今年の牡馬クラシック路線は「混戦」と言われています。なぜ、混戦かというと、例年以上の低レベルだからです。確かにラスト5F目から11秒台のラップが連発した
弥生賞を、中団から早めに動いて力で捻じ伏せた
トゥザワールドは強かった!しかし、時計比較をすれば、同日の古馬500万下の決着タイム2分01秒1を上回ることが出来ていません。また、
ロサギガンティアが下克上を起こした
スプリングSもPP指数的に見れば、
弥生賞よりも0.1秒速い程度です。よって、勝ち馬は
弥生賞や
スプリングSで不発した、もともと強い馬に潜んでいる可能性が高いでしょう。成長合戦の3歳戦で同じレベルの指数推移ならば、早い時点でマークしている馬のほうが、価値があるものです。
よって、◎はデビュー3戦目となった
葉牡丹賞で、ハイペースの好位を追走し、そのまま後続を突き放してしまうという圧巻の走りを見せた
キングズオブザサン。当然、
葉牡丹賞のPP指数は高く、あのレースぶりはかなりのスタミナを秘めていると感じさせました。次走の
京成杯では1番人気に支持されましたが2着に惜敗。しかし、大外16番枠を引き、勝ち馬
プレイアンドリアルよりも早く仕掛け、外を回されながらかなり長く脚を使っての2着は負けて強しの内容でした。
この時点で前哨戦を負けて疲れを残さない形ならば
皐月賞の穴馬になるだろうと『競馬王3月号』の「山崎馬券道場」で宣言させていただきました。そして予定どおりに
キングズオブザサンは前哨戦の
弥生賞で5着に敗退。それもスタートでやや出遅れたために後方からレースを進めることになってしまい、持ち味のスタミナを全く生かせない形の敗戦となったのです。
当然、疲労は残らないでしょうし、陣営もこの馬はスタミナを生かすレースをしてこその馬だと再認識したことでしょう。今回は先行策をとってくるはずです。それならばこの馬の持ち味は生きてきます。
葉牡丹賞、
京成杯の強い内容の走りを再び披露すれば、このメンバーでも通用するはずです。
○はデビューからここまで5戦4勝の
イスラボニータ。負けたのは
新潟2歳Sで
桜花賞馬
ハープスターのみという安定した成績を誇ります。かなりの好メンバー揃いだった昨秋の東京スポーツ杯2歳Sを勝利、このレースの2着馬は後の
京成杯の勝ち馬
プレイアンドリアル。3着は後の
スプリングS3着馬
クラリティシチーという一戦。対戦比較をしていけば、当然、今回のメンバーで上位という評価になります。2月の
共同通信杯から今回の
皐月賞に直行するというローテーションは先週の
桜花賞の
フォーエバーモアと良く似たローテーション。確かに疲れは残りづらくなりますが、厳しい流れになった場合のスタミナ面にやや不安を残すローテーションでもあります。吉と出るか凶と出るか。
▲はデビューから2戦はダートを圧勝し、初芝となった朝日杯フューチュリティSをいきなり勝利してしまうという驚きの走りを見せた
アジアエクスプレス。前走、休養明けとなった
スプリングSは2着。まずまずの好発進でした。ただ、この中途半端に好発進という形は意外と曲者で、中途半端に疲労を残して綺麗に上昇軌道に入らないこともあります。かつての朝日杯フューリュリティSを勝利した
アドマイヤドンは上手く上昇軌道に入らないまま春のクラシックシーズンを終えてしまいました。また、あの名馬
ライスシャワーのように復帰初戦の
スプリングSで4着となった後はすんなり上昇せず、
皐月賞、NHK杯と凡退した後にやっと疲労が抜けてダービーで激走となったというパターンもあるのです。ただ、
アジアエクスプレスのここまでの戦績は前記2頭よりも上であることは確かです。本当に体調が良くなるのは
NHKマイルC、ダービーあたりかもしれませんが、能力で台頭ということも十分あるでしょう。