
○2012年該当馬→メイショウスザンナ、ダイワズーム、サンキューアスク、トーセンベニザクラ

2011年残った馬→エリンコート、ピュアブリーゼ、ホエールキャプチャ、マルセリーナ、マイネイサベル、メデタシ、ライステラス、バウンシーチューン

【昨年結果】
1着：エリンコート(○)
2着：ピュアブリーゼ(○)
3着：ホエールキャプチャ(○)

2012年残った馬→アイムユアーズ、アイスフォーリス、ミッドサマーフェア、ヴィルシーナ、ハナズゴール、ジェンティルドンナ

須田：先週のヴィクトリアマイルも、ドナウブルーがヌケで1着3着のタテ目。当たる気配がまったくない、といっても過言ではありませんなあ。

井崎：こんなことなら、NHKマイルCでカレンブラックヒルから狙えばよかったよなあ(ボソッ)。あそこで的中しておけば、須田クンに愚痴られることも……。

須田：あの時は「恩を売る」とか言ってたくせに、今さら何を言ってんですか(笑)。じゃあ、もう愚痴は言いませんから、今週のオークス展望をしっかりお願いしますよ。

井崎：じゃあさっそく……と言いたいところなんだが、今年の春G1でやたらと馬名に「色」が入る馬が来ている現象について、須田クンはどう思う？

須田：ええ、確かに「ゴールド」シップ、ビート「ブラック」、カレン「ブラック」ヒル、そして先週のドナウ「ブルー」と4週連続で連対してますが、単なる偶然ですからねえ。

井崎：……オークスで唯一の該当馬となるトーセン「ベニ」ザクラ、買いたくならない？

須田：なりません！　つーか、そんなのをおおっぴらに理由として述べられるのなんて、いまや井崎センセイくらいですよ。ケントク買い、好きですよねえ……。

井崎：ここまで当たらないと、こういったものにでも頼らないとやってられないからさ(笑)。でも、須田クンが激怒するに決まってるから、ちゃんと残さなかったぞ？

須田：もし「馬名に色が入らない馬」なんて消去ネタがあったら、小一時間は罵声タイムですよ。「博打と喧嘩はツラを張れ」とか言いますから、気になるのは理解できますが。

井崎：これだけ言っておいて本当に来たら、けっこう悔しいけどな(笑)。で、ここからは真面目な展望だけど、そんなには荒れないんじゃないかな、たぶん。

須田：それは、消去ネタをくぐり抜けた6頭が、全体的に人気スジだからですかね？

井崎：それもあるけど、「いかにもオークス向き」という伏兵らしい伏兵が、今年は見当たらない気がするんだよ。桜花賞組とトライアル上位馬で決着する公算は大だと思うぞ。

須田：となると、それらをどういう組み合わせで買うかが問われそうですなあ。この6頭をそのままボックスで買うと、トリガミ発生率がきわめて高いと思われますし。

井崎：そうなんだよな。アイムユアーズも「鞍上ウィリアムズ」ってだけで意外に人気しちゃいそうだし……配当がつけるとしたら、ハナズゴール絡みの馬券くらいかな？

須田：でしょうねえ。一般論でいえばオレハマッテルゼ×シャンハイの配合で東京芝2400mが合うとは思えませんし、この馬が来ると配当もソコソコ期待できそうですな。

井崎：うーん、とんでもなく悩ましいけど……外枠を嫌う消去ネタを使ったことだし、最内枠から先行できそうなアイムユアーズで行くかな。これなら、トリガミもないだろうし。

須田：……ファルブラヴ産駒ですけど、距離大丈夫ですかね？

井崎：ソコについては、あまり気にしない方向で(笑)。

　今週日曜日の東京競馬場でのメインレースは牝馬クラシックの第2戦目、優駿牝馬(オークス)です。

　本命にはミッドサマーフェアを推します。前走のフローラSでは先行馬が2、3着に残る流れの中、中団から2馬身半差の完勝でした。前走の結果からも東京コースとの相性がいいですし、血統的にも十分今回の距離をこなせそうです。これまでよりもメンバーが強化されますが、前々走も3馬身以上の差をつけて完勝して現在勢いがあるのでこの馬を軸とします。

　対抗にはヴィルシーナです。デビュー戦で1800m戦を使っており、2000m戦のエリカ賞で牡馬相手に勝っています。東京で重賞を勝っていますし、前走の桜花賞でも2着と好走しています。安定した先行力があり、これまで複勝圏内を外していない点でもひじょうに魅力的です。

