◎○▲で迷うが、○は1400mが一番斬れるように見えるし▲は1800mよりは2000mがベターに思えるので、前走鮮やかだった◎がイン有利な馬場でも一気に差し切るとみたい。

　キングカメハメハ産駒としてはコディーノやトゥザワールドなんかに近い配合パターンで、俊敏な小脚はむしろ小回り内回り向きだ。

　クイーンSは夏場に行われる唯一の牝馬限定重賞ということもあり、例年それなりに頭数が揃います。今年もヴィクトリアマイルの上位馬に、前走重賞やオープン勝ちの馬、目下3連勝中の上がり馬が揃って、フルゲート14頭で行われます。

　しかし、スタートしてすぐ1コーナーの札幌芝1800mは特に外枠不利のコースです。各馬1コーナーで外に張られないようにと、急いで1コーナーに飛び込むために、テン争いに敗れた馬はガッツリ外を回らされることになります。その大抵の犠牲者は外枠で中途半端に先行馬がある馬です。また、前記の理由からレース序盤から意外とペースが上がり、開幕2週目の札幌でも差し、追い込みが届くこともしばしばです。

　よって◎には大阪城S、阪神牝馬Sを連勝し、今春のヴィクトリアマイルでは1番人気に支持されたスマートレイアー(6)を推します。3歳時にデビューから鮮烈なイメージを残す2連勝を飾ったために毎回、過剰人気になってしまう馬ですが、やはり能力は高いものがあります。確かに前走のヴィクトリアマイルは「前残りの流れ」「直線で進路を失う不利」以外の何か･･･デキ落ちを感じさせる負け方でしたが、今回は仕切り直しの一戦。この馬がまともに力を出せば、ある程度前有利の流れでも通用する可能性が高いと見ました。

　○は3歳春のエルフィンSを勝利し、3歳冬の愛知杯では古馬に混じって2着したサンシャイン(4)。昨夏のマレーシアCでは休養明けにもかかわらず勝利しました。今期はあまり調子が良くなかったようですが前走のマーメイドSで復調の兆しを見せました。この馬の好走パターンは先行策からの抜け出し。今回は内枠を引いたことで能力を出し切れそうです。穴はこの馬でしょう。

　▲は前々走から再び芝路線に戻って連勝中の(14)オツウ。この馬はダートを使われたことで体質が強化されて勢いに乗っています。前走のPP指数は1000万下条件ながら同週に行なわれたオープンの巴賞と同等なもの。とても内容の濃い走りでした。この勢いならば一気に重賞奪取もあるかと思われたのですが、今回は大外枠を引いてしまいました。先行タイプだけに乗り方がとても難しくなりそうです。1コーナーの進入をどこまでロスなく回れるかがカギとなるでしょう。

【資質証明】スマートレイアーの資質に改めて注目。ヴィクトリアマイル当日は、前日から内ラチ沿いにコースをとった馬たちで大勢が決着し、ヴィルシーナの構築するラップは緩ペース。馬群をこじ開けなければ勝機はないと、インに寄せて行ったが、前から下がってくる馬がいたり接触したり、不利がいくつも重なってしまった。勝負事は言い訳なし。敗因を挙げれば自分の技量が劣ることを証明するようなもの。武豊も言葉少なに引き上げるしかなかったが、1800mならある程度の位置は確保できる。時に出遅れグセのある、テンションの上がりやすい馬だけに、滞在競馬にも利がある。秋華賞2着の決め手とポテンシャルを信頼だ。

ディアデラマドレとの叩き合いが第一本線。本格化は3歳9月の阪神。上がり33秒1の瞬発力は、なるほど重賞2勝馬・母ディアデラノビア譲り。続く堀川特別も、11秒5―11秒3―11秒2(3Fは34秒0)というレースラップを軽々と1秒近く上回る33秒1を計時。GI初挑戦のエリザベス女王杯は、決め手を削がれる重馬場に泣き9着に終わったものの、パールSは1分44秒9。マーメイドSは、いつもよりひと呼吸仕掛けを早くしながらも、上がり33秒9で一閃。牝馬重賞シーンの一線級に堂々肩を並べた。

キャトルフィーユも、1800mならチャンス。ヴィクトリアマイルは、チークピーシーズ効果で忙しいマイルにもなんとか対応したが、本質は中距離馬。愛知杯以降、パワー馬場で結果を残してきたし、洋芝も合う。

キャトルをモノサシとすれば、同じ路線で互角以上の戦績を残してきたケイアイエレガントも、当然争覇圏となる。巴賞はイン強襲がハマった感じもあったが、アロマティコは前走で洋芝に対応。夏は本当に調子がいい。マーブルカテドラルの2-3歳時の戦績は、人気の古馬勢の3歳時より勝っている。

　ヴィクトリアマイルができた2006年以降のクイーンSを振り返ると、前走G1組と条件戦組が活躍していて、オープン特別組とG3組はやや半端な存在になっている印象。さらに回収率を考えると、G1組はどうしても目立つ存在なので配当が伸びにくいというハンデがある。多少無理があるように見えても前走準オープン組を狙う価値はある。

　前走芝の準オープンを勝ってきたという馬は今回2頭。前売りの人気は☆マコトブリジャールのほうが上だが、オープン特別を大敗、3歳時の重賞でも掲示板がない同馬ならば、最低人気でのものとはいえ福島牝馬S3着がある◎フィロパトールまで思い切って狙ってみたほうがよいのではと思う。今回はスマートレイアー、ディアデラマドレという決め手のある馬が人気だが、札幌だと彼女たちの長所が生きない可能性もある。そうなった場合には先行してじわじわ残すというタイプの馬が良いだろう。

