中山芝1600mで行われた、過去9回のダービー卿CTで、常に狙い続けた調教タイプが坂路で追い切り本数多い「標準多め坂路」。2006年に標準多め坂路だったキングストレイルに◎を打ち、予想も馬券も的中。そのレースは馬券圏内を標準多め坂路が上位独占し、3連単125万馬券という大波乱でした。

　その後も、坂路でなくとも、併用系統で「標準多め」が好走、それに伴い、狙う調教タイプは「本数多く」と決めていましたが、近年の傾向は全く違います。中山芝1600mで行われた近5年で、現在4連勝中が「トラック調教」。坂路で追い切り本数多い馬が「差す」というレースではなく、トラック調教馬が上手に立ち回ることが好走するために必要になっていると思われます。

　◎インプロヴァイズは馬ナリ平均トラック。前走が中山芝1600mを軽目トラックで1着していますから、同系統の調教タイプ。韓国馬事会杯の結果を見ていると、今年の馬場も、トラック調教に適性の高さを感じさせる結果。また、前走から引き続いて、堀宣行厩舎の勝負調教に該当しています。

　○ダイワファルコンは標準トラック。昨年出走時(3着)が標準少めトラックですから、調教適性は確実に上がっています。ただし、最終追い切りの5F時計が遅く、本命に推すことはできませんでした。

　▲アユサンは標準多め併用。最終追い切りが馬なりで単走というのは、桜花賞と同じ。5F時計が遅い点は当時と違いますが、ローテーションも同じなので、3番手の評価としました。

　△コディーノは今開催の中山芝重賞で好走する藤沢和雄厩舎。△プリムラブルガリス、△ブレイズアトレイル、△カオスモスは「標準多め」ということで評価。

　☆レッドアリオンは最終追い切りでのラップの踏み方がラスト1Fが大きく減速。かなり危険な最終追い切りだと思いますが、他に評価すべき馬もいないので、押さえておきました。

1.スプラッシュエンド
今回：乗込坂路
前回：馬ナリ平均坂路

2.カレンブラックヒル
今回：標準多め坂路
前回：標準坂路

3.ネオウィズダム
今回：標準少め坂路
前回：標準坂路主体

4.レッドアリオン
今回：標準坂路
前回：標準多め併用

5.コディーノ
今回：馬ナリ平均併用
前回：乗込坂路主体

6.ダイワファルコン
今回：標準トラック
前回：標準少めトラック

7.プリムラブルガリス
今回：標準多め坂路
前回：標準多め坂路

8.インパルスヒーロー
今回：標準多め坂路
前回：標準多め坂路

9.インプロヴァイズ
今回：馬ナリ平均トラック
前回：軽目トラック

10.アユサン
今回：標準多め併用
前回：標準多め坂路主体

11.トリップ
今回：標準少めトラック
前回：標準多めトラック主体

12.レオアクティブ
今回：軽目トラック
前回：馬ナリ平均トラック

13.マウントシャスタ
今回：標準多め坂路
前回：標準多め坂路

14.ブレイズアトレイル
今回：スパルタ併用
前回：標準多め併用

15.エールブリーズ
今回：標準坂路
前回：標準坂路

【上位拮抗】トリップは前走のリゲルS勝利後間隔空けたが調整順調で力を出せる態勢。パワータイプで今の中山も合う。レッドアリオンは前走快勝で力量アップ示す。舞台も得意で連勝十分。実力馬コディーノも動き力強くチャンスも十分。復調のマウントシャスタも力量上位で争覇圏。立ち回り上手なカオスモスも上位が狙え、ブレイズアトレイルやエールブリーズなども差なく要警戒。

【見込んだ通り】コディーノは、東京新聞杯を折り合って0秒2差の4着に粘り込み。見込んだ通り、本質はマイラーだった。ポテンシャルだけで、2-3歳時は1800mの札幌2歳S、そして東京スポーツ杯をレコード勝ち。朝日杯FSも折り合いを欠きながら、1分33秒4で2着に好走。2000mの弥生賞・皐月賞も連続3着と踏ん張ってはきた。7着とはいえ、毎日王冠の上がり・32秒7は最速。秋の天皇賞も一旦2着はあるかという見せ場は作ったものの、残り1Fでパタリ。止まったことで逆に、マイル路線がクッキリ。前回の東京新聞は、東京マイルのスペシャリスト・ホエールキャプチャの瞬発力には屈したものの、2着とはアタマ・クビ差。自己最高体重の480キロが、微妙に伸びを欠く一因とも考えられるが、雪で順延という誤算もあった。今度は馬体も造り切れている。できればパンパンの良馬場が望ましいが、仮柵を取り払ったBコース替り。57キロもクラシック戦線で背負ってきただけに言い訳はできない。

対抗一番手はレッドアリオン。ゲート練習が功を奏し、ニューイヤーSは、中団から手順通り漸次追い上げ、坂の頂上近辺から二段加速で後続を突き離す楽勝。ま、良質マイラーの予感は、アーリントンCが0秒3差の3着、NZTが2着、NHKマイルC・0秒3差の4着に感じ取れてはいたが、兄はデイリー杯・スワンS勝ちのリディルに、デイリー杯他・重賞5勝のクラレント。血統に倣い倣えだ。

