キングカメハメハは種牡馬としてはオールラウンダーで様々なタイプを出すが、それだけに配合には正直で、◎は母ハッピーパスがシンコウラブリイの半妹で京都牝馬Sに勝ったマイラーだし、クロスがスペシャル≒ポッセ(サセックスSなどに勝った名マイラー)のニアリークロス5×3だから、俊敏で前向きな性格の長めマイラーに出たのは順当。

　名手横山典ですら手を焼くほどの機敏な反応・運動神経の良さは非凡で、東京マイルのスローならばどこから行っても一気に抜け出す脚があるだけに、馬とケンカさえしなければここはマイラーとしての資質の違いを見せつけるはず。

　先週以上に降雪の影響を受けていることが予想される東京芝。15日時点で除雪作業はほとんど進んでいませんでしたが、東京競馬場周辺の雪の状態はたっぷりと水分を含んでいました。あの状態で、芝に覆いかぶさっているとすれば、芝は相当悪い状態だと推測できます。

　また、先週東京競馬場まで輸送を行っている「栗東所属馬」に関しては、やはり割引が必要。ダノンシャークやプリムラブルガリスといった先週の時点で出馬投票していた馬が、特別登録の時点で回避していますから、先週投票した栗東所属馬に関しては、リスクを覚悟の上、印を打たなければいけません。同様に、2月6日の時点で東京競馬場へ輸送したサトノギャラントにも「2回輸送」のリスクがあるかも知れません。

　そんなことを考えていると、本命を打てる馬がいなくなりました。こんな時は先週の時点では印すら打つことができなかった、けど、1週延びたことで、状態が良化して…、という馬を重視して、◎ホエールキャプチャ。牝馬で57キロ。とても買える条件ではありませんが、2月5日の追い切りではラスト1F12.3秒要していたところが、13日は1F11.8秒。これで田中清隆厩舎の勝負調教に該当しました。

　ヴィクトリアM1着(12年)、ヴィクトリアM2着(13年)、府中牝馬S1着(13年)はすべて厩舎の勝負調教に該当しての好走。ラスト1Fが最速になるラップを踏むことができており、全体のラップの踏み方も府中牝馬S時とほぼ同じ。

　○以下の印も先週の馬券総合倶楽部で取り上げた時と全く違う点は、冒頭の状況であることを重視した上だということをご了承ください。

1.ラインブラッド
今回：一杯平均坂路
前回：標準坂路

2.サトノギャラント
今回：乗込坂路主体
前回：乗込坂路

3.セイクリッドセブン
今回：標準トラック主体
前回：標準トラック

4.サトノシュレン
今回：標準多め併用
前回：標準坂路

5.レイカーラ
今回：標準併用
前回：馬ナリ平均併用

6.コスモセンサー
今回：一杯平均坂路
前回：一杯平均坂路

7.ホエールキャプチャ
今回：乗込坂路
前回：乗込坂路

8.レッドスパーダ
今回：標準多め坂路
前回：乗込坂路

9.サクラゴスペル
今回：標準併用
前回：標準併用

10.ショウナンマイティ
今回：標準多め坂路
前回：標準併用

11.エキストラエンド
今回：標準多め坂路主体
前回：標準併用

12.クラレント
今回：標準坂路
前回：標準坂路

13.コディーノ
今回：乗込坂路主体
前回：標準多め坂路主体

14.エールブリーズ
今回：標準坂路
前回：馬ナリ平均坂路

15.ヴィルシーナ
今回：標準多め坂路主体
前回：標準多め併用

16.リルダヴァル
今回：標準多め坂路
前回：乗込坂路

【上位拮抗】サトノギャラントは前走豪快な末脚でOP初勝利。高い潜在能力を開花させた印象で強力メンバーでもVを期待。エキストラエンドは京都金杯を制して力量アップ証明。ショウナンマイティも実績上位で首位も狙える。コディーノも良化うかがえマイルで新味も。セイクリッドセブンも雰囲気良好で力走見込め、レッドスパーダやクラレントも上位が狙える。

【マイルなら機敏】マイル路線に戻れば、コディーノは闊達。持ち前の瞬発力を武器に再飛躍が待っている。ポテンシャルだけで、2-3歳時は1800mの札幌2歳S･東京スポーツ杯をレコード勝ち。朝日杯FSも折り合いを欠きながら、1分33秒4で2着に好走。2000mの弥生賞･皐月賞も連続3着と踏ん張ってはきた。7着とはいえ、毎日王冠の上がり･32秒7は最速。

秋の天皇賞も一旦2着はあるかという見せ場は作ったものの、残り1Fでパタリ。「止まったことで逆に、マイル路線が見えた」と藤沢師。このメンバーなら、さすがに1分を上回るようなスローはない。多少難しいところを見せても、マイルのミドルラップなら前に壁を作ることもできるし、脚もたまる。東京新聞杯で、安田記念奪取のシュミレーションを描いておきたい。先週除外の造り直しとなるが、14日にはWで5F追い。再輸送の影響云々(体重?)は、これはもう、当日になってみないと何ともいえないが、調教メニューは通常に近い形で消化できた。