　3番手にはアイスフォーリスです。前走は勝ち馬に2馬身半差をつけられたものの2着に入りました。ここ2戦ともに2000m戦を使っており、ともに2着と安定した結果を残しています。今回メンバーが強化されますが、比較的長い距離でのレースに慣れているで有利ですし、東京での勝ち鞍もあるので期待します。

　押さえには桜花賞馬のジェンティルドンナと現在3連勝中のダイワズームです。　

東大ホースメンクラブ　キャラメル

　◎の母バルドウィナはペネロープ賞(仏G3・芝2100m)勝ち馬で、母系はハイインロー的なスタミナとフランス異系血脈で固められ、これが父ハーツクライの母アイリッシュダンスのトニービン×リファールと脈絡することにより、両親の芝中距離での粘着力を引き出した配合になっている。ファルブラヴ牝駒らしい短距離馬だった半姉ワンカラットとは配合パターンもタイプも違うし、スローのエルフィンSで二の脚で突き放したように中距離で前受けすればしぶとい馬だろう。距離延長での大駆けを狙ってみたい。

　ジェンティルドンナとアイムユアーズとハナズゴールは距離延長が課題で、○▲を相手本線に。

　まずは2004年以降のオークス1着馬の調教タイプを列記してみます。

(2004)ダイワエルシエーロ/標準多め坂路
(2005)シーザリオ/標準多め坂路
(2006)カワカミプリンセス/標準多めトラック
(2007)ローブデコルテ/標準多め併用
(2008)トールポピー/標準多め坂路主体
(2009)ブエナビスタ/標準トラック
(2010)アパパネ/馬ナリ平均トラック主体
(2010)サンテミリオン/乗込トラック主体
(2011)エリンコート/標準多め坂路主体

1着馬9頭のうち、調教本数が標準タイプで優勝したのは2頭ですが、どちらも1番人気。しかも牝馬三冠を達成したアパパネ、牡馬相手のジャパンCを快勝したブエナビスタという規格外な2頭です。この2頭以外は必ず調教本数が多かったという結果から、オークスでは本数は非常に重要な調教適性のファクターになると思います。

　さらに2006年以降に検証期間を縮めると、坂路単一調教馬の優勝はありません。これらを総合すると「調教本数が多くて、トラック調教を行っている」ことがオークスに最適な調教欄ということになります。

　該当馬6頭の中から、◎ダイワデッセーを選択した理由は調教量が重要になったオークスでマツクニ流のハードトレが最大限の力を発揮するのではないかと考えたからです。

　今週のCWでの追い切りは遅れこそしましたが、5F64秒というかなり速い時計。松田国英調教師は「ハロー前の馬場が荒れた時間帯だったので、62秒くらいの価値はあったんじゃないでしょうか。これだけ攻めても飼葉は落ちないし、前走からの上積みは大きいですよ」と攻めた結果、前走以上の上昇が見込めるというわけです。

　また5月13日、つまり日曜左回りのDPで時計を出したのは東京競馬場へのスパーリング。これは昨年の1着馬エリンコートも行っていました(※netkeibaユーザーにこの調教内容にいち早く気付いている方がいらっしゃってうれしかったです)。

　極め付けは来週発売になる新書に記した松田国英厩舎の勝負調教。本文では最終追い切りを単走としていますが「標準多め併用」「CW」であれば、単複回収率が100%を超えているので、十分勝負調教。むしろG1ですから、単走よりも併せたことを評価すべきでしょう。

　○ヴィルシーナは調教タイプが標準多め併用で最終追い切りは前走と同じDP。特に評価を下げる要素はなく、むしろ馬体の良さから本命にすべき存在なのかも知れませんが、調教内容の上積みでダイワデッセーを上回ることはありませんでした。

　標準多め併用の▲メイショウスザンナは最終追い切りの動きが文句なし。△アイムユアーズの標準併用は馬券的に押さえておくべき調教タイプ。△ダイワズームは調教タイプで評価して、△エピセアロームと△ジェンティルドンナは石坂正厩舎の勝負調教に該当したので、坂路単一調教馬でも印を打ちました。

