マジンプロスパーは母方にバブルガムフェローやキュアザブルースが入るので、快速スプリンターというよりは1400mのパワー粘着型というべき馬だ。

　だからオープンに上がってからは[3.1.0.10]という成績だが、ゴール前1Fが12秒台のときは[3.1.0.3]、G1を除けば[3.1.0.1]とほぼパーフェクト、前走スワンSは1人気を裏切ったが、スローでゴール前が11.7だからいつもの鋭さ負け軽さ負けのパターンだった。

　馬体重が480キロになって本格化してからのハクサンムーンを負かしたのは、スプリンターズのロードカナロアとCBC賞のこの馬だけで、そのCBC賞のゴール前が12.0、ジワッと好位に押し上げていける外枠がベターで8枠は[3.0.0.2]、コパノの単騎でオオタカとこの馬が番手で隊列は決まりそうだから展開も有利。

　ニンジャはマヤノリュウジンに迫った心斎橋S2着が好内容で、折り合いさえつけばベスト距離は1400m、ルメールが繊細なタッチで乗りこなせば今までになく弾けるかも。

　ラトルスネークは白秋Sで◎にしたときにも書いたが、ベストは急坂のない1400mだと思う。

　2012年阪神カップは坂路での追い切り本数が多いサンカルロに◎を打って、単勝と複勝が的中。レース回収率は376%でしたが、14番人気ガルボに△を打つことができていたのに、3着で2番人気だったファイナルフォームを無印という失態でした。

　ファイナルフォームが堀宣行厩舎の買えない調教パターンだったこともありますが、それ以上に坂路調教馬ばかりを優先して評価してはいけないと気付いた今年。その理由は近2年の複勝圏内の調教タイプにあります。

2011　標準多め坂路／標準多め坂路主体／標準併用
2012　乗込坂路／標準多めトラック主体／標準トラック主体

　1着が「坂路で本数多く」、2着は「併用系統で本数多く」、3着が「併用系統」というパターン。どちらも二桁人気が絡んでおり、3連複の配当は当然、万馬券でした。

　坂路で本数多い調教タイプは◎ラトルスネーク。前走時も◎を打ち、後方からのレースに頭を抱えたことを思い出しますが、それだけ折り合いの難しい馬。今回はM.バルザローナ騎手が跨るということもあり、追い切りでその感触を確かめています。「普段乗っている人間でも抑えるのに、ひと苦労する馬だけど、折り合って追い切れた」とは須貝尚介調教師。確かに、スタート直後に少しだけ行きたがるような素振りは見せたものの、あとはしっかり御していました。1番枠だけに、前に壁をつくって、直線抜け出す競馬ができれば。

　併用系統の調教タイプに複数の該当馬がいると、かなり頭を悩ませるところでしたが、たった2頭しかいません。しかも、堀宣行厩舎の勝負調教に該当したのが、○リアルインパクト。過去に阪神C惨敗歴がありますが、当時とは違う調教タイプ。まして、勝負調教に該当しているので、かなり期待したいところ。

　☆テイエムオオタカは昨年の阪神Cに出走して惨敗。ただ、当時は軽目トラック。今回は標準併用。逃げ馬が外枠に入っただけに、出方ひとつではハナを切るかも知れませんが、それでも粘り込める調教タイプです。