エキストラエンドは、京都金杯を1分32秒5で完勝。開催時期は異なるものの、マイルCSの時計レベルに急接近。思えば兄はマイラーのローエングリン。マイル転向は正解。

クラレントも、時にビックリするような馬体の増減がある馬だが、昨年は阪神C5着の後に東京新聞杯勝ち。同じローテなら安心か。

ショウナンマイティは、安田記念をクビ差の2着。外一気の豪脚に琴線を揺さぶられた人も多かった。前回の毎日王冠は、大幅な馬体減で腹が巻き上がり、関西馬の中では、輸送の影響をもっとも受けやすいタイプ。先週の印からひとつ印を下げたが、安田の1分31秒5は、決して軽視できない。

サトノギャラントは東京マイルを4戦4勝。上がり32秒5の爆発力を誇るスティンガーの仔だ。

　東京新聞杯は前走重賞組、見た目格上のタイプが意外に奮わず、準オープンを勝ちたての馬やオープン特別を好走してきた馬が穴になりやすいレース。「いや、強いのはこっちの馬だろー」とつい常識的に考えてしまうところをこらえて穴馬券を買うべきレースだ。

　今回唯一の前走準オープン勝ちが▲エールブリーズ、オープン特別を勝ってきたのが◎レイカーラと○サトノギャラント。重賞で好走歴があるということを考えるとサトノギャラントが一番無難なのだが、穴狙いということを考えると◎か▲になる。

　▲から入ることも考えたが、1400m主体に使われてきた点がやはり不安。馬そのものマイルもこなせるのだが、折り合いに比べて距離延長そのものの持つリスクがある。◎はデビュー以来掲示板を外したことのない安定味が魅力。全くの人気薄なので、馬連・ワイドの両方で流していける。

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　◎サトノギャラントは「シンボリクリスエス×サンデーサイレンス」という組み合わせで、母スティンガーは阪神3歳牝馬Sなど5つの重賞を制した名牝。半弟キングズオブザサンは京成杯2着という成績がある。シンボリクリスエス産駒は東京芝1600mで連対率28％と高い適性を誇り、安田記念をレコード勝ちしたストロングリターン、NHKマイルC2着のアルフレードがG1で好走している。サトノギャラント自身、東京芝1600mでは4戦全勝。鋭い決め手の持ち主である一方、馬場が悪かった3歳春のスプリングSと皐月賞でも4、6着と上位に食い込んでいる。当時の実力を鑑みれば大好走というべきで、渋った馬場は苦にしない。当レースは過去5年間の勝ち馬のうち4頭は前走オープン特別を使った馬だった。重賞を使ってきた組と比較して格下ということはなく、最も得意とする東京芝1600mなら勝ち負けに持ち込める。

　大雪の影響で中止となり、代替競馬の月曜開催に順延されることになりました。関西馬はすでに東京競馬場への輸送を済ませていたので、短期間に再輸送を強いられることになります。馬への負担を考慮して、1番人気になっていたであろうダノンシャークは代替レースへの特別登録を見送りました。関東馬についても日程変更に伴うも再調整の影響は小さくありません。仕切り直しの一戦は波乱含みになりそうです。

　ヴィルシーナは昨年のヴィクトリアマイルの勝ち馬ですし、3歳時にはクイーンCも勝っています。これまでの重賞2勝がいずれも東京芝1600mというコース巧者です。去年の安田記念では8着に敗れましたが、勝ったロードカナロアとは0.5秒差。差し馬が上位を占める展開のなか、先行馬で唯一大崩れせず踏ん張ったのがこの馬でした。東京新聞杯は開催前半に行われるため、東京のマイル重賞としては珍しく「先行有利」の傾向がはっきりしています。今回はこの馬にピッタリの条件で、年明け早々に入厩して乗り込みも充分。斤量も56キロもこの馬自身は背負いなれた斤量です。

　エキストラエンドは前走の京都金杯で初重賞制覇。馬体重10キロ増という余裕残しの馬体での完勝でしたから、メンバーが強化される今走も勢いは無視できません。クラレントは東京で重賞を3勝していてこのコースでは安定しています。昨年に続く連覇の可能性は充分。

　ショウナンマイティは中距離G1でたびたび好勝負している実力馬ですが、マイルはやや距離不足の懸念があります。昨年の安田記念では渾身の仕上げで2着しましたが、今回は4ヶ月ぶりの一戦。レース展開とともに仕上がり具合が気になるところです。コディーノは3歳時は未勝利に終わりましたが、東京スポーツ杯でレコード勝ちしたようにマイラーとしての素質は高く、G3なら巻き返しは必至です。サトノギャラントはこれまでほとんど大崩れしたことがない馬で、東京の1600-1800では5戦5勝のパーフェクト。重賞勝ちがなくここでは格下になりますが、不気味な存在です。レッドスパーダは東京コースは走りますし、8歳ですがまだ衰えは見られません。マイルのG3ならチャンスは小さくないでしょう。

【ヒモ紛れ】昨年の覇者である12クラレントがこの程度の人気であれば、文句なしに「買い」。再輸送の影響もそれほどなさそうで、引き続き本命に推す。相手は、デキに不安が残る10ショウナンマイティや過剰人気の11エキストラエンドを消して、より穴に寄せる方向でチョイス。先行力のあるタイプを重視したい。

先週の段階、雪&雨の重馬場予想での本命は先行利のあるクラレントだったが、馬場状態が回復してくるとなると、やはりGI級の切れ味を持つ馬たちが黙ってはいないだろう。

◎は京都記念の出走プランもあったようだが、中距離路線からマイル路線へ変更してきたショウナンマイティ。昨年の安田記念で見せた32秒8の瞬発力は間違いなく現役屈指。直線での不利がなければロードカナロアを交わしていたかも、しれない実力はGIIIなら抜けている。