札幌芝2000mは、4コーナー奥のポケット地点からのスタートで、札幌コースとしてはストレートが長いため、枠順による極端な有利不利はありません。また、下級条件はスローペース、準オープン以上になるとレースが一気に流れる傾向があり、
札幌記念では特に2008年、2014年、2016年は、超ハイペースで決着しています。
つまり、基本的には、差し、追い込み馬有利。昨年、
ネオリアリズムの逃げ切りが決まりましたが、馬が単に強かっただけ。厳密にはこのレースで
ネオリアリズムの素質が覚醒しました。今年は、G1馬不在で、前記した年よりも一枚落ちのメンバー構成。逃げるのは、
ロードヴァンドール。外からこれを
タマモベストプレイが競って、
マイネルミラノがどう動いて行くのかと言ったところ。
ペースが極端に緩めば、早め先頭が得意技の
マイネルミラノが動いて行くだろうし、逆に外枠の
ルメール騎手らしく、
エアスピネルが前付けして行く可能性もあります。今回のメンバーで極端なハイペースになるのも考えづらいですが、スローペースになることも考えづらいでしょう。平均ペースで流れて、実績馬が実力を出し切れる展開になる可能性が高いでしょう。
今回のPP指数の能力値上位馬は、高い順に
ヤマカツエース、
エアスピネル、
サウンズオブアース、
マウントロブソン、
アングライフェン。ただし、
ヤマカツエースや
サウンズオブアースはこの先を見据えた始動戦。
アングライフェンは前走の
函館記念で展開が嵌って指数を跳ね上げたところがあるので、そのあたりがどうか…。
エアスピネルも今回のメンバーが相手で外枠からロスの多い競馬だった場合、勝ち切れるかどうかまでは「?」です。
よって、けっこう時間をかけて吟味しました。◎は、一昨年のこのレースの覇者
ディサイファです。この馬はここを勝って、その年は
毎日王冠・2着、
金鯱賞・2着。そして翌年のAJCCを制しました。昨年の
マイルCSでは、馬券圏内に食い込めそうなところで、挟まれて落馬寸前の致命的な不利。それ以来、強い
ディサイファではなくなってしまっていますが、四位騎手に乗り替わった近2走では、この馬の良さを生かし切れていないのも確か。
前々走・
大阪杯は、始動戦で相手が強かったとはいえ、レースがスローペースよりの流れだったことを考えると、位置取りが後ろ過ぎました。決め手のないこの馬にとって、早い段階で前の位置を取れなかった時点で、敗戦が確定したようなもの。また、前走の
安田記念は超高速馬場のスピード競馬で、近走マイル以下の重賞で実績のあった馬が上位に入ったことを考えると、本来、芝2000mから、もっと距離が長くてもいいくらいのこの馬には厳しい展開。
ディサイファは今年で8歳馬となり、全盛期と比べると、多少なりともスピードに衰えた感があります。超高速馬場でマイル戦の今年の
安田記念に対応できなかったのは、以前よりも、スピードが衰えたことの表れでもあるでしょう。しかし、競走馬は、若さゆえのスピードと引き換えに、年齢を重ねるごとにスタミナが増して行きます。スピードとスタミナを同時に兼ね備えた時期が、競走馬の
ピーク期です。
競走馬が高齢になると、スピード不足をスタミナで補うために、長距離戦を使うようになり、しばしば、時計の掛かる馬場で高齢馬が穴を開けるのはそういったことの表れ。けっして、競走成績が急下降したりはしないのです。つまり、もともと洋芝で3戦3勝の時計の掛かる馬場巧者だからこそ、スピード色が強くないこの舞台で穴を開ける可能性が十分あるということ。近走、擁護できるだけの敗因があるので前売り段階で11番人気ならば、もうこの馬と心中するしかないでしょう(笑)。復活を期待します。
○は、昨年の
スプリングSの勝ち馬で、ハイレベルの
皐月賞でも、前が厳しい流れの中で勝ち馬と0.7秒差、
エアスピネルと0.2秒差(6着)の素質馬
マウントロブソン。昨秋は不振に終わりましたが、立て直された前走・福島テレビOPでは復活を見せて完勝。今回で二走ボケを起こすことがなければ勝ち負けになるでしょう。
▲は、昨年の
菊花賞の3着馬でありながら、今年は
京都金杯勝ちを始め、マイル重賞で上位の走りを見せている
エアスピネル。前走の
安田記念は、騎手がレースが流れることを考慮して、内々の後方で待機したものの、結果的にそれが裏目に出ました。確かに、あまりに積極的に出していくと危ういところがある馬ではあるのですが、さすがに後方待機をしすぎました。
前走が地力負けではないので今回である程度、巻き返して来るとは見ています。しかし、大外枠でロスの多い競馬になってしまった場合のリスクを考えると、3番手評価が妥当と見ました。タフな馬場の札幌芝2000mの外枠は決定的に不利ではありませんが、今回のメンバーが相手でロスが生じた場合を考慮しました。