【瑞々しく、さらに高く】
コントレイルが無敗でクラシック二冠馬を達成、
ディープインパクト産駒6頭目のダービー馬となる。2歳9月の阪神で新馬勝ち、GIII・東京スポーツ杯を1分44秒5という大レコードで圧倒。GI・
ホープフルSを勝ち最優秀2歳チャンピオンにも輝いた。前走の
皐月賞は3か月半ぶりの実戦。できれば10キロ増くらいを目安に増えて欲しかったが、肌艶の光沢は一層増し、完歩は大きく力強くなった。
最内1番という難しい枠からの進発となったが、1000m通過は稍重条件下で59秒8、流れはかなり速い。前後左右のラ
イバルたちの位置を確かめつつ、向こう正面半ば進路は後方内より。3コーナー手前、外に持ち出すスペースをみつけ、痺れるような手応えで4角を回る。しかし今年の
皐月賞は、終い3Fのレースラップも11秒9-11秒8-12秒1(35秒8)というHレベルで決着。内からスルリと抜け出してきた
サリオスが、残り100m近くまで併せ馬となって抵抗したが、決勝点手前は余力をもって押し抜けた。上り34秒9はメンバー中最速、数字通りなら2400m延長もほぼ問題はない。
前走後は短期放牧でリフレッシュ。一週前追い切りはCWで80秒2、直前坂路で感触を確かめるメニューはいつも通り。前走は最終追い切りで左にモタれていたが、今回は真っすぐ登板できている。フォームやより精密なものとなり、馬体も依然瑞々しい。
まともなら相手は
サリオス。
皐月賞は重から稍重へと芝は回復したが、内目は荒れている。ただグリップ力の強さは並ではない。7番枠から距離ロスのないよう馬込みで我慢、直線入り口手前馬群をこじ開けるようにして一旦先頭に躍り出た。勝ち馬の才能に最後は屈したものの、後続とは3馬身半の大きな差がついた。
皐月賞は、他とは絶対能力が違う。
距離延長を睨み、木曜日発表の体重は
皐月賞時より2キロ減の534キロにシェイプアップ。レーンが熱心にス
トライド走法も教え込んでいる。枠は12番、内のラ
イバルを視界に入れつつ機先を制し、残り1Fで2馬身離して動かせば、乾坤一擲の逆転があるかもしれない。
三番手は
サトノフラッグ。東京2000mのレコードは、1800m通過は1分47秒9。同週の
コントレイルの東スポ杯・1分44秒5のレコードと比べると明らかに見劣る。しかし、年明け1月の中山2000m・2分1秒4で、
ホープフルSのレベルには追いついた。重馬場の
弥生賞を外一気に強襲、
パワーも十分ある。いざ
皐月賞、4角手前の勢いは
弥生賞と同じ。しかし不思議、直線を向きフォームがだらり。風船がしぼむように急に手応えがなくなってしまったが、重馬場を激走したあとの疲労――体重の減少ぶんだけトモも尖り、腰に力が入らずフォームが乱れてしまった。
思えばデビュー戦、そして二戦目と、もともと腰がフラつき、そこに弱点も抱えていたが、馬体の造り、調教の負荷を今一度見直し。一週前の追い切りは最後内に切れ込み加減だったが、直前は胸も腰も膨らみ真っすぐに伸びた。好位を奪いに行くか終い勝負か。難しい15番枠を引いたが、
皐月賞の1秒1差は縮めてくる。
一発の魅力なら
ガロアクリーク。
スプリングSは中山の急坂を上り33秒8で坂上一気。
皐月賞もレースの大勢が終わったあととはいえ、ゴール前の脚色は一番。「
皐月賞でもっとも印象に残った馬を本番で買え」という
セオリーは、決して古くさくはない。
キンシャサノキセキ産駒ながら、四肢は長く走法は伸びやか。今回の調教の動きも際立っている。
ワーケアは、
ホープフルS3着、
弥生賞は2着。コーナー4つの中山は勝負どころでついていけない。
皐月賞は変に動かすと身体を痛める。摩耗の多いレースになるとみて回避したが、東京は上り33秒2から33秒3で2戦2勝。スイッチが入るのは遅くとも、東京の直線なら一完歩ごと、先頭ゴールが近づいてくることを、ルメールは計算している。
ロングスパートを仕掛ければ
ヴァルコスも連下圏。
青葉賞は後半1000mすべては11秒台、馬場の
アシストを受けたとはいえ、2分23秒0で走った。