【角を突き合わす】
ムルソーは世代を代表するダート中長距離のエース。父
レイデオロ×母
父エンパイアメーカーという荒れくれ配合通り、大きなチークピーシーズを装着。四肢は長くサイズは500kg超、加えて性格はファイター。1月の京都・芝10Fの新馬は10着に惨敗したが、二戦目の京都1900ダートは2着に2秒3をつける派手な大差勝ち。1分59秒2は同日の1勝クラスとわずか0秒2差。
――しかし2着との差は1秒、9F通過タイムをみると前走も勝ち負けの絵図は描けていたか。ただ川田騎手を以ってしても行きたがり、雁行状態の逃げ争いにもなったが、直線息を整え合図を送るとあっという間にトップスピードに乗り、上り3Fは12秒3-11秒7-12秒4(36秒4)。残り1Fは流しながらのゴール、2着に8馬身差のブッ
チギリ。1分51秒8は、同日の古馬1勝クラスより1秒8も速く、着差を加味すれば現時点で古馬オープンに近い。中二週ゆえ追い切り本数は2本だが、連続騎乗とあればコントロール方法も微調整が可能。
スケールと将来性なら
ミッキーファイトも負けず劣らず。三代母は
エアグルーヴ。半兄
ジュンライトボルトは、一昨年のGI・
チャンピオンズCで直強襲に成功。父に
ドレフォンを配した弟は534kgで東京マイルダート勝ち、544kgにビルドアップしてコーナー4つの中山9Fにも難なく対応。1000m通過・62秒0というタフなミドルペースを三番手の外で余裕をもって追走、首の上下動の大きさや力感が他とは一線を画していた。残り1F標識手前で逃げ馬をもったままとらえ、残り100mだけで2着に5馬身、3着には4馬身の大楽勝を演じた。1分52秒5という走破タイムは、一週前の古馬3勝クラス・
市川Sと0秒2差ながら、着差等を加味すると2歳12月時点で古馬オープンと僅差という計算が成り立つ。
キャリアと完成度なら
ラムジェット。母
母ラヴェリータはJRA4勝、地方交流重賞7勝のダートの名牝。距離7Fにこだわってきたが、寒椿賞をこれまでにない余裕残しで差し切り勝ち。ならばと
ヒヤシンスSは1F距離を延長。1000m通過・59秒1のHペースで展開したが、ポジションはシンガリ。直線いかに末脚を伸ばすかの一点勝負が功を奏したとはいえ、レースの上りを1秒1上回る36秒1の末脚を繰り出し、絵にかいたような大外一気のごぼう抜き。追い込み馬の3馬身という着差は、逃げ先行馬の5馬身に匹敵する大差。1分36秒3はメインのGI・
フェブラリーSと0秒6差。コーナー4つの9Fでも、力量通りなら単式圏に入る。
カゼノランナーの前走・中京1900ダートの1分58秒8、上り36秒6の速力にも注目。完成度の高さなら、
伏竜Sをゴール前一気に2着に突入してきた
アラレタバシル。
マルチャレアルの1分52秒7という前走時計は、古馬2勝クラスを上回る滋味のある好記録だった。