割って入ればトリップ。弥生賞2着以降、迷路に入った時期もあったが、昨秋の大原S勝ちを契機に、再昇級のOP・キャピタルSが1分33秒2の2着。リゲルSでは、当面のライバルの一頭レッドアリオンをハナ差競り落としている。3-4歳歳の不振は、今思えば稽古のやりすぎ?。クロフネ×SSという(母はダートで3勝)、いかにも調教駈けする気のいいタイプだけに、タフなCWでバンバン攻めすぎもあったかもしれない。事実、大原Sからは、負荷の軽いDPに調教馬場を転向。それで結果を出している。ちなみに、クロフネ×SSのパワー型の先行馬は、今季の中山の芝にドンピシャ。横山もいいね。

資質ならマウントシャスタも互角。オルフェーヴル相手に、3歳時に宝塚記念5着に奮闘。神戸新聞杯はゴールドシップを相手に3着と見せ場。まだ舌越しするなど、ランボーな面は残るが、身体も450キロ台まではオツリがある。ダイワファルコンは、57・5キロを背負って、昨年のダービー卿を1分32秒8の3着。58キロが微妙だが、中山マイルは〔2101〕。重も上手い。ブレイズアトレイルも、中山マイル完勝歴あり。前走の愛知杯は、折り合いを欠きながら2000mで0秒3差。デキ自体は悪くない。

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本命馬の見解:◎マウントシャスタは、休養明け2走目の前走で直結コース阪神芝1600mの武庫川S(1600万下)を勝利した。昨年のダービー卿CTを制した馬は武庫川Sの勝ち馬であり、このローテは相性が良い。前走で条件戦を勝ち上がったばかりだが、3歳時に重賞2着や宝塚記念(G1)5着の実績があり、すでに重賞を勝ち負けできるレベルにある。

穴馬の見解:△インプロヴァイズは、中山芝1600mにて3走前にノエル賞(1000万下)、前走で韓国馬事会杯(1600万下)を制した。2歳時に直結コース東京芝1800mの東スポ杯2歳S(G3)を7人気3着に激走。そのレースの勝ち馬は○コディーノなので、両馬ともに注目する。直結コースの重賞を激走+同コースの条件戦を2勝して、コース適性は非常に高い。

　中山マイルのハンデ重賞。去年はこのレースからトウケイヘイローがトップクラスへと飛躍していきましたが、あくまでも例外的なケースで、例年はどちらかと言うと地味なレースであることは否定できません。マイル路線の主役というより脇役クラスが集結する裏街道のレースという趣があります。

　今年はコディーノが出走を予定しています。3歳時は未勝利に終わりましたが、古馬になった今年はマイル路線に矛先を転じて、前走の東京新聞杯で4着と、久々の一戦としては上々の結果を残しました。朝日杯FSで2着があるように中山芝1600mも問題なく、相手関係がグッと楽になる今回はきっちり結果を残したいところでしょう。

　マウントシャスタは一昨年のNHKマイルCで2番人気に推されたほどの素質馬です。その後長期休養を強いられましたが、前走武庫川Sを快勝してようやくオープンに復帰してきました。元の素質を考えれば重賞に入っても格下感はまったくありません。ハンデも手頃で、好勝負が期待できます。

　インプロヴァイズはノエル賞、韓国馬事会杯と中山芝マイルで2勝してオープンに出世してきました。スタートに不安は残りますが、決め手はオープンでも見劣りしません。ダイワファルコンはマイル戦ではややスピード不足の懸念がありますが、いまのパワーを要する中山ならばその不安が解消される可能性があります。重賞2勝の実力に注目したいところです。

　大崩れしないトリップ、伸び盛りのレッドアリオン、ひと叩きされた桜花賞馬アユサンなど、伏兵陣も多士済々で、今年は大混戦になること必至です。

【上位拮抗】マイラーとして、その素質を高く評価されてきた04レッドアリオン。重賞タイトル獲得へ向けて、ここは大チャンスだ。休養明けながら及第点の仕上がりにはあるし、枠も2枠4番なら申し分なし。05コディーノ、09インプロヴァイズ、13マウントシャスタなど上位拮抗の混戦を断つのはこの馬と見た。

一線級というよりは、古馬マイラーの第二勢力による戦いといった趣が強いダービー卿CT。ハンデ戦ということも難解さに拍車をかけている。また、先日も書いたとおり今週からBコースへ移動。昨日の傾向にもよるが基本的には内枠、ある程度前で勝負できるタイプが有利と判断。

本命はゲートに不安は残るがレッドアリオン。前走で示した中山への適性の高さ、どんな形の競馬になっても崩れない安定感が大きな武器。

1番人気が予想されるコディーノは、やはり休み明けとはいえ、伸び負けした前走の内容が不満。それだけ期待が高いということもあるが、3歳以降最高着順が3着で連対すらしていないという点、2歳時に見せた爆発的な末脚が鈍っている、ということからも成長力に?で対抗まで。

タイム指数最高値は人気薄レオアクティブ。距離にしてもコースにしても高い数値を示しているが、5走平均で低いのがちょっと気になる。つまり安定感には欠けるということ。よって◎本命にはレッドアリオンのほうを。次点に○レオアクティブという勝負線となる。▲コディーノも人気になるだけの指数の安定感。それでも3着までに1頭は人気薄が入りそうな並びだ。