イリュミナンスはフラガラッハの3/4妹で、母スキッフルはジャングルポケットと同じトニービン×ヌレイエフでハイペリオン4･6･6×5･6･6だから、持続力と粘着力と成長力を強く伝える繁殖牝馬だ。

　2歳の暮れに新馬勝ちしてクラシックロードに乗りかけたが、そこからは上級条件で入着を重ね、しかし前走は休み明けで+18キロも決して太くなく、肉付きがよくなって頑強さを増したように見えた。

　5歳になってようやく母方の濃厚なハイペリオンの血が完全に開花してきたようで、血統どおりの粘着力や持続力を期待できる体質に完成してきたようで、ならば阪神内回りの持続戦はむしろ歓迎、ハンデをもらってこの鞍上なら◎で狙ってみたい。

　2005年以前のマーメイドSは開催の最終週に行われていたため、馬場が荒れた状態での施行でした。梅雨時期ということもあり、単に荒れた馬場というだけではない状態に、直線の急坂というコース形状が牝馬限定重賞にも関わらず「パワー」が必要なレースでした。

　施行時期が移動し、坂路調教のパワーだけでは通用しないというのが近年の傾向。ある程度の立ち回りの巧さも重要になるため、トラック調教の要素が必要。それが『併用系統の調教タイプ』の好走に表れています。

2008年
1着トーホウシャイン　　12人気／乗込併用
2着ピースオブラヴ　　　10人気／標準併用

2010年
2着セラフィックロンプ　14人気／標準トラック主体

2011年
3着アースシンボル　　　13人気／乗込併用

2012年
3着メルヴェイユドール　10人気／標準多め併用

2013年
2着アグネスワルツ　　　10人気／標準坂路主体

2014年
2着コスモバルバラ　　　13人気／標準併用

　上記は2008年以降、二桁人気で馬券圏内に入った馬、すべてを掲載していますが、その調教タイプはすべて併用系統の調教タイプでした。人気薄が好走するためには併用調教の効果は絶大だということです。今年の該当馬は4頭、すべて高い評価をしていますし、普段は買い目に入れることのない、ボックス買いを選択したのも併用調教を重視したから。

　その中でも最上位評価は◎カノン。前走烏丸Sでも追い切りの動きが目立っていて、昨年のマーメイドSに出走した頃とは別馬のよう。実際、昨年マーメイドSの馬体重が470キロ。前走時が486キロ。16キロ増えていますが、これは太いわけではなく、しっかり飼葉を食べて、すべてが実になっている証拠。昨年は追い切り本数が少なく、追い切り場所も負荷の軽い栗Bでしたが、今ではCWと坂路を併用しており、本当に逞しくなりました。ちなみに昨年のマーメイドSは軽目トラックでしたから、調教適性はアップしています。

　○レッドセシリアは阪神JF3着の実績の持ち主。G1好走というよりも、阪神競馬場を経験しているということは評価したいところ。休み明けの前走が軽目併用で凡走していますが、今回の乗込併用は2走前2着と同じなので、この本数強化はプラス。▲バウンスシャッセは前走凡走を舞台設定だとすれば、見直しは必要。関西圏遠征で結果を出せていない点は気になりますが、調教タイプを考えると無視できません。☆グレイスフラワーは馬ナリ平均系統での好走が多いタイプなので、前走の標準多め坂路主体は仕上がり途上だったのでしょう。

　△イリュミナンスは5走前1着時とほぼ同じ最終追い切り内容。△シャトーブランシュは併用系統ではないものの、2013年1着マルセリーナと同じ標準多めトラックで評価。△リラヴァティの最終追い切り併せ遅れは、近5走以内で3回の好走時と同じ。△マリアライトは1週前追い切りをきっちりやっているので評価しましたが、最終追い切りの軽さがどうか。△パワースポットの追い切り内容はここ一連と変わりありませんが、最終追い切り場所が南Wがどうか。△アドマイヤギャランは最終追い切りの坂路4F時計が速ければ、とりあえず押さえておいた方がよいタイプ。あとは大久保龍志厩舎の勝負調教に該当した△ウインプリメーラまで。

