【組み立てが楽】
レイパパレが総合力でマイルGIを捥ぎ取る。昨年の
大阪杯は、重馬場という特殊な条件下ではあったが
コントレイル、
グランアレグリア以下を完封、一躍2000mGIのトップに躍り出た。次走の2200mの
宝塚記念は3着、今年の
大阪杯もあわや先頭ゴールかという2着。しかし傑出したスピードと能力の高さで2000m以上の距離にも対応してきたが、少しでも歯車が狂うとスタミナ不足に陥り末が甘くなる。前進気勢を抑えるため道中非常にデリケートな操作を強いられてきたことも確か。
紐解けばコース平坦の新潟ながら、1800mに1分45秒3という好タイム圧勝歴があり、マイルは2戦2勝。ワンターンの1600mなら折り合いを気にすることなく自分のリズムでレースを構築、直線二段加速で伸びる。430キロ前後と数字的には軽量だが、無駄肉が一切なく隅々まで緊張が行き渡り、ぬかるんだ馬場もミズスマシのようにすいすいと走る。やや間隔はタイトだが
大阪杯後も順調にハードメニューも消化してきた。
対抗は
ソングライン。東京は[2200]、
NHKマイルCを歴代第二位の1分31秒6.2着した
サウスポー。前走はサウジアラビアに遠征、55キロの重量でも、動じることなく真っ向勝負の叩き合いを演じた。木曜日発表の体重は500キロ、明らかに一回り逞しさを増している。調教の伸びもキャリア一番、今の充実振りなら、ゴール板をモタれることなく突き抜けてくる。
白毛馬
ソダシも好勝負必至。時に不可解な敗戦もあるけれど、
桜花賞・1分31秒1という大レコードは色あせない。
フェブラリーSは、脚抜きのいい芝並みの高速ダートながら、3着奮闘は高い才能あってこそなせる業。体重の数字は大きく変わってはいないが、3歳時より明らかに皮膚は薄く四肢運びは力強く滑らかになり、GI馬――白毛独特の何とも形容しがたいオーラを醸し出していた。
ファインルージュは、
桜花賞は0秒1差の3着、
紫苑Sの1分58秒2という走破タイムは
ノームコア(後に
ヴィクトリアマイル、
香港C優勝)の1分58秒0に次ぐ歴代2位。2000mの
秋華賞も2着に踏ん張ったが、本馬も基盤となる距離はマイル。小さな不利が重なり2着に敗れたものの、今年の
東京新聞杯は近年では最上位にランクされるHレベル決着だった(自身のタイムは1分32秒6)。
レシステンシアは、前走の
高松宮記念は海外遠征明け。調教ではそれなりのタイムは出ていたが、負荷は軽く中身が伴っていなかったのだろう。身体は少しプヨプヨ、一身に注目を集める立場でもありプレッシャーもキツく、淡泊な逃げになってしまったが、同じような体重や調教タイムに見えても前走の調整過程とはまったく中身が違う。意外や流れはスロー(かも)、しかもマークは薄い。道中どこかで先頭に立ち、あれよゝ逃げ残りまであるかもしれない。
デアリングタクトは一年振りの出走。確かにフットワークは小さい、しかし筋肉は盛り上がり肌艶はいい。松山Jのコメントにも、何気ない自信と信頼が感じられ、八分の造りだとしても無敗三冠馬の底力は侮れない。