　△クラレント、△ダイワマッジョーレはごく普通の標準坂路ですが、追い切りの動きから減点するところもなく、順当に評価しました。

1.ラトルスネーク
今回：乗込坂路
前回：標準多め坂路

2.ニンジャ
今回：馬ナリ平均坂路
前回：標準少め坂路主体

3.ダイワマッジョーレ
今回：標準坂路
前回：標準坂路

4.タマモナイスプレイ
今回：標準トラック
前回：急仕上げ坂路

5.テイエムオオタカ
今回：標準併用
前回：馬ナリ平均坂路

6.サンカルロ
今回：標準多め坂路
前回：乗込坂路

7.クラレント
今回：標準坂路
前回：標準坂路

8.サダムパテック
今回：急仕上げ坂路
前回：一杯平均坂路

9.エピセアローム
今回：標準少め坂路
前回：標準併用

10.リアルインパクト
今回：標準多め併用
前回：標準多め併用

11.ラインブラッド
今回：標準坂路
前回：一杯平均坂路

12.ザッハトルテ
今回：馬ナリ平均トラック
前回：標準坂路主体

13.キングストリート
今回：一杯平均坂路
前回：標準少め坂路

14.ガルボ
今回：スパルタトラック
前回：標準多めトラック

15.スギノエンデバー
今回：馬ナリ平均坂路
前回：軽目坂路

16.コパノリチャード
今回：標準坂路
前回：標準多め坂路

17.プリンセスメモリー
今回：標準多め坂路
前回：馬ナリ平均坂路

18.マジンプロスパー
今回：標準多め坂路
前回：標準坂路

【7F方位よし】1400mなら、コパノリチャードの領域。3歳初期から、マイルでも古馬OPに匹敵する好タイムを残してきたが、1600mだと、スローであってもリズムがとれない。ましてや前走のマイルCSはGI。1000m通過が58秒3という表示以上に、プレッシャーも大きかったか。しかし、ダイワマッジョーレに力比べを挑まれたものの、残り100m付近までは首位争い。スワンSでは逆に、ダイワを0秒3差に封じ込めている。開催最終週はBコース替り。内は先週ほど馬場もいたんではいない。7F戦なら2番手でも競馬は可能。56キロも前走4着がいい経験になった。

むろん、マイルCS2着のダイワマッジョーレは強敵。マジンプロスパーも、GIIのここは負けてはいけない鞍。馬連･馬単は、まずは慎重に3頭のボックス。惑星は白秋S･1分19秒6のラトルスネークのオニ脚。サダムパテックも、マイルCSは、あまりに気合が乗りすぎての7着凡走。あの気迫なら、7F短縮はプラスに働くかもしれない。阪神Cの名物サンカルロも、少し買おう。

　阪神芝1400m(2006年の改修以降)は、古馬戦に限定するとロベルト系の成績がサンデーサイレンス系やミスタープロスペクター系を上回っているコース。ワンペースな流れが得意な馬・血統を狙いたい。

　また、阪神カップだけについて言うと、これまで行われたレースでは差し・追い込み勢が優勢となっている。最終週ということも関係あるのかもしれないが、この傾向は尊重して予想したい。

　◎はラトルスネーク、○はニンジャで「ロベルト、外国人騎手、差し追い込み」という共通項のある2頭を狙う。捌く際のリスクを考えると正直真ん中やや外くらいの枠がよかったが、そこは鞍上の手腕に期待したい。詰まることさえなければ、距離損をすることのない内枠は逆にプラスになる。

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【伏兵注意】コパノリチャードは2走前のスワンSを逃げ切り、2つ目の重賞奪取に成功。前走のマイルCSも先手を奪って4着と見せ場を作った。距離短縮はプラスで、先手を奪えばしぶとく粘る。ダイワマッジョーレはマイルCSで2着。充実一途で今回も上位に食い込む。マジンプロスパーは同舞台の12年阪急杯を含め、重賞3勝をマーク。叩き3走目でそろそろ怖い。サンカルロは2年連続で同レースを制覇。近走の成績はひと息だが、得意の条件で一変に注意したい。クラレント、ラトルスネーク、リアルインパクトも圏内。

　◎リアルインパクトは「ディープインパクト×メドウレイク」という組み合わせ。アイルラヴァゲイン(オーシャンS)の半弟にあたる。母トキオリアリティーはスプリンターで、その影響に加えて本馬はノーサードチャンス≒ブルームーン5×4・5というスピード値の高い相似な血のクロスを持ち、ディープ産駒にしては珍しく持続型のスピードタイプに出た。2走前の富士Sは出走メンバー中最も重い58kgを背負い、休み明けにもかかわらず2着に粘って力の衰えがないことを示した。前走のマイルチャンピオンシップは10着。大外枠から終始外を回される不利が響いた。それでも4着コパノリチャードとは0秒2差しかないので着順ほどの大敗だったわけではない。2年前のこのレースでは1番人気を背負って10着と敗れたものの、このときは1番枠がアダとなり、インで馬群に包まれたまま何もできずにレースが終了するという散々な競馬だった。度外視していい。今回は絶好の10番枠を引き、ムーア騎手が手綱を取る。一発があっても不思議はない。

　有馬記念の翌日に行われるJRAのオーラス重賞。定量で行われるG2戦で、G1には少し足りない馬たちが集まって毎年熱い戦いが繰り広げられます。

　マイルでもない1200でもない芝1400mという中途半端な距離で、「この条件にだけ特化して強い」という馬が存在します。時期的にマイルCSで上位した馬が人気する傾向がありますが、1400のスペシャリストがマイルCSの上位馬を打ち負かす、というのがこのレースのお決まりになっています。

