【歴史を変える】
サートゥルナーリアは、現代競馬の歴史を変えうる、世界をも席巻する、常識を超えた破天荒な傑物かもしれない。
母シーザリオも6戦5勝。2歳暮れの阪神の新馬を快勝し、
寒竹賞、
フラワーCを勝ち
桜花賞2着。
オークスを制し米国に渡りアメリカン
オークスを奪取して引退。疾風のように現れ疾風のように去っていったが、その息子も
ホープフルSまで3戦V。
3戦のいずれも走破タイムは地味。ただどんな局面でも、ラスト1-2F・11秒1-4とピッチが上がる勝負どころを、軽く促しただけで瞬時に11秒を切る
トップギアに変換。上りラップの
マキシマムは、はたしていくつなのか。追えばどこまで伸びていくのか。いい意味で想像がつかない。
なんて、本馬を語る際、幼年時代から「年長馬のような図抜けた体力がある」というコメントを見聞きすることが多いが、昭和の絶対名馬
シンボリルドルフを評して主戦の岡部Jが「2歳とは思えない古馬のような馬」という言葉をしきりに使っていたのを思い出す。
ムチっと張ったこれまでの作りも恰幅もいい。ただ競走馬として、アスリートの体となると、少し水っぽい。さて、本番に向け、どういう姿形をつくるのか。木曜日発表の体重は502キロ(
ホープフルSは500キロ)。輸送を考慮すれば少しマイナスでの出走となり、より理想とする体型に一歩踏み進んだ。
あの
アーモンドアイも若馬時代から桁違いに調教は動いたが、ルメールが跨り、最終追い切りは
シャケトラを子ども扱い。重馬場で11秒8という推進力と
パワーも桁が違う。
皐月賞ぶっつけは想定通り、まずは一冠へまっしぐら。
大逆転があれば
シュヴァルツリーゼ。
サートゥルナーリアがゴジラ級の怪物なら、対抗は怪獣の王ともいわれる、キングギドラ級の破壊力の持ち主。
デビュー戦は、上り12秒-11秒1-11秒0(3Fは34秒1)というレースラップに対し自身のソレは33秒6。ラスト2F・推定10秒5前後の猛烈な末脚を駆使。
弥生賞も大外をブン回し2着急襲したが、デキは見るからに急仕上げ。状態も良くなく、道悪だって大して上手くないのに、最速の上りで大外強襲。良馬場の決め手勝負なら、アッサリ楽勝もあった、桁違いの馬だったかもしれないと、後々考えることになるかもしれない。中間のデキも一変、堀厩舎がこれほど南Wで攻めてきたのは久しぶり。
三番手は、ここ一番
アドマイヤマーズ。3歳クラシックを想定しつつ、調教や馬体造りをいろいろと試してきたが、2歳の集大成・
朝日杯FS、ラ
イバルの呼吸と脚色をうかがいつつ、残り4F標識から11秒8にピッチを上げ、上り3F・11秒3-11秒2-11秒9(34秒4)というレースの上りに対し、自身のソレは33秒9。小雨交じりの曇天下、
パワーを要する馬場で1分33秒9という好記録を叩き出した。
共同通信杯は、タフな東京・距離は1800m。
皐月賞のリンク率も高く、次走を思っての体造り、およびレース運び。1000m通過は1分1秒5のスローに落とし、上りラップを11秒2-11秒0-11秒1(3Fは33秒3)にまとめたまではよかったが、勝ち馬の32秒台の瞬発力は誤算。他より1キロ重い57キロも縛りとなった。
ただ、走破タイムも含め試運転とすれば上々。
ダイワメジャー産駒ながら、後肢の送り込みは深く、急坂も距離も2000mまでは大丈夫。馬体の仕上げも本番は
ワンステップアップ、操縦性も自在だ。
まとめて負かせば
ダノンキングリー。二走前の
ひいらぎ賞は直線半ばで勝負あった。最後は流し気味に、それでも走破タイムは1分33秒7、2歳レコードに0秒3差という好タイムを楽々マーク。
共同通信杯・1分46秒8は過去十年で第二位。10秒台のラップを含む32秒9という超速ラップでイン強襲。全3戦の数字と記録はメンバー中文句なしの一番といっていい。
内めの2枠4番から多頭数をどうさばくか。そこをクリアできればれ、サートゥルに肉薄するシーンも考えられる。
サトノルークスも、12月の阪神1800mを1分47秒4で快勝、続く
すみれSではラスト2Fめに10秒9をマーク。四肢を伸ばし二枚腰を使いグンと加速。瞬発力と持久力の両刀が使える。
まだ仕草は幼いが、明るい肌艶、そして張り、目の輝きも
クリクリと秀逸。少し短躯に見せるが、仕掛けての反応は敏捷、スタミナも問題なし。将棋の駒に例えれば、全方位に動ける大物食いの“金”となる
アドマイヤジャスタは、
サートゥルナーリアに真っ向勝負を挑み、
ホープフルSを2着。57キロを背負ったぶん、詰め切れなかったが
すみれS2着。父
ジャスタウェイの初産駒として、どのようなビジョンを描いて行こうか。レースのたび、調教の強度や戦法を試してきた。その成果をGIで問いたい。
同じ
ジャスタウェイ産駒の
ヴェロックスも、
若駒S・
若葉Sと、心身を磨き鍛え、GI仕様の動き出しを川田と陣営が丁寧に教え込んできた。