1.イリュミナンス
今回：標準坂路
前回：標準少め坂路

2.シャトーブランシュ
今回：標準多めトラック
前回：急仕上げトラック

3.バウンスシャッセ
今回：乗込併用
前回：馬ナリ平均併用

4.ベリーフィールズ
今回：標準少め坂路
前回：標準少め坂路

5.フィロパトール
今回：軽目トラック
前回：標準少めトラック

6.レッドセシリア
今回：乗込併用
前回：軽目併用

7.アースライズ
今回：馬ナリ平均坂路
前回：馬ナリ平均坂路

8.リラヴァティ
今回：標準坂路
前回：標準坂路

9.グレイスフラワー
今回：乗込併用
前回：標準多め坂路主体

10.フェリーチェレガロ
今回：馬ナリ平均トラック
前回：標準多め併用

11.メイショウスザンナ
今回：馬ナリ平均坂路
前回：馬ナリ平均坂路

12.マリアライト
今回：標準トラック
前回：標準少めトラック

13.パワースポット
今回：馬ナリ平均トラック
前回：馬ナリ平均併用

14.カノン
今回：馬ナリ平均併用
前回：馬ナリ平均併用

15.アドマイヤギャラン
今回：標準坂路
前回：標準坂路

16.ウインプリメーラ
今回：標準多め坂路
前回：標準多め坂路

【パドック速報対象レース】
当レースはパドック速報対象レースです。レース発走20分前に最終結論(印・買い目・見解)を公開します。パドックの気配で前予想と最終結論が変わる可能性がありますので、予めご了承ください。

1番：好馬体。レースもしやすそう。
7番：ビッシリ仕上がる。
16番：張り良い馬体でデキ良い。

【願いが届いた】マリアライトが本格化を迎えた。デビュー時の体重は420キロ。一時は412キロまで馬体が減り、立て直しに四苦八苦。4歳春の潮来特別で430キロに増量、ようやく3勝目をマークしたが、次走の緑風Sも426キロを維持。直線前をカットされ態勢を立て直すロスもものかわ。並み居る牡馬をゴール前串刺し。前走後長め6Fからコース追いもできた。今なら関西への輸送も怖くない。元々は1800mがベースの中距離馬。脆弱だったころは、馬込や展開の助けも必要としたが、2000mでも今なら自力で競馬を作れる。小柄な割にパワー型、梅雨時の力を要する芝も、他馬が気にするぶん有利となる。

3歳馬アースライズとの叩き合いが第一本線。オークスは1-3着とは、少し力差のある0秒5差とはいえ、決着タイムは歴代2位。2分25秒5という時計は、胸を張っていい。GIの激闘後も、坂路2本ビッシリ追えた。49キロは裸同然。このハンデだからこその中谷起用。関西移転の意義や意味を、中谷自身、GIIIのマーメイドSで結果として答えを出したい。

リラヴァティは、ローズSが1分46秒4で3着、福島牝馬Sが1分46秒0で2着。牝馬限定・53キロなら、GIIIでも続けて勝負になる。

バウンスシャッセは、コース形態の似た1800mの中山牝馬Sを完勝。連対実績のない56キロは手探りだが、ヴィクトリアマイル惨敗は度外視していい。他力本願は否めないが、ハンデ戦の追い比べならパワースポットも大駈け十分。ウインプリメーラのしぶとさも連下圏。

　前売りを見てびっくり。◎アドマイヤギャランのオッズが思ったよりも全然安い。ただ人気順としては7-8番人気だし、これからもう少しつけてくると見て初志貫徹する。

　マーメイドSの特徴は荒れやすいことのほかに、一般の古牝馬重賞ではあまり来ない6歳馬がよく来ること、さらに53キロ以下の軽ハンデ馬がよく好走することがある。ただ、若い馬は近走不振からの軽ハンデだと斤量差を生かせないことが多く、一方で5,6歳馬は近走の着順にこだわらず買える。

　ただ、牝馬限定戦を中心に使われていた馬がここで変わり身を見せることは難しい。牡馬相手に戦っていたぶん成績が悪く見え、それゆえ人気にもならないというのが理想だ。

　アドマイヤギャランはオープン昇級後の3走がともに牡馬相手のレース。うち2走では小さい着差に収まっている。牝馬どうし+53キロならばチャンスだ。

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【混戦】アースライズが本命。前走のオークスは長くいい脚を使って4着と健闘した。古馬相手でもハンデ49kgならチャンス十分。ウインプリメーラは前走好位からしっかり伸びて快勝。重賞でも好走実績があり、久々の2000mさえこなせれば好勝負になる。リラヴァティは格上挑戦の福島牝馬Sで2着。先行してしぶとく、阪神コースも良績がある。重賞2勝馬バウンスシャッセの前走はGIでマイルも短かったか。トップハンデになるが、距離延長で変わり身に注意したい。シャトーブランシュ、パワースポット、マリアライトを押さえる。

　◎リラヴァティは｢ゼンノロブロイ×シングスピール｣という組み合わせで、全弟にアダムスブリッジ(若駒S)、4分の3兄にアダムスピーク(ラジオNIKKEI杯2歳S)がいる良血馬。前者が勝ち上がったデビュー戦と後者のラジオNIKKEI杯2歳S(G3)は、マーメイドSと同じ阪神芝2000mだった。母の父シングスピールは持続力がセールスポイントなので、小回りコースや内回りコースを得意としている。小回りの鬼ローエングリンは同産駒だった。06年に新装となった阪神競馬場の芝2000mでは、アドマイヤタイシが鳴尾記念(G3)2着を含めて3戦3連対とほぼパーフェクトな成績を残している。
　
　本馬も当コースで行われた2走前の四国新聞杯(1000万下)を鮮やかに逃げ切った。兄弟と同じくコース適性は高い。前走の福島牝馬S(G3)はクビ差2着と健闘、小回り適性の高さをあらためて証明した。今回は前走に引き続き53kgで出られるので再度好勝負に持ち込める。

