【女王決戦】
クロノジェネシスが
グランプリ3連覇の偉業に挑む。
昨年の
宝塚記念は後続を1秒ちぎる大楽勝。本格化と、底知れない強さを陣営も私たちファンも
グランプリで目視した。秋の天皇賞は発馬でミス。流れに乗り遅れ、直線強引に押し上げ、なんとか
アーモンドアイにくらいついていったが、最後は0秒1差力尽きてしまった。ただ1分57秒9という高速タイムで走破、上りは究極ともいえる32秒8を計測。懸案の高速決着にも対応が適った。
有馬記念は自己最高の474キロに増量、力感あふれるリズムで好位を追走。4角スパートで一気に後続を突き放し、坂上ではもう勝負あった。
ドバイシーマクラシックは、外からフランスダービー馬
ミシュリフによる徹底マーク、内からは
ラヴズオンリーユー。二頭に挟まれ文字通りしのぎを削り、心身ともにギリギリの競馬を強いられたが、残り1F過ぎ再び闘志が沸き上がる。首を差し込み盛り返すようにした、あの2着には唸った。海外遠征明けになるが、栗東入りし時計を出し始めたのは6月初旬。CWで長め6Fを合計3本、一週前追い切りではルメールJも感触を確かめた。木曜日発表の体重は482キロ(有馬は474キロ)、輸送のマイナスぶんなど差し引きすれば体重はピタリ。本格化した今なら晴れても勝ち負け、雨ならなおさら。
当面の敵は
レイパパレ。条件時代から高いスピード数値をラップや走破タイムで示していたが、
大阪杯は並みいる現役屈指のGI馬たちを相手に、二枚腰を使ってネジ伏せる快勝。表示は重馬場ながら、ラスト3Fは13秒1を要する、実質は不良に近い泥んこ馬場でも、尋常ではない勝ちっぷりだった。血統は異なるものの、たとえるなら女
サイレンススズカ--良でも雨でも、問答無用でラ
イバルを即座に競りつぶす、稀代の中距離スピードスターに進化する可能性あり。前回の内容ならば、とりあえず1F延長の2200mは守備範囲。木曜発表の体重は前走比20キロ増の442キロ、目に見えて大きくパワフルさを増している。スーパー牝馬二騎の牙城は高く険しいが、お互いが過度に意識しすぎ、3コーナーすぎから早めに飛ばすようなら
モズベッロにもチャンスが生じる。昨年の
宝塚記念3着、今年の
大阪杯2着。戦績通り重は鬼、だが
日経新春杯勝ちがあるように決して良馬場が不得意というワケではない。要は典型的な叩き良化型、上り調子で
大阪杯を2着したが、この中間競走生活の中で最もハードで綿密な調教メニューを消化してきた。相変わらず不良っぽい乱暴なフォームながら、毛艶も
ピカピカ、まさに今がキャリアにおける
ピーク。
カレンブーケドールの実力も、もちろん軽くは扱えない。
オークス2着、JC2着など、数々のGIの頂上決戦で勝利にあと一歩のファイトを幾度も演じてきた。前走の天皇賞も1000m通過は59秒8-2000m通過は2分1秒3-3000m通過は3分1秒7。13秒台のラップは道中と終い1Fだけというタフな激流だった。
カレンのポジションは終始二から三番手、先行勢は総崩れの中、残ったのは3着の
カレンだけだった。疲労がたまると時に身体が硬くなる時があり、天皇賞の疲れが少し心配だが、地力と実績は◎と〇に準ずる。
アリストテレスは、3000mの
菊花賞を
コントレイルと首差の激闘を演じたが、あの菊は今思えば典型的なスローの上り勝負。スタミナはなくとも中距離型でも戦えた。
阪神大賞典、そして天皇賞の止まり方を見ると、明らかに敗因は距離。2200mは[2100]、高速タイムも保持しているが、不良馬場の
AJCCも勝利した。大人しい馬だが、目つき、身のこなしに力が宿り、馬体の張りもさらに良化している。誰が乗っても操縦が難しいが、
キセキの戦績と軌跡も連下に
リスペクト。