今週土曜日の東京競馬場でのメインレースはマイルCSに向けた前哨戦の富士ステークスです。

　本命にはレインボーペガサスを推します。前走の京王杯オータムハンデでは57.5キロのハンデで三着と好走しました。前々走の関屋記念で直線の長い新潟で、先行して押し切っています。今回初の東京マイル戦になりますが、目黒記念や日本ダービーでの好走実績がありますし、左回りの新潟実績があるので、軸とします。

　対抗にはダンスファンタジアです。春のシーズンは精彩を欠くレースが続き、桜花賞やNHKマイルCでは大敗しました。しかし前走のポートアイランドSで復調の兆しを見せて三着と好走しました。今回斤量が52キロなのが非常に魅力的で、今回の距離が合っていそうなので、期待します。

　三番手にはストロングリターンです。今年に入って四戦して二勝、二着二回と非常に安定した成績を残していて、前走の安田記念ではタイム差無しの二着と非常に惜しいレースでした。今回休み明けで斤量58キロなので、評価を少し下げましたが、実績的には最上位なので、三番手とします。

　押さえには前走久々のレースで好走したエイシンアポロンとGIでも好走実績のあるゴールスキーです。

東大ホースメンクラブ　キャラメル

　過去5年の富士Sで二桁人気が馬券に絡んだのは5頭。33%の確率で超人気薄が高配当を演出する波乱重賞です。

　また過去7年にさかのぼって勝ち馬だけの調教タイプを列記すると、

2004年　標準多め坂路
2005年　乗込坂路
2006年　標準多め坂路
2007年　馬ナリ平均トラック
2008年　標準坂路
2009年　標準併用
2010年　一杯平均坂路

となり、坂路調教馬に有利な傾向が出ていることは一目瞭然です。

　また2006年キネティクスは16番人気だった点を重視すれば「坂路で本数多く」という調教タイプは富士Sに最も調教適性の高いと考えられます。

　キネティクスと同じ人気薄の標準多め坂路なら◎スズカコーズウェイ。前走は見せ場十分のレース内容でしたが、やはり最終追い切りで坂路4F53.9秒という時計は少々遅かったのではないかと考えています。

　しかし今回は坂路4F52.6秒と京王杯SCを勝った時の4F52.0秒に限りなく近づいており、追い切りの動きにも機敏さが出てきました。もちろん標準多め坂路はその京王杯SCを勝った時と同じ調教タイプでもあります。

　もう1頭の標準多め坂路である○ゴールスキーも最終追い切りの動きは抜群。この馬自身は標準多め坂路という調教タイプが初めてなだけに、信頼度は◎より低くなりますが、同じ東京芝1600m重賞の東京新聞杯を標準坂路主体で3着だったことを考えると、本数強化の今回の方が好走する確率が高くなっても不思議ありません。

1.アブソリュート
今回：標準併用
前走：標準坂路

2.カウアイレーン
今回：馬ナリ平均坂路
前走：軽目トラック

3.ダンスファンタジア
今回：乗込坂路主体
前走：馬ナリ平均併用

4.ドモナラズ
今回：標準坂路
前走：標準坂路

5.マイネルラクリマ
今回：標準トラック主体
前走：標準併用

6.トライアンフマーチ
今回：馬ナリ平均併用
前走：乗込併用

7.ライブコンサート
今回：標準トラック
前走：標準トラック

8.アプリコットフィズ
今回：乗込坂路
前走：馬ナリ平均坂路

9.ストロングリターン
今回：標準トラック
前走：標準トラック

10.ダブルオーセブン
今回：標準少めトラック
前走：地方

11.スズジュピター
今回：標準トラック
前走：一杯平均トラック

12.レインボーペガサス
今回：標準坂路
前走：標準坂路

13.エイシンアポロン
今回：馬ナリ平均坂路
前走：標準併用

14.ゴールスキー
今回：標準多め坂路
前走：標準併用

15.ラインブラッド
今回：一杯平均坂路
前走：標準坂路主体

16.ブリッツェン
今回：標準併用
前走：標準多めトラック

17.スズカコーズウェイ
今回：標準多め坂路
前走：標準多め坂路

　積極的なタイプ不在で、ペースは速くなりそうにないが、雨の影響でスタミナが問われる馬場になる可能性は否定できない。指数的には、マイルの距離がギリギリというタイプを嫌う方向性で攻めたい。

　本命はマイネルラクリマ。秋初戦にオールカマーを選択したのは、当初は菊花賞が視野に入っていたからと予測されるが、指数的に言うと今回の路線変更は歓迎。過去の指数動向を見ると、斬れより持久力に振れているタイプで、今回は5か月ぶりのぶっつけだったNHKマイルC(16番人気)で最高指数｢113｣をマークした舞台。渋馬場への適性は続く白百合S(芝1800m・不良馬場)・1着で証明済み。斬れが問われない馬場ならば、3歳の本馬でも台頭可能と読む。

【混戦】出否を当週に持ち越したストロングリターンだが、態勢は整ったと見える。実績も重視して本命とした。レインボーペガサスは関屋記念を好内容で制した。状態もよく、逆転も十分。潜在能力の高さを感じるゴールスキーも争覇圏。エイシンアポロンは長期休養明けの前走で底力の高さを証明。復調気配のアプリコットフィズ、底を見せていないマイネルラクリマにアブソリュートの一発にも警戒。

【格上主力】昨秋の天皇賞17着で、評価が微妙になったエイシンアポロンだが、その天皇賞は、直線入り口で大きな不利。ピカピカのパドックのデキを見て、ひょっとしたらを思っていただけに、残念な結果だった。立て直しに一年。まだ緩さの残る造りでも、前回の毎日王冠をあわやの4着。中距離GI路線も睨んできたが、朝日杯FS杯を2着。東京1400メートルの京王杯2歳Sで一気差しを決めた、本質はマイラー。このメンバーに入ると、戦ってきた相手も違えば格も違う。ちなみに、京成杯2歳Sも弥生賞2着の馬場は重。中一週だが、坂路52秒0―37秒2の好タイムも出ている。二の筆頭はレインボーペガサス。前回の京成杯AHはハンデや折り合いに泣いたが、別定条件なら巻き返し十分。安田記念2着のストロングリターンは、調教過程を見ると、まだ完調にはひと息の造り。ラジオNIKKEI賞2着のマイネルラクリマ。ダンスファンタジア、アプリコットフィズの一瞬の決め手も、連下なら付け入る余地あり。

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　◎ストロングリターンは「シンボリクリスエス×スマートストライク」という組み合わせ。

　母コートアウトはスマーテア4×3という大胆な牝馬クロスを持っており、繁殖牝馬として注目したい存在だ。この母はスタミナとスピードを融合させた底力あふれる万能型だが、気性の激しさを伝えているので産駒のストロングリターンはマイラー型に出ている。

　気で走るところがあるので休み明けを苦にしない。東京芝1600mはシンボリクリスエス産駒が最も得意とする条件であり、ストロングリターン自身も安田記念(G1)でクビ差2着と健闘している。心身の成長により本格化したいまなら凡走はないだろう。