【君のためなら
シュネル】
シュネルマイスターがマイルの頂に立つ。3歳クラシックは
弥生賞2着でピリオドを打ったが、マイル路線に転じ
NHKマイルCを歴代2位の1分31秒6でG前強急襲。古馬相手のGI・
安田記念は、若干疲れが残り腰が甘くスタートが決まらず、0秒1差の3着に競り負けたが、時計は1分31秒8。前回の記録の精度の高さは本物だった。
秋の
毎日王冠も、まだ随所に幼さが散見。慎重に直線勝負に徹したが、33秒0の末脚を披露し、1分44秒8は過去十年では第三位という好内容だった。
毎日王冠激走の反動が出るのか、それとも上昇に向かうのか。馬任せではあったが、一週前の追い切りは大外を鋭く1F・11秒2、ゴールのハロン棒を過ぎてさらに加速。まさにGI馬、気迫あふれる伸び脚を披露した。関西の輸送を考え、直前は上り重点にセーブしたが、動きはパワフルかつ滑らか。秋緒戦、春より大幅な上昇カーブを描いている。
母セリエンホルデは独
オークス馬、母系は
サラキアや
サリオスとも近しい。つい先日の
凱旋門賞は、不良馬場を味方にドイツ産馬が力でねじ伏せたが、本馬も新馬勝ちは洋芝の札幌。中山マイルの
ひいらぎ賞は、3-4角で馬群をすり抜け一気にワープ。腰の状態や手前の関係で左回りは慎重さが要求されるが、楽に二番手に構えた
弥生賞の始動など見ると、右回り巧者という可能性もある。
超えるべき壁は
グランアレグリア。マイル戦線においては、あの
アーモンドアイも軽く一蹴。
ヴィクトリアマイルの1分31秒0、上り32秒6という記録は、世代や牡牝を超えマイル戦線の最高ランクの戦いだった。続く
安田記念はノドを傷めポジショニングに苦戦。天皇賞もマイルとは違う流れや距離の壁に泣いたが、鋼のような筋肉と精神性を身に着け表現するならまさに“鉄の女”。GI奪取でラストラン、エンディングを飾る可能性も十分ある。
割って入れば
サリオス。紐解けば
朝日杯FSはレコ勝ち、
皐月賞・ダービーは
コントレイルを前に2着に甘んじたが、古馬対決緒戦の
毎日王冠は力で圧倒。腰に持病を抱え道悪にも苦しみ近三走は思うような走りと結果が出せずにいたが、馬具やケアのかいあって一週前の南Wでは1F・11秒0という、エネルギー溢れる猛ラップをマーク。猛々しく強い
サリオスが戻ってきた。
グレナディアガーズは、前年の
サリオスの
朝日杯FSのレコードを0秒7更新。体調や戦法などまだ模索中ではあるが、気性も落ちつき流れるような伸びを追い切りでも披露できるようになった。マークする立場に立った時の池添Jは怖い。
インディチャンプは一昨年の覇者、去年は2着。どこか絞り切れない、使える脚の短い
アンコ型になってしまったが、大崩れはまず考えにくい。連穴は
ダーリントンホール。痛いところがなくなり、富士Sはマイル路線の活躍を予感させる伸び脚だった。