◎サダムパテックはサンデー×シアトルスルー×ミスプロという配合のアウトラインがリーチザクラウンに似ていて、だから東京や外回りの1800m前後がベストだと書いてきたが、こちらは「ボールドルーラーとプリンスキロ」の組み合わせクロスにもなるのがリーチとの違いで、軽い瞬発力では上だが少し非力で坂を苦にするようなところも見受けられる。

　鳴尾記念ではゴール前の急坂で脚色が少し鈍っていたし、勝ったとはいえプレイあたりと接戦だから弥生賞もベストパフォーマンスにはほど遠く、東京でもストライドが伸びてスパッと斬れるのは坂を駆け上がってからだ。

　菊花賞は距離が長く最後は止まっていたが、坂を下って直線に入るまでは痺れるような手応えだった。未勝利勝ちが京都内1600mで、このときは▲ダノンシャークを問題にしない楽勝。おそらくベストパフォーマンスを叩き出せるのは京都外1800mで、京都外1600mや東京1800mでもベストに近いパフォーマンスが計算できる…という馬だろう。鳴尾記念よりパフォーマンスは上がるという読みならば、ここは57キロでも◎が打てる。

　2007年以降の過去5年の京都金杯の1着馬には調教タイプの共通点があります。

2007年
マイネルスケルツィ/馬ナリ平均坂路
2008年
エイシンデピュティ/標準多め坂路
2009年
タマモサポート/標準多め坂路
2010年
ライブコンサート/一杯平均坂路
2011年
シルポート/連闘

　2007年から2010年までは見ていただいた通り、調教タイプが坂路。シルポートはファイナルSからの連闘となり、追い切り時計を出さなかったため、坂路ではありませんでしたが、普段は坂路で調教しています。

　もちろん年始から勝ち馬にこだわる◎を打ちたいので、調教タイプが「坂路」から選択しますが、それだけでは該当馬が多すぎます。そこで最終追い切りの「坂路4F時計」に注目。年末年始関わらず、最終追い切りとして行われた坂路での時計に共通点があります。

2007年
マイネルスケルツィ/51.3秒
2008年
エイシンデピュティ/52.8秒
2009年
タマモサポート/53.8秒
2010年
ライブコンサート/52.0秒

　マイネルスケルツィに関しては美浦坂路での時計ですが、栗東坂路との基準時計差は1秒くらいなので、栗東坂路に換算すると4F52.3秒くらい。つまり4F54.0秒以下の時計で追い切られていることが1着の調教条件となるわけです。

　これでフィルターすると残るのは3頭。その中から◎オースミスパークを選択したのはハナを切ることが可能だろうと思えるくらい、中間の追い切りが好調だということ。最終追い切りは53.9秒と調教条件のボーダーラインでしたが、12月30日の追い切りは4F50.5秒。これだけ速い時計を出しながら、ラスト1F12.7秒でまとめたのは時計の掛かる馬場状態だったことを考慮すると満点評価です。前走はトラック調教馬に適性の高い小倉芝2000m。長期休養明け以降、坂路調教馬に転身したので、惨敗は納得。この条件は願ってもない高適性のレースです。

　○ショウリュウムーンは調教タイプが坂路でないため、対抗評価にしましたが、昨年9着時とは違う調教内容での参戦となりました。年末に最終追いを行うのは同じですが、年明け4日にCWで1Fだけ時計を出したのが今回。これによって昨年以上に走ることは間違いありません。

　▲サダムパテックは最終追いの内容、中間の調教、ともに文句ありません。あとは57キロというハンデがどの程度響いてくるか。

　最終追いでラスト1Fが物足りなかった△シルポートは状態が昨年以上ということがなさそうなので評価を落としました。

　△マイネルラクリマ、△ブリッツェンは長距離輸送にも関わらず標準多めで仕上げてきた陣営の意気込み、そしてこの調教タイプは2着3着には十分入ってくるという過去傾向から評価しました。△アスカクリチャンと△ダノンシャークは最終追いがあまりに手加減したので、評価を下げていますが、調教タイプは京都芝1600mには文句ありません。

