昨年の安田記念の覇者ロードカナロアが引退し、再び王者不在の空き巣状態となったマイル路線。しかし、今回はG2重賞ということもあり、マイル重賞で上位の馬や、勢いのある馬がそれなりに揃いました。

　◎には今年の京都金杯を快勝したエキストラエンド。もともとローエングリンの弟としてデビュー当初から期待の大きかった馬ですが、兄同様にマイルの舞台でその能力を発揮するようになりました。前走の東京新聞杯は京都金杯で自己ベストのPP指数をマークした直後の一戦で疲労が懸念され、大敗の危険性もあったのですが、京都金杯から比較するとPP指数は下降しながらも2着を死守しました。これは本当に力をつけているようです。

　今回は前々走の京都金杯の舞台に戻ります。今回のレースは明確な逃げ馬不在でスローからの瞬発力比べが濃厚ですが、エキストラエンドはもともと自在性豊かな脚質。京都金杯と同じ舞台ならば能力発揮に支障はないでしょう。素直にPP指数、能力値1位を信頼します。

　○は昨秋の白秋Sでは休養明けの一戦ながらも2着以下の馬をぶっちぎったラトルスネーク。白秋Sは準オープンですが、重賞級の驚きの走りを見せました。ところがその後は白秋Sでの走りが疲れを残してしまったのか、出遅れ癖がひどくなる一方で結果を残せなくなりました。しかし、前走は出遅れながらも早めにポジションを押し上げて2着と好内容のレースを見せました。どうやらそろそろ疲れが抜けてきたようです。抜群の末脚が武器の馬で決め手比べは望むところ。折り合えば圧勝まである馬です。

　▲は3走前のリゲルSは2着、前々走のニューイヤーSは1着とマイル戦で好成績を挙げてきたレッドアリオン。前走は出遅れたために全く力を出せず惨敗してしまいました。今回は逃げ、先行馬が手薄なメンバー構成。実力は申し分ない馬だけに自在性をフルに生かして先行策からの粘り込みを警戒します。

【パドック速報対象レース】
当レースはパドック速報対象レースです。レース発走20分前に最終結論(印・買い目・見解)を公開します。パドックの気配で前予想と最終結論が変わる可能性がありますので、予めご了承ください。

４番：良くなっている。
６番：トモのボリューム増した。
13番：素晴らしい馬体。馬場も合いそう。

【自信満々】フィエロの上昇振りはどうだ。三走前の中京戦の走破タイムは1分36秒8と平凡。しかし、時計1秒はかかる、踏み荒らされた重い芝で、上がり33秒2は強烈の一語。マイル戦線なら、いずれはOP。昇級の新春Sも壁はないとみていたが、1分32秒8は、前日の京都金杯と0秒3差。しかも、上がり3Fは11秒9-11秒5-11秒3の加速ラップ。六甲Sも、余裕のある造りで楽々と外一気。GIIのマイラーズCでも、主役の座は揺るがない。

ポテンシャルなら、ワールドエース。白富士Sで、久々に馬を見させてもらったが、なるほどダービー1番人気。まさに器が違うと、パドックで陶然。一年以上の長期休養明けを慮り、慎重に構えたぶん4着に敗れたが、叩き前進は当然。マイラー転身も方向性とすれば正解だろう。しかし、やる気満々の、絶好調のフィエロには武豊が跨る。ワールドエースの感触も前回で知っているだけに、是が非でも勝ちに来る?。

いち早くマイル路線に転身した、京都金杯の覇者エキストランドあたりとは、微妙にモチベーションも違うかもしれない。安田記念のために、賞金を加算しておきたいオースミナイン。良馬場の瞬発力勝負にかわればレッドアリオン。アドマイヤドバイも、ようやく本来の資質の在り処を時計として具現しつつある。

　例年のマイラーズCはダービー卿CT組が思ったより走れず、中山記念など前走G1・G2組が活躍する傾向にある。距離もマイルかそれ以下を得意とする馬よりは、中距離も視野に入る馬のほうがいい。

　今年はマイルのオープン特別・G3を主戦場とする馬が圧倒的な比率を占めているのでその中からも買う馬を選ばないわけにはいかないが、それでも軸は過去にG1・G2でも好走歴のある馬、より長い距離もこなせる馬を選びたいところだ。

　そこで◎はワールドエース。白富士Sは5着だったが、着差から見ても能力が全く無くなってしまったという印象ではない。4月23日に尻上がり式のラップで坂路51.5秒を出しているあたりからも、長期休養明けを叩かれて臨戦態勢が整った感はある。前売りが意外と売れていないので、思い切ってアタマ付けでいってみる。

