【悩み解消】太平洋上を台風通過、馬場適性が大きな
ウェイトを占める悩ましい
安田記念となった。頼るべき基盤と柱はやはり根本的な才能――4歳馬
セリフォスの資質と決め手にスポッ
トライト。
父ダイワメジャーに似て、2?3歳早期は気難しさが目元に現れ、
デイリー杯2歳Sは勝ったものの、勝負どころで脚を突っ張り
朝日杯FSは2着惜敗。
NHKマイルCは、そこは伸びないぞというインに押し込められ、古馬相手の
安田記念は体力不足を露呈した。
しかしひと夏を越え復帰戦となった富士Sは、肌は薄くキラキラと輝き、
シルエット、四肢の連動、歩様や目元、こんなにいい馬だったっけ? …。体重は
安田記念と同じ490キロのままでも、体力がつきCWの長め6F本数が増え、毎週1F・11秒を切ろうかという時計を出せるようになり、何から何まで激変。
いざ実戦でも、上位馬たちの追い出を背後でじっくり静観、着差以上の力量差で外からねじ伏せてみせた。続く
マイルCSは昼過ぎまで芝は稍重、発表は良ながらまだ水分は残っている。前半1000mは58秒5のスロー、4コーナーを回りポジションは大外。2F標識が近くなっても手綱を抑えたまま。ひと呼吸どころか三つ息を吸って、坂上をようやく追い出し開始。
上り3Fのレースラップは11秒6-10秒8-11秒6(34秒0)、対する
セリフォスのソレは1秒速い33秒0。正味1Fの決着だったと考えれば、推定10秒6前後の超高速ラップを刻んでいたか。しかも手綱を緩めながらのゴールイン…。レーンJの度胸と凄みには舌を巻く。
ちなみに前年の
マイルCSは
グランアレグリアが上り32秒7を繰り出し快勝したが、馬場はシンプルな良馬場。前半のペースは
セリフォスの
マイルCSより遅く、後半まで余力を残しており、数字的には0秒3遅れながら、インパクトは
グランアレグリアとほぼ同列でいい。
あくまで参考ではあるが、
ダイワメジャーは
アドマイヤマーズ、
カレンブラックヒルなど重巧者も多い。前走の
ドバイターフは距離9F。抜群の手応えで押し上げながら残り1Fでピタリと止まってしまったが、逆に純正マイラー像が透けて見えた。一週前追い切りはエキサイト気味に飛ばしながらも長め7F・96秒0で走り、終い1Fは13秒3で併走相手をブッ
チギリ。直前追いも多少カッカしていたが、滑らかさは確実に増している。タッグを組むレーンJも気性と操縦は織り込み済みだ。
ただ
パワー勝負の差し比べとあれば、
ソングラインは相当手強いラ
イバルになる。去年はタフなドバイの芝GIを制し、
ヴィクトリアマイル5着経由で
安田記念を奪取。牝馬ながら叩けばジンワリ味が増し基礎体力は強固。本年の
ヴィクトリアマイルは発表は良ながら、芝はまだ湿り気を帯びており、馬群は荒れた内を避けインがポッカリ空いた展開にも恵まれた。ただ、並びかけてグイともうひと伸び。闘志あふれるハミの咥えかたや加速を改めてみてみると、ラッキーではなく力で奪い取ったように映る。大外枠は引いたが、馬場が回復したとしても前年のような外一気の構えもとれる。
実績は
シュネルマイスターもほぼ横ならび。
NHKマイルCを1分31秒6という破格の時計でもぎとり、古馬初挑戦の
安田記念3着。3歳秋は
マイルCS2着、
グランアレグリアの後を継ぐGIマイラーと目された。心身の理想に合致せず悩ましい時期も経験したけれど、
マイラーズC快勝で復活の狼煙。ただ、馬体や血統のイメージと少し異なり手先は意外なほど軽い。決め手の内訳は、1Fをどれだけ高速で走れるかの瞬発力系。水分を含んだ芝は正直走ってみないとなんとも言いようがない。
逆に
ソウルラッシュは、富士S-
マイルCS-
マイラーズCと、一番内容のある競馬をしながらゴール前差し込みを許してきた。しかし重なら余勢を駆り、そのままも十分。馬場が悪化すればするほど印も連対確率も高くなる。
ソダシは東京マイルは[2-1-1-0]、多少馬場が渋っても平気。ただ、中二週はキャリア初。あの
アーモンドアイも見かけは大丈夫そうに見えて、新馬以外で取りこぼしたのは、ドバイおよび
ヴィクトリアマイル経由の牡馬混合のGI・
安田記念だった(3・2着)。
重馬場で同じ脚が繰り出せるかがまだ微妙だが、
レッドモンレーヴの
京王杯SCの差し脚はほぼGIレベル、状態も文句なし。
ガイアフォースは、
マイラーズC2着で新たな舞台を開拓。ただ、若馬時代ではあるが、中京戦でギアがガクンと抜けた時があり、左回り?