1.オセアニアボス
今回:乗込坂路
前回:標準坂路

2.ヤマカツハクリュウ
今回:一杯平均坂路
前回:標準多め坂路

3.マヤノライジン
今回:急仕上げ坂路
前回:標準坂路

4.マイネルラクリマ
今回:標準多めトラック
前回:標準多めトラック主体

5.アスカクリチャン
今回:標準多め坂路
前回:標準多め坂路

6.オースミスパーク
今回:標準坂路
前回:一杯平均坂路

7.ダノンシャーク
今回:標準多め坂路
前回:標準坂路

8.ブリッツェン
今回:標準多めトラック
前回:標準多め併用

9.ショウリュウムーン
今回:標準併用
前回:馬ナリ平均併用

10.サダムパテック
今回:一杯平均坂路
前回:一杯平均坂路

11.タマモナイスプレイ
今回:標準多め坂路
前回:標準坂路

12.ビッグウィーク
今回:標準併用
前回:一杯平均併用

13.ライブコンサート
今回:標準トラック
前回:標準トラック

14.ガンダーラ
今回:標準少め坂路主体
前回:標準坂路

15.シルポート
今回:標準坂路
前回:急仕上げ坂路

16.アスカトップレディ
今回:乗込坂路
前回:標準多め坂路

2番：抜群のデキ。枠も良いしチャンスある。
4番：やや太い。そのあたりだけ。
7番：デキは良い。
10番：マズマズのデキ。枠順は不利。

【2012年はマイル道】サダムパテックは、京都マイル・1分34秒3の圧勝を起点に、東スポ杯奪取。皐月2着、ダービーや菊花賞も、能力でひとケタ着順に踏みとどまってきたが、本質はマイルをベースとした2000mまでのミドルディスタントホース。鳴尾記念は、意識的に前に押し出し、結果3着と詰めを甘くしたものの、1600m通過は1分33秒4。「マイルのほうが切れる」と、岩田が進言したのも納得。当然、仕掛けや動かし方に工夫もしてくるだろうし、別定重賞で鍛え込まれた馬。57キロもドンと来いだ。ショウリュウムーンも、牡馬混合のポートアイランドS優勝、カシオペアSを3着。直線がフラットで、栗東からの輸送時間が比較的の短い京都なら、末脚フル回転。シルポートも、阪神C5着。天皇賞の超Hペースの逃げから、徐々に立ち直りつつある。アスカトップレディも、ユートピアSは持ったままの楽勝。マイル・京都替わりで、大駈け十分。ダノンシャークも、人気薄で54キロなら、アンカツも大胆に行ける。

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【伏兵注意】サダムパテックは重賞2勝の実力馬。鳴尾記念は勝ち馬に0秒1の3着なら悪くない。血統的にマイル適性も高そうだ。シルポートは昨年、57キロ背負って逃げ切り勝ち。今年は1キロ増だが、スンナリ行ければ簡単には止まらない。ショウリュウムーンは同舞台で重賞勝ち(京都牝馬S)の実績がある。アスカクリチャンの決め手は重賞でもヒケを取らない。ブリッツェン、ライブコンサート、ビッグウィークを押さえる。

　◎サダムパテックは「フジキセキ×エリシオ」という組み合わせ。母方にミスタープロスペクターが入るフジキセキ産駒は走っており、カネヒキリ、エイジアンウインズ、コイウタなど多くの活躍馬が出ている。

　ここに重厚なエリシオとホイストザフラッグが加わることで重賞向きの底力を獲得している。フジキセキ産駒の配合としては文句なしのA級。京都金杯はスピードと切れ味が問われる舞台なので、サンデーサイレンス、ミスタープロスペクターを持つ馬が好走する傾向があるが、本馬は両方を併せ持っている。

　長い直線向きでもあるので外回りコースは望むところ。57キロ以上の重ハンデ馬や鳴尾記念組が優勢、という近年の京都金杯好走パターンにも合致している。人気だが逆らえない。