【妄想OK】
新潟2歳Sは例年、「ラップ・時計」を探れば意外に簡単。東京か阪神か新潟の7-9Fの距離を軸とし、上り3Fの中をいかに速く駈けるか。平坦1600mの新潟の直線の攻防を想定して、シンプルに10秒台を保持する、瞬発力のあるマイラーを焙り出せばよかった。
しかし、本年の2歳シーンは、北海道を除き、6月から東京も阪神も福島も雨ゝゝ。日本一水はけのいいといわれる新潟も、7-8月の2回新潟は大半が雨残り。出走メンバーの多くが、稍重あるいは重馬場の勝者。「ラップ・時計」論者のとっても受難の年となっちゃったなぁ。数字や記録が第一にあるのは確かだが、良馬場の決め手勝負でいかに機敏に動いてくれるのか。今年は「想像力」と「可能性」がまず一番のポイント。読みが
ドンピシャならホームラン。外れれば空振り三振となるが(笑)。もともと競馬って、足が速いか遅いか。シンプルに、よしこの馬でと思い込み賭けてみるのが、おもしろいのかもしれない。なんて、本命は
フラーズダルム。良馬場の瞬発力決着でも駈けっこなら負けない(たぶん)。新馬戦の阪神マイルは湿り気の多い稍重。走破タイムは1分37秒1と地味ながら、フットワークは大きく、ジワリゝとエンジンが回り、1000m通過・61秒6のスローを二番手。馬の気に任せ4角先頭、ラスト3Fは12秒3-11秒4-11秒8。
キズナ産駒はタフな馬場を得意とするタイプが多いけれど、坂上1Fから二枚腰をつかってさらに4馬身差に振り切る楽勝。ちなみに6月13-14日の週の阪神の外回り芝は、ペースや距離は異なるものの、古馬でも上り2F・11秒台連続という記録は少数だった。
※8R 古馬1勝クラス・1800m 上り12秒0-11秒6-12秒3(35秒9)
※前日4R 3歳未勝利・1600m 上り11秒9-11秒7-12秒9(36秒5)
バックボーンとなる血統は、母は4勝(
ローズS3着)、近親は
ラブリーデイ。
ダイワメジャー産駒の半姉
グレイシアは、新潟7F、中山マイルのアスター賞を連勝した快速馬だった。
ステイゴールド産駒の
ブラックプラチナムは中距離を軸に4勝。SS系だけでなくいろんな種牡馬でも結果を出している、使い勝手のいい一族。デビュー戦は飼い葉喰いひと息。
テンションも高く、恐る恐るの調教メニューしか組めなかったが、一週前の19日には福永Jが跨り、CWで6F追い。上り1Fは11秒台でピシリとまとめ、体調と操縦性の向上を確認。改めて調教ビデオなど見ると、いやはや前脚の手繰りが何とも言えず柔らかく深い、独特のフットワークをする馬だなぁ。
逆転があれば
シュヴァリエローズ。母は仏GIII・ノネット賞など4勝。3番仔の全姉
ローズノーブルは4勝(390キロの小さい馬だった)。本馬は11番仔、弟も438キロと決して大きくはないが、新馬前のCWの追い切りでは、併せ馬で古馬に先着、終い1F・11秒8を楽々とマークしていた。この手のタイプのディープ産駒は実戦派。初陣は11秒8-10秒7-11秒8(34秒3)というレースラップを、上り34秒1を繰り出し、迫るラ
イバルを差し返してみせた。実測として10秒台のラップを計測したのは本年初めて。馬体維持あるいは増量がデリケートなぶん対抗としたが、記録面においては、例年の
新潟2歳Sの勝者のパターンを踏んでいる。
単穴は
ショックアクションの完成度。デビュー戦は、若干馬体も緩く、早めに動いて末をなくしたが、二戦目の新潟マイルは稍重条件下で1000m通過は59秒9。平均よりのスローペースを中団前目で折り合いに専念、馬場のど真ん中から4馬身と突き抜ける完勝。キャリア二戦目なら、新潟マイルは、
フォティノースのように1分34秒1で走る馬もいる。1分35秒3、上り35秒0をどう受け取るか。人によって判断の違いはあるだろうが、フットワークにブレが少なく、坂路では常に1F・11秒台を計測。状態の良さが調教タイムにも表れている。ちなみに、父は英2000ギニー、愛2000ギニーなど、11戦7勝。全欧2歳チャンピオンに輝いた、
ガリレオの後継者と目される種牡馬の一頭。母は海外7勝、生産はゴドルフィン。単なる賑やかし系の早熟スピード系ではない。
2歳S仕様の完成度の高さなら、
ディープインパクト産駒の
ロードマックス。ドバウィ産駒の母は海外3勝(GIII勝ち)、サイズは450キロ、見るからに切れ味が持ち味のディープ。初陣は苦難の不良馬場となったが、稽古でよくコンタクトをとってきただけあって、内外自在にポジションをとり、田んぼのような水の浮いた芝でもガッツゝ。直線も二枚腰を使って最速の上りをマークした。
ブルーシンフォニーも想像力を掻き立てる良駒。デビュー戦の東京マイルは、1分37秒2(稍重)。しかし、上り3Fのレースラップは11秒5-11秒5-11秒7(34秒7)、対する自身の上りは34秒2。ゴール板が近づくにつれグングンと加速、最後の1Fは推定11秒0前後で鮮やかに突き抜けた。母の弟
ドーヴァーは、1400-1600mで7勝を挙げている現役オープン馬(道悪はオニ)。だが、
スクリーンヒーロー産駒の甥っ子は、良でも切れた。イメージ以上の実力派かもしれない。
△二番手は
ジュラメント。トレーニングセールで10秒台の1番時計を叩き出しただけあって、デビュー戦の東京マイルは、評判馬
サトノレイナスの2着。3コーナー過ぎハナに立ち残り100mまで、あやわの見せ場は作った。二戦目は、中二週というハードローテながら4キロ増、412キロで登場。前半4Fめを13秒0で通過、まんまとスローに落とし、上りは11秒4-11秒0-11秒7、教科書通りの好ラップでゴール前もうひと伸び。