【練りに練ってきた】
ドゥレッツァは重厚感としなやかさ、大いなる成長力を備えた4歳馬。
菊花賞制覇から1F延長、今春は3200mの天皇賞制覇一点に照準を定めてきた。
紐解けば菊――
ルメール騎手の魔法のような手腕で大外17番枠から一気に先手を奪い、中間の1000-2000mは好位に控えコースロスなくラチ沿いで折り合い専念。ラスト4Fから11秒台のラップを重ねズバリと馬群を割り、ダービー馬と
皐月賞馬を0秒6差に完封。3分3秒1はという記録は、少し古いけれど
オルフェーヴルや
ゴールドシップと同格といっていい。
ただ菊制覇は完遂したが、まだ体力不足。前哨戦は春の天皇賞から疲労回復を逆算、59kg、距離不足を承知で2000mの
金鯱賞をチョイス。折り合い、追い出しのタイミングや反応など確認しつつ、あくまで自分のリズムで道中進んだ。結果は
プログノーシスの圧勝。5馬身独走を許したものの、1分58秒4は、例年なら楽々勝ち時計に匹敵する好タイムといっていい。1カ月半開け早め栗東入りが奏功、CWコースで7F・98秒6というタフな追い切りを含め仕上がりは万全。最終追い切りは呼吸を整えるだけの単走でOK。重心はさらに低くなり、伸びやかさ、躍動感、馬体の
シルエットも並み居るGI馬の中にあっても群を抜いている。
対抗の
ブローザホーンは、例えるなら
ライスシャワー。体重は420kg台で推移、見るからに細身のマラソンランナー。GI参戦まで経験や準備期間を要したが、二走前のGII・
日経新春杯完勝で一歩前進。前走の
阪神大賞典は転厩初戦、初の58kg。スタート直後から終始前進気勢が強く、抑えるのがやっとという状態でも、ゴール前もう一度脚を伸ばし3着入線したスタミナにはびっくり。中間は坂路とコース追いを密に併用、気性をなだめつつハードワーク課したかいあって、最終追い切りの坂路は遅れはしたものの地に足の着いた走りを披露。
阪神大賞典の先着馬を折り合えば逆転、渋った馬場なら金星も一考の余地あり。
マークはキツくなるが、
テーオーロイヤルも首位争いは当然。2022年の
天皇賞(春)3着後、長期休養を余儀なくされたが、ステイヤーズS2着を起点に3400mの
ダイヤモンドSを上がり33秒7でグイと圧倒。
阪神大賞典も最速の上がりで後続を5馬身差にチギり捨てる圧勝劇を演じた。マラソンレースを3度走ったが、さらなる上昇が見込めるという鉄人振りにも驚く。
サリエラは
ダイヤモンドSから長距離へと舞台設定を変更、いきなりクビ差2着に粘り込んだ。コーナー数の多い京都にかわるが、鞍上の
武豊騎手にとって京都は自宅の庭のようなもの? 春の天皇賞のレース運びは自由自在。
タスティエーラは、まだ繊細さを多く残しているのだろう。
大阪杯はフォームが崩れ意気消沈。11着に沈没したが、調教の動きはコレといった摩耗は見受けられず。本質は中距離馬だが、モレイラ騎手とのタッグで
菊花賞2着とあれば軽くは扱えない。連穴は堀厩舎の僚友
チャックネイト。AJCCでは実力派
ボッケリーニをハナ差ながら撃破。距離は長ければ長いほどいいスタミナ自慢。密かにハードに稽古で練磨してきた。