今年の2歳牝馬はみなさんもご存知のように層が厚く、重賞2勝の
ホウライアキコを筆頭に、重賞勝ち馬が5頭も出走します。その重賞ウイナー5頭の中でも
新潟2歳Sを圧勝した
ハープスターが断然の1番人気に支持されていますが、個人的には迷いのない「消し」です。
確かに
新潟2歳S出走馬はその後の活躍は目覚しいのですが、どのようなレースをした馬がその後活躍しているのかを分析すれば、
ハープスターの危険度がわかります。
アルテミスSの勝ち馬
マーブルカテドラル、
ファンタジーSの2着馬
モズハツコイ、
カンナSの勝ち馬
アポロスターズなど先行した馬たちがその後穴を演出しているのです。
つまり、
新潟2歳Sは追い込み馬有利の流れ。道中のペースに緩みが生じたために走破時計は1分34秒5と遅く、一般的にスローペース評価とされていますが、ラスト4F目で12秒8までペースダウンしたところからラスト3F11秒5-10秒9-11秒4の急加速では、前半の先行争いで脚を使った馬たちにとってはかなり厳しかったはず。ラスト2F目で先頭に立った
マーブルカテドラルがラスト1Fで息を切らしてフラフラしてしまうのも仕方のないことで、
新潟2歳Sの2着馬
イスラボニータはその後、目覚しい成長で東京スポーツ杯2歳Sを勝利したと解釈するほうが順当です。
よって、
ハープスターは展開に恵まれての圧勝であり、そういった馬の脆さは土曜日の朝日
チャレンジCに出走していた
ラウンドワールドが示すとおり。
ラウンドワールドは前走の
アンドロメダSでは前崩れの流れに乗じて楽勝しましたが、本日のレースでは出番なしです。
ハープスターが休養中の成長力でここを突破する可能性も全くないわけではありませんが、自力で動けない馬はいくら勝ち方が鮮やかに見えても、実は大して強くないことが多いと考える予想家だからこそ、
ウオッカが勝ったダービーや
クィーンスプマンテが勝った
エリザベス女王杯の大万馬券が獲れたのです。
ハープスターを本命にするのは、そのダービーで
フサイチホウオーを、
エリザベス女王杯で
ブエナビスタを本命にするようなもの。仮に
ハープスターが勝ったとしても、そういう馬券は当たらなくていいというのが本音です。
前書きが長くなりましたが、◎はストレートにPP指数の能力値が堂々のトップの
ホウライアキコを推します。新馬戦をレコード勝ち、小倉2歳Sを好位から伸びて完勝。そして前走の
デイリー杯2歳Sでは直線で早めに先頭に立つ強気な競馬。かなりスタミナを使う競馬だったにも関わらず、最後まで止まることなく朝日杯フューチュリティSの有力候補と言われている
アトムを完封しました。
ホウライアキコにとって前走のデイリー杯は初距離でした。それもスタミナ面に不安点の残る臨戦過程でしたが、そんなものは関係ないとばかりの力任せの競馬で完勝ですから、とにかく強いとしか言いようがありません。
前々走の小倉2歳Sで負かした
ベルカントが次走
ファンタジーSを完勝。そしてその
ベルカントがここではなく来週の牡馬相手の朝日杯フューチュリティSに回ったということは、いかに
ホウライアキコが恐れられているかという証拠でしょう。
ハープスターは自分から動けませんが、
ホウライアキコは自分から動くことが出来て、一戦ごとの成長が著しいというのも強調材料。とても死角の少ない馬です。
○は7月の
中京2歳Sの勝ち馬
グランシェリー。この馬のデビュー戦はダ1200mだったのですが、
中京2歳Sではデビュー2戦目、新馬戦とは全く違う舞台、初芝に挑戦しながらいきなりオープン特別を勝ってしまうという快挙を成し遂げました。これは
グランシェリーが並外れた潜在能力を持っている何よりの証拠です。
前走の
ファンタジーSは休養明けであくまで叩き台といった感じのレースで、能力を出し切れませんでした。しかし、そのひと叩きの効果が大きかったのか中間の調教では抜群のスピード感を見せています。かなり体調面が上向いているのでしょう。
今回の阪神ジュ
ベナイルFは玉砕型の逃げ馬が少なく、スローからの決め手比べのレースになりそうですが、そういう展開ならば一歩前でレースを運べる自在性は有利に働くことになるでしょう。
▲は前走の
アルテミスSの敗戦で人気急落の
クリスマス。新馬戦は2着馬に7馬身差でレコード勝ち、まさに圧巻のレースぶりでした。続く
函館2歳Sではその走りを評価されて断然の1番人気、その人気に応えての完勝でした。思い返せば
クリスマスの新馬、
函館2歳Sと続いた衝撃的な走りから今年の2歳牝馬が牡馬を圧倒し続けるという図式がスタートしたのです。
そんな強い
クリスマスも前走の
アルテミスSでは、1番人気に支持されたものの、7着に敗れました。レース内容は直線で早めに先頭に立とうとする強気な競馬だったためにスタミナ切れで最後に急失速したもの。しかし、休養明けで初距離というスタミナ面に二重の不安材料が出る臨戦過程で、あれだけ強気な競馬をすれば失速も仕方なしです。
今回は叩かれた効果、距離を経験できた効果でかなり息持ちは良くなってくるでしょう。
函館2歳Sの走りを再現する可能性は十分です。