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【波乱含み】目下3連勝中と勢い乗るフィエロを中心視。前走は重馬場だったが、メンバー最速の末脚で鮮やかに突き抜けた。重賞初挑戦になるが、瞬発力はここでも通用する。エキストラエンドは前走の東京新聞杯で長くいい脚を使って2着を確保。少し間隔は開いたが仕上がり上々で、2走前に京都金杯を勝った舞台だ。ワールドエースは一昨年の皐月賞2着馬で、ダービーでも1番人気(4着)に支持された素質馬。屈腱炎明けの前走は5着だったが、叩いて気配が上向いており、一変があっていい。オースミナインはデビューから掲示板を外したことがなく、初重賞の京都金杯もエキストラエンドの2着。今回も大崩れはない。カオスモス、ラトルスネーク、レッドアリオンも圏内。

　京都芝1600m外は、距離実績を重視した予想を行いたい。京都施行の近2年マイラーズCの勝ち馬を確認すると、一昨年のシルポートは京都金杯と前年の同レース勝ち馬、昨年のグランプリボスは朝日杯FSとNHKマイルC勝ち馬、いずれもマイル重賞を制していた。

　本命馬の見解:◎カオスモスは、3歳時に直結コース阪神芝1600mのアーリントンC(G3)を連対。長期休養をはさんだが、レースを使うごとに良化して、前走で直結コース中山芝1600mのダービー卿CT(G3)を9人気2着に激走した。マイル重賞の激走実績を持ち、先行有利な流れも望めそうなため、勝ち負けになる。

　穴馬の見解:△エールブリーズは、昨秋に直結コース東京芝1400mの奥多摩S(1600万下)を制してオープン入り。今年は休み明けの東京新聞杯を惨敗したが、2走目の前走で直結コースのダービー卿CT(G3)を人気薄ながら4着に善戦した。前走のマイル重賞で着順を上げたことで復調気配、叩き3走目の変わり身を警戒する。

　今年で45回目を迎える伝統のマイル重賞で、安田記念に向けた重要なステップレースでもあります。一昨年の番組改正により、春の阪神最終週から京都の開幕週に施行時期が変わったことで、よりスピードを求められるレースになりました。マイル戦は本質的に差し馬が有利ですが、このレースに関しては逃げ馬も重く扱う必要があります。

　エキストラエンドは初めてのマイル戦だった京都金杯を快勝。続く東京新聞杯は2着でしたが、かなりの好メンバーが揃っていたので価値があります。マイル路線では実質的に底を見せていないといっても過言ではないでしょう。兄は名マイラーのローエングリン。かつて兄も勝ったマイラーズカップをG1への足がかりにしたいところです。

　フィエロは5歳馬ですが、体質が弱くて大事に使われてきてまだ8戦しか走っていません。いままでほとんどのレースで1番人気に支持されている馬で、まさに遅れてきた素質馬と言えるでしょう。今回が重賞初挑戦になりますが、前走の六甲Sは重賞並みの好メンバーでしたから、ここでも格下感はまったくありません。

　カオスモスは長期休養明けだったニューイヤーSを除けば、ほとんど大崩れをしたことがありません。開幕週の重賞ですから前で競馬できるのは大きな武器です。間隔が詰まっているので出否は未定ですが、展開面の鍵を握る存在でもあります。

　オースミナインは京都金杯ではエキストラエンドの2着に敗れましたが、この馬はまだ4歳なので成長の余地が大きく、勝負付けはまだついていません。アクションスターは重賞で壁にぶつかっている現状ですが、鋭い決め手の持ち主で京都は得意にしていて、マイルへの距離短縮で一変する可能性があります。レッドアリオンはダービー卿チャレンジトロフィーを大敗しましたが、中山のパワーを要する馬場が不向きだったようで、京都に替われば巻き返しは充分に期待できます。

　ワールドエースは長期休養明けの白富士Sが5着。復調に手間取っているのが現状ですが、皐月賞2着、ダービー4着の実績はここではずば抜けています。京都外回りはきさらぎ賞を快勝した舞台でもあり、相性のいいコースで復活の狼煙を上げたいところでしょう。

※月曜段階の予想ですので回避馬が含まれるケースがございます。あらかじめご了承ください。

【順当】フィエロは上昇一途。枠順もよく決め手を発揮する。エキストラエンドはいい脚を持続できるタイプ。オースミナインは体調良好。内枠もプラス材料だ。

フィエロはもともと素質の高かった馬だが、ここにきてようやく本格化。六甲Sは道悪でも完勝だったが、切れ味が身上のタイプ。開幕週の馬場は望むところ。攻めの動きも一段と良くなってきただけに初重賞挑戦でも期待できる。

相手は、長期休養明けをひと叩きしたワールドエース、単騎逃げが見込めるカオスモスが有力だが、オースミナイン、アドマイヤドバイ、レッドアリオン、エキストラエンドにも注意したい。

古馬が多くなるグレードの高いマイル戦では、最高値はさほど頼りにはならない。それよりも5走平均の値と前走・前々走の比較のほうが重要になる。ここでは圧倒的人気の○フィエロは前走の値はいいが平均値となると若干◎エキストラエンドのほうがいい。以下、▲レッドアリオンも注目の1頭。穴は△ラトルスネークに期待。