　最終追い切りがDPの△サンシャインは調教タイプが標準多め坂路。本数の割合から坂路単一になりましたが、ここまで押さえておいた方がいいでしょう。

1.アイムユアーズ
今回：標準併用
前回：標準少め併用

2.マイネエポナ
今回：標準多め併用
前回：標準多め坂路主体

3.アイスフォーリス
今回：標準トラック
前回：標準トラック

4.オメガハートランド
今回：標準併用
前回：標準併用

5.メイショウスザンナ
今回：標準多め併用
前回：標準トラック

6.ダイワデッセー
今回：標準多め併用
前回：標準トラック

7.ダイワズーム
今回：乗込併用
前回：馬ナリ平均併用

8.ミッドサマーフェア
今回：標準多め坂路
前回：乗込坂路

9.ヴィルシーナ
今回：標準多め併用
前回：標準坂路主体

10.ハナズゴール
今回：馬ナリ平均坂路
前回：標準坂路

11.チェリーメドゥーサ
今回：軽目トラック
前回：馬ナリ平均トラック

12.エピセアローム
今回：標準坂路
前回：標準坂路

13.サンシャイン
今回：標準多め坂路
前回：標準多め坂路

14.ジェンティルドンナ
今回：標準坂路
前回：一杯平均坂路

15.サンキューアスク
今回：標準多め坂路
前回：乗込坂路

16.キャトルフィーユ
今回：標準多め坂路主体
前回：スパルタ併用

17.トーセンベニザクラ
今回：標準併用
前回：急仕上げトラック

18.ココロチラリ
今回：馬ナリ平均トラック
前回：標準多め坂路

　オークスを予想する上で芝2400mへの対応力が気になる方は多いかと思います。牡馬は皐月賞芝2000mからダービー芝2400mと2Fの距離延長ですが、牝馬は桜花賞芝1600mから芝2400mと4Fも距離が延長されます。しかし、オークスは桜花賞組優勢の傾向があるように、雨が降って馬場がよほど悪くならない限り、距離適性がそれほど問われるレースにはなりません。

　それはこの時期の3歳牝馬限定という条件から芝2000m以上を経験したことがある馬が少なく、大半の馬が一気の距離延長を意識するため、道中のペースが大きく緩むからです。例年オークスよりもダービーのほうが明らかに決着タイムが速いのは、牝馬が牡馬よりも弱いということよりも、牝馬のほうが距離延長を意識したレースになることが一番の理由です。

　しかし、まったく距離適性が関係ないわけでもありません。同じスローペースでも距離が長くなればスタミナよりのレースになります。同じスローペースなら桜花賞よりもオークスのほうがスタミナが問われるのです。つまり、桜花賞と芝2000mで行われる忘れな草賞やフローラS、芝1800mのスイートピーSなどのオークストライアルの決着指数が同じくらいなら、勢いあるトライアル組が優勢の傾向にあるのです。そのパターンで浮上したのが、09年のベッラレイアであり(この年は桜花賞馬ダイワスカーレットが回避)、一昨年のサンテミリオンであり、05年のカワカミプリンセスです。

　今年はチューリップ賞の4着馬ジェンディルドンナが勝利したように桜花賞のレベルがあまり高くありません。それならば勢いあるトライアル組優勢と見て、桜花賞とそれほど差のないオークス通用級の指数でフローラSを勝利したミッドサマーフェアを◎とします。ミッドサマーフェアは前々走の君子蘭賞でも上がり3Fタイム2位の馬を0.8秒も上回る36秒2の末脚で独走Vを決め、スローペースの前走フローラSでも中団から直線で一気に伸びて2着アイスフォースに2馬身半差をつけて勝利しました。フローラSは相手が弱かったとも言われていますが、土曜日のカーネーションCの1着、2着馬がフローラSの敗退馬でしたから、そこまで弱くもないでしょう。

　○は3歳牝馬路線でもっとも決着指数が高かったチューリップ賞の勝ち馬ハナズゴール。チューリップ賞は逃げた馬がシンガリ負けしたレースの流れを利用した勝利とも言えなくはないのですが、2着エピセアロームに2馬身半差をつけたからには、高い評価しないわけにはいきません。前走のNHKマイルCを叩き台にしているのも好ましいです。

　▲はデビューから右肩上がりで指数を伸ばし、4戦目でクイーンCを勝利し、その次走の桜花賞でも好位から直線で一旦先頭の見せ場のある内容で2着に好走したヴィルシーナ。前走で自己最高指数をマークした後の一戦となりますが、同馬の天井はもっと上にあると見て3番手評価とします。

