【ロングショット】牡馬クラシック三冠目の
菊花賞は、「二冠馬
ドゥラメンテ不在」という枕が、あちこちで前提に上がる乱れ菊。直接の前哨戦である
神戸新聞杯の決着タイムは過去二年より2秒近く遅く、
セントライト記念も
オールカマーとは2秒の時計差があり、それが混戦となる要因にもなっている。
ならば、別路線組の
スティーグリッツ。
九十九里特別で3勝目を積み上げ菊を制した
デルタブルースにならい、狙いすまして大胆なロングショットを決める。
九十九里特別は、
菊花賞権利取りのための3勝狙い。中山2500mというコースは、知っての通り
有馬記念でさえ、ペースによって5秒近い落差のあるコースゆえ、2分35秒5にも上がり35秒1にも、一見説得力はない。しかし、ラップを精査すると、上がり4F目から11秒7-11秒3-11秒4と急展開。ラスト1Fは12秒0を要したものの、自身は4F連続で11秒台を計時。
菊花賞向きのスタミナを内包している。二走前の渥美特別の2分13秒2という時計も、つい見落としがちだが、
パワーを要する7月の中京開催で、2000m通過・2分0秒8というタフなミドルラップを、唸るような手応えで楽勝。少々乱暴だが、重めで坂コースの中京で2分13秒2という時計は、中山の
セントライト記念・2分13秒8と、互角以上の評価を与えることもできる。母系はマイル-2000mの中距離系ながら、父
ハービンジャーがスタミナを補っている。内田騎手は
オウケンブルースリ、
ゴールドシップで菊を2勝。腹をくくったロングスパートの心の準備は当然ある。
当面の目標は
リアファル。芝→ダート→芝転向という変わり種だが、二走前の中京・
マレーシアCの上がりは、重馬場11秒5-11秒1-11秒7(3Fは34秒3)。
神戸新聞杯も、1000m通過が1分2秒4-2000m通過・2分3秒6のスローにしろ、上がり3Fのラップは11秒0-11秒4-11秒7(3Fは34秒1)。動き出し3F目の「11秒0」というラップが、タフで強靭な逃げ馬であることを示している。ちなみに、ダートのダイオライト記念を勝った
クリソライトのイメージが先行しているようだが、姉
マリアライトは熟成期間を経て4歳春の
マーメイドSを2着に成長。17番枠に驚いている人も多いだろうが(笑)、スローならスルリとスタンド前で先手。行く馬がいれば2-3番手でも折り合う用意も、ルメールには当然ある。
同レース2着の
リアルスティールは、数字こそ最速の34秒0をマークしているものの、ゴール前の脚色は
リアファルと一緒だった。むろん本番は、多少ペースが速くなることもあるだろうし、上積みもあるが、脚をためるか。
エピファネイアのように積極策に出るか。福永の研ぎ澄まされた精緻な助けがないと逆転までは厳しいか。
キタサンブラックの
セントライト記念は、1000m通過が1分1秒1-2000m通過は2分2秒2と、
神戸新聞杯より1秒速いペースで進み、レースの上がりは11秒9-11秒5-11秒6(3Fは35秒0)、自身のそれは34秒9。中山の急坂をきれいに11秒台でまとめ、距離延長にもそれなりに耐え得る内容だった。4番枠なら、距離が長かった云々もないだろう。
サトノラーゼンは、絶好の2番枠を引いた。
セントライト記念は7着に終わったものの、直線馬群に包まれ最後は無理をせず、あくまで叩き台。この2番枠なら、直線入り口の植え込みで、ただじっとインが開くのを待っていればいい。
連穴は
ワンダーアツレッタ。能勢特別は妙に強かったなと、改めて調べてみたが、2分0秒4・後続に0秒5差は、春の阪神開催では古馬OP級だった。
神戸新聞杯で、負けても1秒以内なら、
マッサビエルに本番は本命を打とう決めていた。しかし、出遅れて外をまわったにせよ、1秒9からの反転攻勢はさすがに厳しいか…。