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【上位拮抗】混戦だが、夏場が得意なアロマティコが復調なったとみて中心に指名。スマートレイアーは力量上位で休み明けでも好勝負が狙える。ディアデラマドレは相手強化も素質発揮なら連勝十分。キャトルフィーユも力量互角で再度の好勝負が期待できる。ケイアイエレガントは主導権を取れれば残り目あり。上昇の勢いがあるオツウを3連勝式の穴として挙げておく。

本命馬の見解:◎アロマティコは、直結コース京都芝2000mでG1レースの秋華賞を3着好走したように、小回りコースの適性が高い馬。前走は初めて北海道開催に出走したが、これを快勝して小回りと洋芝コースに向いていることを示した。直結コースの重賞実績は多く適性が高いため、引き続き勝ち負けになる。

穴馬の見解:▲マーブルカテドラルは、直結コース中山芝1600mの芙蓉S(OPEN)と直結コース東京芝1600mのアルテミスS(OPEN)を制した。クイーンSは近5年のうち3年で3歳馬が勝利を収め、3歳有利な重賞。阪神JF4着のアヴェンチュラやオークス6着のアプリコットフィズがクイーンSを勝利して、阪神JF5着・オークス6着のマーブルカテドラルも実績的に劣っていない。適性の高さと斤量の有利さから好勝負になる。

※月曜段階の予想ですので回避馬が含まれるケースがございます。あらかじめご了承ください。

　真夏の牝馬重賞。かつてオースミハルカが連覇して、一昨年と昨年はアイムユアーズが連覇したように、リピーターが来やすいレースとしても知られています。ここをステップにG1ホースに上り詰めた馬としてはアヴェンチュラがいますが、どちらかと言うと「G1とは異なる種目での体力比べ」、そんなイメージが色濃いレースです。

1.オークス帰りの3歳馬を狙え

　過去5年で3歳馬が3勝していて、3着も1回。そのうち、故障で春クラシックを全休したアヴェンチュラを除く3頭はすべてオークスからの臨戦でした。それ以外を見回しても、上位人気で凡走した3歳馬はほとんどいません。単純に、古馬との3キロの斤量差がこの条件では相当有利に働くのだと考えるべきでしょう。

2.前走好走馬よりも前走凡走馬

　近5年の連対馬のうち、前走で馬券圏内に好走していた馬はアヴェンチュラただ一頭しかいません。他の9頭はいずれも馬券圏外に凡走していたのですから、きわめて巻き返しが効きやすいレースだと言えます。昨年はマーメイドSを勝った直後のマルセリーナが4着、3年前はヴィクトリアマイルで3着したレディアルバローザが6着に敗れています。前走好走馬については、疲労が残っている可能性をケアする必要があります。

3.外枠の追い込み馬の一発に注意

　開催前半の重賞、しかもスタートから1コーナーまでの距離が短い1800ということで、かつては内枠を引いた馬の好走が目立った時代が続きましたが、近年は必ずしもそうではありません。むしろ前が止まりにくいぶん、内に閉じ込められて脚を余すケースが多発しています。過去3年間では以前と打って変わって、外を回った人気薄の追い込み馬が2着しています。外枠の追い込み馬は紐として一考の余地があります。

　ここはスマートレイアー。G1で1番人気になるほどの実力馬が55キロで出走できるのは相当有利です。愛知杯6着のように激走後のポカがある馬ですが、前走のヴィクトリアマイルは8着ですからその心配は無用でしょう。秋華賞の2着を見ればわかるとおり、追い込み馬ながら小回りコースへの対応力も兼ね備えています。阪神内回りの阪神牝馬Sでも追い込みを決めていますし、この馬には直線の長い短いはあまり関係ありません。

　相手には、このレースの傾向に従って「前走重賞で頑張った馬」よりも「余力を残していそうな馬」を重く見ます。オークス6着のマーブルカテドラルと最下級条件から3連勝中のオツウを中心に。

1番人気が予想されるスマートレイアーは強い。前走のヴィクトリアマイルは人気を裏切る形になってしまったが、直線で窮屈になったのが痛かった。スムーズなら勝ち負けになっていただろう。この馬の持ち味は何と言っても鋭い切れ味。デビューから2戦目でマークした32秒8の上がりを筆頭に、9戦して一番遅い上がりでも34秒6。古馬を含めた現役馬の中でも最上位といっていい。ただ舞台は札幌の1800メートル。小回りで、基本的には前有利といえるコース形態。切れ味が殺される洋芝。強い馬が必ず勝つとは言えないのが競馬。今回は危険な人気馬の気がしてならない。本命はキャトルフィーユ。昨年の夏の函館芝1800メートルで1000万勝ち。中山牝馬S、福島牝馬S、ともに1800メートルの重賞で連対。ここはベストと言える条件だろう。展開もケイアイエレガントがハナを切り、すんなりと隊列は決まりそう。スローペース濃厚で、ラクに好位をキープできそうなメンバー構成。ラスト盛り返す形で差を詰めたヴィクトリアマイル。たとえマクり気味に進出してくる馬がいて、一気にペースが上がっても、あの根性が生きる。