グレード制開始の84(S59)年以降から、■消える馬・□残る馬をチェック。

□1アイムユアーズ…前3走とも重賞戦3着内の好走馬は[4-0-2-8]。このうち、前2走とも連対を外していた馬を除き、前3走内にGI戦2回以上使用馬は[3-0-2-0]。

■2マイネエポナ…前2走とも10番人気以下と低評価だった2勝以下(馬は中央のみの成績)馬は[0-0-0-30]。

■3アイスフォーリス…芝2000m戦2回以上経験馬で、前走芝2000m戦0秒4以上敗退馬は[0-0-0-26]。

■4オメガハートランド…年明け3戦以上消化馬で、前走4番人気以下かつ10着以下の大敗馬は[0-0-1-63]。

■5メイショウスザンナ…キャリア5戦以上の3勝以下馬で、前2走とも8kg以上の体重増減がある馬は、前走桜花賞連対馬を除き[0-0-0-13]。

■6ダイワデッセー…芝を3回以上走って0-1勝かつ芝の連対率5割未満馬で、前3走内にV歴がなく着外(4着以下)がある馬は[0-0-2-62]。

■7ダイワズーム…前3走とも非重賞戦使用のキャリア4戦以上で、2000m以上の芝V歴がない馬は[0-0-0-69]。

□8ミッドサマーフェア…前走GIIフローラS(旧「4歳牝馬特別」)勝ち馬は[3-2-3-18]。このうち、(a)芝2勝以下×・(b)年明け1戦or6戦以上×・(c)桜花賞1秒以上敗退×・(d)前走重賞戦2馬身以上快勝を除き、前走体重10kg以上増加×・(e)1800m以上を3回以上走って0-1勝×、以上の5項目クリア馬は[3-1-1-0]。

■9ヴィルシーナ…キャリア5戦以上で前4走とも斤量53kg以上かつ1600m以上戦を使用し、前3走とも体重減があった馬は[0-0-3-15]。「究極の仕上がり」続きで疲労が懸念。

■10ハナズゴール…中一週使いは[0-0-0-31]。臨戦ローテに問題あり。

■11チェリーメドゥーサ…前3走内に3着内の好走歴がない馬は[0-0-0-51]。

■12エピセアローム…キャリア6戦以上で、前走6番人気以下かつ6着以下(落馬も含む)かつ1秒以上敗退馬は[0-0-2-73]。

■13サンシャイン…前3走内に重賞戦連対歴がなく6着以下が2回以上は[0-0-0-97]。

■14ジェンティルドンナ…(9ヴィルシーナ)項を参照。

■15サンキューアスク…前走が5月の未勝利戦・条件戦だった馬は[0-0-0-28]。

■16キャトルフィーユ…前3走内に芝良・稍重の新馬or未勝利or条件戦敗退歴がある2勝以下馬は、前2走内に重賞戦3着内の好走がある馬を除き[0-0-1-74]。

□17トーセンベニザクラ…芝を5戦以上消化し、芝3勝以上かつ芝連対率5割以上馬で、前2走とも1600m以上使用は、故障馬を除き[7-5-3-35]。このうち、(a)前3走内にGIII以下戦で連対外が2回以上orGIII以下芝良・稍重で0秒6以上敗退×・(b)前2走内に桜花賞10着以下or1秒5以上大敗×・(c)前走GII以下戦5着以下×・(d)前走重賞戦2馬身以上快勝馬を除き、前走8kg以上体重増加×・(e)1600m以上0-1勝×・(f)前3走内にV歴なしor前2走とも牝馬限定芝良・稍重で連対外×・(g)前走1800m以下の非重賞戦使用or前3走とも1600m以下使用して重賞戦V歴なしor2000m以上を2回以上走って連対なし×・(h)年明け2戦以下で非重賞戦敗退歴×・(i)前走重賞戦2馬身以上快勝馬を除き、前4走内に条件以下戦2回以上使用×・(j)1800m以上を3回以上走って0-1勝馬のうち、前走芝2000m使用し2:02.0を切っていない×、以上の10項目クリア馬は[7-4-1-0]。

