今年の
エリザベス女王杯は、実に難解な一戦となりました。なぜ難解なのかと言うと、まず、昨年のこのレースの覇者であり、今年の
大阪杯では
キズナなどの強豪を撃破した
ラキシスが近走やや不振ということです。
ラキシスは、その次走の
宝塚記念では、勝ち馬
ラブリーデイと0.4秒差(8着)でしたが、今年の
宝塚記念は、
エピファネイアや
ジェンティルドンナ、スタートを五分に決めた場合の
ゴールドシップが相手では歯が立たなかった
デニムアンドルビーが2着入線したように、
宝塚記念自体が大凡戦でした。PP指数的には、
ラキシスが勝った
大阪杯よりも決着指数が低い、G3レベルです。その
宝塚記念からほぼ横ばいの指数で推移していることを考えると、急に変われる可能性は低いでしょう。
また、昨年のこのレースの2着馬
ヌーヴォレコルトは、逆に休養明けの前走
オールカマーで完璧に立ち回って2着と好走した後の一戦というのが気掛かりです。
オールカマーは、世間ではスローペースの認識ですが、けっしてそんなことはありません。確かに6F目まではスローですが、7F目から逃げた
マイネルミラノが後続とのリードを広げに動いて11秒台が連発しているので、相対的に見れば前で立ち回った馬には厳しいオーバーペースです。実際にこのレースの2番手を追走して7着に凡退した
メイショウカドマツは先週の
アルゼンチン共和国杯で2着に巻き返しました。つまり、決着タイムの速い流れを最内ぴったり立ち回った
ヌーヴォレコルトは、実に完璧であり、今回であれ以上の競馬をするのは難しいでしょう。更に
天皇賞(秋)の
ショウナンパンドラ同様に、休養明け好走の反動が出て、中途半端な着順で終わる可能性も考えられます。
更に3歳馬の
ルージュバックは、3連勝で
きさらぎ賞を制した素質馬で、距離が伸びた
オークスの舞台で更に良さが出たことを考えると、芝2200mのこの舞台はマッチしていると言えるでしょう。成長力を見せることが出来れば通用して不思議ないレベルの馬ですが、調整が間に合わずに前哨戦を使えなかったことが気掛かりで積極的に狙う気にはなれません。これで3番人気ならば切って妙味でしょう。
確かに強豪揃いとは言えないメンバーだけに、例年よりもレースの
ボーダーラインが下がって
ラキシスや
ヌーヴォレコルトが勝ち負けする可能性もありますが、人気ほど信頼できないのも事実。よって本命馬選びにはかなり迷いましたが、それほど人気がなく好走が期待できるところで、◎は上半期の上がり馬で、この夏の
マーメイドSで2着の
マリアライトを推します。前走の
オールカマーは、内々で立ち回った馬が2-4着を占める中、終始外々を回って4コーナーの大外ぶん回しで更に置かれて、そこから盛り返しての5着ならばマズマズと言ったところ。対
ヌーヴォレコルトで見れば、それほど差のないレースをしているので、こちらを本命にしました。
○は3歳時の
チューリップ賞や
ローズSともに逃げて3着、今年の
福島牝馬Sで2着の実績があるように、前に行って淡々としたペースに持ち込まれると怖い
リラヴァティ。この馬は本質が逃げ馬でありながら、テンがそれほど速くなく、芝1800m戦だと激しく押していかないとハナを奪えないところがありますが、今回は距離が芝2200mになること、先行馬が手薄なこと、理想的な4番枠を引けたこと、更に近走はハナへ行けずに凡走していることなど、逃げ馬が激穴を開ける全条件を満たしています。また、多少、飛ばして行ってもオーバーペースになり過ぎない京都外回りの芝2200mというのも理想的でしょう。
現時点では18頭立ての18番人気で、当初はこの馬の本命も視野に入れましたが、鞍上があまり逃げたがらない(逃げてもリードを奪おうとしない)秋山騎手であること、この馬の自己ベスト指数が
福島牝馬Sで、そのパフォーマンスだと、今回でよく見積もっても3着くらいと推測されること、そして何よりも自分自身のメンタルが少し弱り気味(笑)なので、対抗までとしました。
▲は昨年のこのレースの勝ち馬で、
大阪杯では強豪を撃破した
ラキシス。確かに近走は、この馬らしからぬレースをしていますが、
札幌記念はオーバーペースの2番手を追走したこと、前走の
京都大賞典は、前有利の流れを後方からレースを進めて、直線では窮屈になる場面があったので、巻き返しの可能性を秘めています。少なからずとも人気サイドで一番信用できるのは、この馬のように感じます。