【引退レースにアジャスト】2014年の掉尾を飾る、
グランプリホースは
ジャスタウェイ。JCは、中団で折り合い、ポジショニングも馬群の捌きも、鞍上と意思疎通が適い、仕掛けどころもほぼ満点。しかし、不幸なことに、4馬身先に別次元の競馬を組み立てた
エピファネイアという馬が一頭いた。ただ、ワールドランキング・130ポイントの力量と地力をJC2着で確認。
凱旋門賞は久々、前走のJCも、気持ち下腹あたりに余裕があり、返し馬でやっと、走れるかなという気合いが出てきたが、
凱旋門賞から数えると、
有馬記念は叩き三戦。僚友
ゴールドシップとは、3歳時から調教パートナーとしてともにしのぎを削ってきたが、先週の調教の脚色は遥かに
ジャスタウェイが優勢。最後の有馬で
ピークを迎えようとしている。
力をつける前は、中山の騎乗にも工夫が必要だったが、1分57秒5で
ジェンティルドンナを0秒7差と突き放した
天皇賞(秋)から、時計・折り合い・馬場対応・距離と、あらゆる面において激変。本年3月の
中山記念では、やや重もスイスイ。器用にインを捌き、坂下一気に後続を0秒6差と封じ込め、ドバイ・デューティーフリーのパフォーマンスの下地を作っている。調教の質量は一段と密になり身のこなしにも切れが増してきた。東京の2400mと中山の2500mは、コース形態と対応力が微妙に異なるものの、
父ハーツクライは
ディープインパクトを
有馬記念で封印。自身もドバイ・デューティーフリーの壮行レースとなった
中山記念を快勝、父と息子は中山の坂も悠々だ。
ラ
イバルは
エピファネイア。3歳クラシックは、
皐月賞がレコード決着の2着、ダービーは
キズナと0秒1差の2着に好
ファイトし、
菊花賞で待望の一冠を奪取。4歳となった本年はリズムが噛み合うまで数戦要したものの、JCは1000m通過が59秒6―2000m通過・1分59秒8というミドルラップを好位で我慢。2分23秒1・4馬身差の快勝劇を演じ才能の在り処を知らしめた。新コンビを組む川田とは、調教の呼吸はピタリ。スタンド前とコーナーを折り合って抜ければ、我慢の先に
グランプリと次代の主役の座が視界に入る。
単穴には
ラストインパクトを抜擢。GII・
京都大賞典制覇の頃から、青鹿毛のボディに筋肉の束が浮き出し、常にも増して調教の動きがよくなった。状態の良さと上昇度を随所に感じ取れてはいたが、
金鯱賞を1分58秒8のレコード勝ち。数字として目に見える形で地力強化を示して見せた。
金鯱賞経由から
有馬記念というローテーションは、一昨年の
オーシャンブルーが1着→
有馬記念2着、昨年の
ウインバリアシオンは3着→2着というデータを残している。
僚友
ジャスタウェイのあまりのデキの良さに目を奪われがちだが、
ゴールドシップも少なくとも昨年3着時よりは遥かに状態はいい。年度末の中山は洋芝を
ミックスしたオーバーシードの芝になってからは、芝の適・不適がより顕著となったが、4回中山は全体時計は速くとも中距離ベースの芝は、依然として上がりは35秒台、1F・12秒台を要する力勝負。事実一昨年の
有馬記念・2分31秒9という走破タイムは、
ハーツクライ、
ディープインパクト、
ダイワスカーレットと同じタイム。この時計こそが、中山2500mの適性を物語っている。
凱旋門賞はブリンカーに耳袋、イレ込みを制御するため特殊なハミを装着するなど、「ジャラジャラ系」のよそ行きで臨み、鞍上と意思疎通を欠き、まるで競馬にならなかったが、
阪神大賞典は岩田とのコンビですかさず2番手――内田博や横山典とはまたひと味違う、内回り2500m仕様の積極策というのも期待していい。
フェノーメノには、
マツリダゴッホ的な激走を求めたい。JCは気合乗り、馬体の艶――本調子まであと一歩の状態だったか。直線一瞬伸びかかる姿もとらえたが、最後の1Fで脚色が一緒になってしまった。しかし、
天皇賞(春)を連覇した5歳の雄。ここ一番の勝負強さと底力を見限るのは早計だろう。
木曜日の公開枠順の結果が、起死回生の一変ももたらすとしたら、
ワンアンドオンリー。
菊花賞は外枠、JCは故障馬が突然失速する不利を被り、伸びそうで伸びない、もどかしい7着ではあったが、3番枠なら一瞬の隙を突ける。鞍上は横山典だ。
武豊騎乗の
トーセンラーも、Hペースの乱打戦に虎視眈々。例えば
エピファネイアが前掛かり。引っかかって失速し、
ジャスタウェイが直線中ほどで一気に掃除してしまう乱ペースになると、
武豊の天才とラーの切れが連穴として炸裂。