■18ココロチラリ…キャリア3戦以下で、前走OP戦1着or重賞戦3着内の好走がない馬は[0-0-0-16]。

◎トーセンベニザクラ＝1600m以上芝でメンバー中最速の上り33秒2(東京1600m赤松賞)を持ち、広い東京コースでこその馬。前2走の敗因は、馬場と発馬。逆転狙える。

○アイムユアーズ＝全3勝が1400m以下だが、曾祖母ダイナカールは83年のオークス馬。名手ウィリアムズ(5月来日後、重賞で4連続連対中)がポテンシャルを引き出す。

▲ミッドサマーフェア

　土曜の競馬を見る限り、今の東京芝は生粋の高速馬場。先週と違い、土曜日時点で内が有利な馬場だけに、日曜もそのままの傾向が続くと読む。

　内枠有利の高速馬場ならオメガハートランドの巻き返しを狙いたい。前走の桜花賞は12着に惨敗しているが、マイナス10キロの馬体減だけでなく、内枠の馬に不利な馬場状態が響いた印象。直線で外に持ち出すも、前が壁になりっぱなしで、まともに追えない状況ながら、メンバー3位の上がりで、指数も4着馬と同じ｢101｣をマークしている。

　デビュー2戦目の東京1400mで自己2位の指数｢98｣をマークしているのだが、その日は天皇賞・秋で破格のレコードが出た高速馬場だったのは見逃せない。2走前で距離延長への適性も示しているだけに、指数的には絶好の狙い目だ。

　馬券的には人気のヴィルシーナ、ミッドサマーフェアに加え、高速馬場への距離延長で指数的に一変が期待できるサンシャインも絡めたい。

8番：好馬体。上位争い。
9番：キッチリ仕上がる。
10番：細くなるかと思ったが、良くなっている。
14番：デキは良い。ただ、この産駒にしてはパワータイプ。

【上位拮抗】桜花賞はキレ負けの印象のヴィルシーナに距離延長と東京コース替わりはプラス。常に力を発揮するタイプで好勝負は必至。対抗には桜花賞馬ジェンティルドンナ。中間も順調で気配も上々。ミッドサマーフェアは前走が好内容。間隔が詰まっているため、当日の気配がカギ。上昇中のダイワズームに実績十分のアイムユアーズ、B着用のオメガハートランドとキャトルフィーユにも注意したい。

【あの造形美はどうだ】初夏のGI・オークスの主役はミッドサマーフェアだ。GIに駒を進めるまで8戦を要したものの、起点となるのは君子蘭賞・1分49秒7。同日に行われたGIIIの毎日杯と、わずか0秒1差のHレベル決着だったが、その内容を精査すると、

■君子蘭賞　ミッドサマーフェア・１分49秒７（重）
（1000ｍ通過・59秒３）　上がり３Ｆ・12秒８―11秒７―13秒３
※レースの上がり37秒８―勝ち馬の上がり36秒２

■毎日杯　ヒストリカル・１分49秒６（重）
（1000ｍ通過・１分１秒３）　上がり３Ｆ・12秒０―11秒３―12秒７
※レースの上がり・36秒０―勝ち馬の上がり35秒４

前半のラップが２秒も異なる、ハイペースとスローのちがいはあるものの、君子蘭のマイル通過は１分36秒４。同日の古馬1000万の、芝マイルの勝ち時計は１分37秒５。通過ラップもタフで精密。レースの質そのものは、明らかに君子蘭が上だった。次走のフローラＳは、1000ｍ通過が１分2秒１という、典型的なスローの上がり勝負。ラスト３Ｆのレースラップは11秒４―11秒２―11秒５（３Ｆは34秒１）だったが、抜け出すと遊ぶ余裕で、レースの上がりを０秒６も上回る33秒４の瞬発力を披露。君子蘭の時計の意味を証明すると同時に、前走比10キロ増の454キロ。これほどタフに使って、実の入る３歳牝馬というのは、近年目にしたことがない。最終追い切りは坂路。48秒８という破格の調教タイムをたたき出し、オークス制覇へ態勢は万全。光沢のある青鹿毛の皮膚感は、例えるなら、あのエイシンフラッシュの、ダービー制覇時の肌艶や造形美に近い感覚とでもいえばいいのか。大一番を前に馬体が張りに張っている。３連勝で、いざ頂点のGIへ。当面の目標はヴィルシーナの先行力。桜花賞はジェンティルドンナの瞬発力に屈し、２着に惜敗したが、自身でレースを作り勝ちに行っての０秒１差。牡馬相手に2000ｍのエリカ賞勝ち。クイーンＣで東京もシュミレーション済み。2400ｍなら、少なくとも桜花賞の着順は逆転できる。もちろん、ジェンティルも、牡馬混合のシンザン記念を、過去10年で２番目の１分34秒３という好タイムで制覇した実力馬。本質はマイラーだが、上がりに比重の高い切れ味勝負になれば、総合力で好勝負に持ち込める。桜花賞を０秒２差の３着に粘り込んだアイムユアーズにも、同様なことがいえるし、距離？の同馬にとって、最内枠とウィリアムズは、何よりの贈り物。1800ｍ戦は１・２着のメイショウスザンナ。2000ｍの忘れな草賞を勝ったキャトルフィーユも、距離延長で粘り込み。あくまで想像の内だが、「もし、状態がよく桜花賞を勝っていたら」、ハナズコールにも連下の目？