　サンカルロは一昨年と昨年のこのレースの勝者で、今年は同一重賞三連覇を狙います。得意の阪神コースで最強馬ロードカナロア不在ならば、7歳といってもこの馬の中心は動かせないところです。

　対するダイワマッジョーレは4歳馬。マイルCSこそ2着に敗れましたが、今年は初重賞制覇を果たすなど飛躍の一年になりました。芝1400mは京王杯SC勝ちにスワンS2着があるように一番の得意距離と言えます。

　ラトルスネークはオープン入りしてからの2戦は6着、5着と期待に応えられていませんが、過去に2勝を挙げている阪神芝1400mならば別の結果が期待できるかもしれません。前2走も敗れたとはいっても最速上がりをマークしていますから、重賞でも大きな力量差は感じられません。

　サダムパテックは昨年のマイルCSの勝ち馬。かつては皐月賞での2着もありましたが、小細工なしの短距離戦がいまは一番合っている印象で、1400mでは昨年の京王杯SC勝ちの実績もあります。マジンプロスパーはG1では少し足りない印象ですが、阪急杯勝ちの実績がある今回の条件ならば他馬に一歩も譲りません。ガルボは寒い時期に調子を上げる馬で、去年の当レースでも2着の実績があります。岩田騎手に乗り替わる今回は狙い目充分。

　コパノリチャードはケレン味のない逃げ脚が魅力で、マイルCSでも見せ場たっぷりの4着に粘りました。今回はゴール前に坂のある阪神コース替わりが課題になります。

※月曜段階の予想ですので回避馬が含まれるケースがございます。あらかじめご了承ください。

【小波乱】コパノリチャードが豊富なスピードを武器に主導権を握る。コースが変わりマジンプロスパーが浮上。距離短縮を追い風にサダムパテックが持ち味を発揮する。

　同距離で行われたスワンSの再戦ムード。同レースで1番人気の支持を受けながら5着に沈んだマジンプロスパーの巻き返しに期待する。「位置取りはバッチリだったが、思っていたより坂の下りが上手ではなくて、そこでフォームが崩れてしまった。決して力負けではないし、来年の活躍を楽しみにしている馬。阪神コースで巻き返したい」と福永騎手。

　ダイワマッジョーレはスワンSが休み明けで2着。その後のマイルCSでも大崩れしなかった。短期放牧明けでも、攻め気配は前走時と変わりないので、ここも上位争いは必至。

　マイルCSでは11着と珍しく崩れたクラレントだが、大幅な馬体増とハミを越して外へ逃げていたことが敗因。この中間はコース併用に加え舌を縛って、モタれる面は解消。「追い切りの動きは前走時よりいいぐらいです」と川田騎手も好感触。

　ラトルスネークは乗り難しい面があり、昇級後のここ2戦はチグハグな競馬が続いているが、それでも、大崩れしていないあたり重賞を勝てるだけの力は秘めている。外が伸びる今の馬場なら尚更目が離せない。

　スワンS3着のサダムパテック、調整方法を替えてきたリアルインパクト、スワンSの勝ち馬コパノリチャードも押さえておきたい。

　21日土曜日の2歳未勝利1800m芝では直線一気の差し切り勝ち。芝1600mの新馬戦での上位2頭は中団から外へ出しての差し切り。10Rの準オープン芝1200mではさすがに前も簡単には止まらないが、ゴール直前では差し・追い込み勢が一気にテレビ画面の外から強襲。メインのラジオNIKKEI杯2歳Sでは前半が63秒台というスローペースにも関わらず、掲示板を独占したのは中団・後方からの差し勢。

　つまり、今開催の阪神は中山ほどではないにしろ力の要る馬場で直線で外を回る差し有利の傾向がある。そこで阪神Cも差し・追い込み勢を中心に狙う。

　◎はダイワマッジョーレ。この日の蛯名騎手はメインレースしか騎乗しておらず、まさに一鞍入魂。

　今秋の競馬は2戦ともに2着だが、その内容は非常に濃いもの。スワンSは超のつくスローペースを1頭だけ次元の違う末脚で強襲。

　マイルCSでは内枠を最大限に生かすため、前半から仕掛けて好位を取りに行く気合の競馬。一旦は先頭に立っており、勝ち馬の末脚を褒めるべきで負けて強しの競馬。

　8枠に入った人気の先行勢2頭コパノリチャードとマジンプロスパー。

　単騎逃げが濃厚なコパノリチャードだが、さすがに周りもGI・4着に実力馬を簡単には逃がさないはず。

　マジンプロスパーは前走スワンSの粘りのなさに不満が残る。