【4歳春のディープにウリ二つ】明けて4歳、
キズナの春。
天皇賞・春を圧巻のレコードで駆け抜けた、
父ディープインパクトの域に近づきつつある。ひも解けば、3歳春の
毎日杯を契機に、一気にダービーへと駆け上った上昇曲線も急だったが、フランスへと渡り、タフなロンシャンの2400mを1・4着。
凱旋門賞でも見せ場を作り、世界も近いことを印象付けた。帰国初戦の
大阪杯では、ダービー時478キロだった馬体が、498キロに増量。スローも委細構わず、レースの上りが36秒3に対し自身のソレは33秒9。もう一段高見の世界レベルへ、変貌の在り処も確信できた。3000m超えの重賞に
ディープインパクト産駒の勝ち鞍がない云々も言われているようだが、昨年の天皇賞3着馬
トーセンラーとは、マイルの切れならともかく、厚みや造り-中長距離ベースのパワーは一線を画す。
大阪杯では、パドックや本馬場でミョーにしりっぱねグセを見せていもいたが、若き頃のディープの、ロデオのような姿までウリ二つになった?(笑)。それでいて、ゲートインすると集中力が増し、折り合いもピタリ。
大阪杯と違って、今度はジワリと4角進出。淀の盾を知り尽くした
武豊だけに、ラ
イバルたちを射程圏に入れるのも今度は早い。
キズナの台頭を封じ込めるとすれば、あの
オルフェーヴルとダービーでマッチアップを演じた
ウインバリアシオン。重度の脚部不安で1年5か月もの長期休養を余儀なくされたが、
日経賞のラスト4Fのレースラップは11秒9-11秒7-11秒1-11秒9(3Fは34秒7)。4F連続の11秒台の数値は長距離戦では不可欠の底力を示すものだが、今季の中山の馬場で、ラスト2F目・11秒1という瞬発力も出色。あのダービー以来、生涯二度目の
ピークをもって、剛腕シュタルケを背にG1にチャレンジ。
ゴールドシップも、
阪神大賞典で完全復活。高速決着にまだ課題を残すのは確かだが、多少のリキみはあるものの、自然に前へ前へとリズムに乗り、後続を0秒6差に封じ込めている。ちなみに昨年の
阪神大賞典の上がりは36秒8に対し、今年のソレは34秒5。本年の勢いとラップ形態も、前年とはかなり異なる。元より3000mの京都・
菊花賞を、
オルフェーヴルに0秒1差遅れの3分2秒9で走破。フラットコースが苦手なワケはない。
昨年の覇者
フェノーメノにも勝ち負けの権利。
日経賞は負荷の軽いPコース仕上げで中身が伴っていなかったが、この中間はWコースで存分に負荷をかけられた。準備万端だった前年ほどの信頼度はともかく、490キロ台に戻して来れば盾連覇も十分。
フェイムゲームは、
ダイヤモンドSを、レコードに0秒8差の3分30秒2で走破。良質ステイヤーの資質を示してみせたが、いかんせん58キロの経験値が不足。横山典が手塩にかけ育んできたデスぺラードも、4頭もの強豪が顔を揃えた今回は、
京都記念のように、さすがに上手くはいかないかもしれない。