【桁違い】
アーモンドアイの春二冠達成が濃厚。一冠目の
桜花賞は、1000m通過が58秒7の平均ペース。力のある馬にとっては紛れが生じにくい、確からしい流れで展開。そしてラスト3F標識から11秒5にピッチが上がり、続く2Fは11秒3-11秒6(3Fは34秒4)。スピードと底力の両方を問われるタフなラップ構成だった。1番人気の
ラッキーライラックは、この流れは前哨戦の阪神JFや
チューリップ賞で経験。直線半ばで抜け出したときは勝利を確信したかもしれない。しかし、残り1F標識手前で大外から
アーモンドアイが一気の加速。ゴール板が近づくにつれ完歩が大きくなり、馬体を躍らせ、内の全馬をのみ込んだ。見れば自身の上りはレースのソレを1秒2も上回る33秒2。従来の
桜花賞レコードを0秒2更新する1分33秒1を、自力で叩き出して見せた。
体型は父
ロードカナロア譲りのマイラーながら、最速の上りでレコ勝ちとあれば少々の距離延長も絶対能力でクリアできる。桜の質が高ければ高いほど、自然と
オークスの連動率は高くなる。そもそも桜に至る最初の起点は、東京マイルの外一気――痺れるような加速力に、今の
アーモンドアイの絵図をルメールは描いていた。
アーモンドアイの脚質や強さを、
ブエナビスタや
ハープスターに似せる人もおり、追い込み届かずの怖さを唱える人もいるみたいだが、ギアの切り替えは両頭より早くて速い。管理する国枝師は、三冠牝馬
アパパネを育てたが、尺度は
アパパネと同等かそれ以上という感触がある。
次位は
ラッキーライラック。前走は2着に完敗を喫したものの、自身の走破タイム・1分33秒4は、歴代の
桜花賞でも第4位に相当するHレベルだった。フットワークは大きく、2歳10月の
アルテミスSを勝つまでは、マイルは短いのではないかと思われてきた。パーツや走法など、父
オルフェーヴルに似た部分が多く、
皐月賞前に急激に成長曲線が上がった上昇度も同じかもしれず、2400m仕様に中間コース追いでスタミナを養い、最終追い切りのCWの上りは仰天の11秒3。
桜花賞とはまた違った、中距離仕様の馬体と息遣いが備わった。早めのロングスパートは望むところ、逆転のシナリオは着々と進んでいる。
割って入れば
サトノワルキューレ。瞬発力に富む
桜花賞馬とは走りのリズムが全く異なるものの、
フローラSはラスト4F・11秒9-11秒5-11秒3-11秒7(3Fは34秒5)というレースラップを、上り33秒4で悠々の騎行。1分59秒5は
フローラSのレースレコードであり、二年前の
オークス2着馬
チェッキーノの
フローラSの決着タイムは1分59秒7だった。木曜日計測では454kg、上手く馬体調整ができている。
リリーノーブルは、阪神JF2着、
桜花賞が3着。新勢力の台頭を受け着順を落としているが、四肢も背中も長い
ルーラーシップ産駒だけに、2400m延長、渋った馬場になれば再浮上十分。やや丸まった
桜花賞仕様の造りと違い、今回は四肢も背筋もピンと伸び、ルーラー産駒本来のしなやかで張りのある馬体に変化している。
17番枠は誤算だったが、連穴は中山の2200m・
水仙賞を、上り34秒3で急坂を抜けてきた
ロサグラウカ。キャリア二戦という、異例のローテも狙ったもの?この中間の調教では、GI馬
レッドファルクスと互角に動いた。1000m通過・58秒9という、タフな乱ペースの忘れな草をしのぎ切った
オールフォーラヴも連下圏内。