※月曜段階の予想ですので回避馬が含まれるケースがございます。あらかじめご了承ください。

　牝馬重賞はほとんどが1600から1800で行われていて、2000m以上の距離で行われる古馬牝馬の重賞は、エリザベス女王杯、愛知杯とこのマーメイドSだけしかありません。

　持続力が問われる阪神内回りコース使用で、さらにはハンデ戦ということもあって、他の牝馬重賞での序列が必ずしも当てになりません。過去5年を見ても、必ず二桁人気の馬が馬券圏内に入っているように、一筋縄では収まらない非常に難解なレースです。

1.条件戦からの上がり馬＞＞重賞実績馬

　最近5年間で馬券圏内に入った15頭のうち、前走で条件戦を使われていた馬が6頭。オープン特別が4頭で、重賞からの臨戦が5頭という結果になっています。条件戦の内訳は準オープンが3頭、1000万下が3頭ですから、格の上下、実績の有無はほとんど関係ないことがわかります。

2.ここでもディープインパクト

　ディープインパクト産駒が出走するようになって3年で3頭が出走して2勝を挙げています(残る1頭も4着)。昨年は出走自体がありませんでしたから、出走した年は必ず勝っていることになります。牝馬重賞としては、桜花賞に匹敵するような産駒御用達レースといえるかもしれません。

3.軽量馬が激走する

　ハンデの軽い方から買っても配当的に追いつくという、最近のハンデ戦としては珍しいレースです。とくに好走が目立つのが50kgで、最近5年間で9頭走って3頭が馬券圏内に入っています。56kgで勝ち切ったマルセリーナという例外もいますが、背負わされる馬は基本的に割り引きたいところです。

　イサベルは前走で1000万下を勝ったばかりのディープインパクト産駒ですが、モノが違うと言わんばかりの圧倒的な勝ちっぷりでした。有力牝馬を次々と輩出する角居厩舎の管理馬で、ハンデ戦ならば重賞でも壁は感じられません。

　アースライズはオークス4着。3歳馬の挑戦は異例ですが、斤量面での恩恵がありますし、中間の調教を見てもオークス好走の反動は感じられません。マリアライトは牡馬相手に連勝中。長めの距離で素質が開花してきたディープインパクト産駒で、スタミナ勝負には自信があります。初の関西圏への輸送をクリアーできれば。

　リラヴァティは福島牝馬Sで2着。自分のペースで運ぶと粘り腰を発揮します。阪神コースを得意としていて、距離延長も歓迎でしょう。バウンスシャッセは昨年のオークス3着ですし、重賞2勝の実績はここでは最上位。ただ輸送競馬が良くない傾向があるのと、ハンデを背負わされるのは割引材料になります。

　パワースポットは追い込み一手ですが近走は安定感が増してきた印象です。坂コースも得意で、ハンデ戦ならば上位食い込みの期待。ウインプリメーラはこのレースと相性のいいパールSの勝ち馬。もともとチューリップ賞で2着した実績があり、重賞でも位負けはありません。立ち回りの上手さとしぶとさを活かしたいところです。

【波乱含み】荒れるハンデ重賞だが、今年は総じて軽斤量。54キロならば、16ウインプリメーラを割り引く必要はとくになさそうだ。先行指向の弱いメンバー構成に恵まれ、先行内容の良さを生かせば、高確率で上位に食い込めるはず。相手は01イリュミナンス、02シャトーブランシュの1枠2頭を上位に評価し、チョイ荒れを狙いたい。

【小波乱】マリアライトは切れ味抜群。勢いもある。優れた先行力を持つリラヴァティ。パワースポットは追い比べで浮上する。

　牝馬限定のハンデ戦で混戦ムード。格下でもイリュミナンスを狙ってみたい。2000mは経験が少なく、結果も出ていないので確かに微妙ではあるが、52キロで最内枠という点が魅力。能力的にもそれほど差があるとは思えないだけにロスなく立ち回れれば馬券圏内に食い込める可能性は十分。

　アースライズは、オークス4着。ここにきてグングン力をつけているし、49キロも有利。

　マリアライトは、直線で立て直すロスがあり、前走が着差以上の強さ。本格化ムード。

　あとは、シャトーブランシュ、バウンスシャッセ、リラヴァティ、ウインプリメーラも押さえておきたい。

太めが解消されて復調ムードの1イリュミナンスを狙い撃つ!阪神は得意で多少、力が要る馬場はピッタリ。52キロの軽量を生かしてうまく好位でさばければチャンスは十分。次位は先行力ある8リラヴァティ。重賞の好走実績から差はない。▲はオークス4着馬7アースライズ。49キロの軽量で決め脚が引き出せる。