各馬の上昇度・脚質・騎手・調教師・血統データを「先週最も儲かった」設定で解析。導き出された4頭の馬単・3連単ボックスで勝負！

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　◎トーセンベニザクラは「ダイワメジャー×ホワイトマズル」という組み合わせ。父ダイワメジャーはダンシングブレーヴを持つ繁殖牝馬と相性がよく、この配合の核心はヘイローとドローンの関係にあると思われる。母方にドローンを持つダイワメジャー産駒には、デビュー以来4連勝でNHKマイルCを勝ったカレンブラックヒルを筆頭に、ダローネガ(デイリー杯2歳S?2着)、オメガホームラン(ジュニアC)、ダイワミストレス(フェアリーS?3着)がいる。ごくわずかな産駒からこれだけの活躍馬が出ているのだから驚異的だ。

　トーセンベニザクラもこのパターン。母トーセンブリリアンはドローン4×4で、さらにドローンと構成が良く似たデュラニが入るので、ヘイロー≒ラメニナ≒ドローン≒デュラニ3・5×5・5・6というニックスを強調した配合となっている。父ダイワメジャーは2400m向きの血統ではないが、母トーセンブリリアンは「ホワイトマズル×リアルシャダイ」というスタミナ配合なので距離的な不安はない。

　長距離輸送と調教が強すぎたことで馬体重を大きく減らした(10キロ減)桜花賞は8着と敗れたが、着差的にはそれほど大きく負けているわけではない。万全の仕上げで臨む今回は、相性のいい東京コース(1戦1勝)ということもあり勝ち負けに加われるのではないかと思われる。

※ 先週のヴィクトリアマイルは、◎→△→△で3連単75,320円的中！
※ 奥田隆一郎の新刊『「直結コース」の激走馬を買うだけで高配当が鮮やかに当たる「直結式」馬券術』(東邦出版)好評発売中！

　◎キャトルフィーユは、3走前に直結コース阪神芝1800mのアルメリア賞を人気薄ながら連対。条件戦の2着だが、勝ち馬がマウントシャスタ(この次走で毎日杯2着)で、そこからクビ差2着は評価できる。また、前走で直結コース阪神芝2000mの忘れな草賞を制したが、昨年のオークス馬エリンコートも忘れな草賞1着からのローテだった。さらに、昨年と一昨年のオークスで人気薄(ともに8人気)の逃げ馬が大駆けしており、直結コースに実績ある逃げ馬という意味からも大駆けの可能性を秘める。

　○ヴィルシーナは、3走前に直結コースの阪神芝2000mで、牡馬相手のエリカ賞を勝っている。2歳牝馬が距離2000mに出走したことから、この馬の目標は当初からオークスであろう。また、前々走は直結コース東京マイルのクイーンCを制し、東京芝コースを経験させた。直結コースで好結果を残してきたことから、桜花賞組の最有力馬となる。

　▲メイショウスザンナは、桜花賞の掲示板に乗った馬の中で距離が延びることがプラス材料になる1頭。また、前々走は直結コースの中山芝1800mでフラワーCを連対している。広くて直線の長い東京は合いそうで、穴馬として注目する。

　その他では、直結コースの桜花賞とフローラSの上位馬に△を打つ。桜花賞から1着の△ジェンティルドンナと3着の△アイムユアーズ、フローラSから1着の△ミッドサマーフェアと2着の△アイスフォーリスを推奨する。