【決心】
京都大賞典の外強襲を目にしたときから、
ジャパンCは
ヴェラアズールに本命を打つと決心していた。祖母は
アドマイヤサンデー、
クロフネ産駒の母は1700?1800ダートで2勝。母も530キロ前後の巨漢馬だったが、息子もクラブ募集時の1歳時から500キロ近い馬っぷりを誇った。ただ母もそうだったが、前腕部を頼りに走り後肢が硬い。芝では瞬発力不足、
パワーをもとに3?4歳時はダート路線を歩ませた。
転機となったのは本年3月。臀部に厚みが増し後肢の送り込みが深くなってきたのを契機に、「お試し」的に芝2600mを走らせたが、最速の上りで鮮やかな中位差しが決まった。3着に敗れたものの、中山・東京でも常に最速の上りを繰り出し、
ジューンSで3勝クラスを快勝。GII・
京都大賞典は引っ掛かり癖を考慮、タメるだけタメて、どれだけ終い切れるか。松山Jの腹をくくった後方待機の大胆さも功を奏したが、上り4F・11秒9-11秒3-10秒9-11秒7(3Fは33秒9)というレースラップを大外一気のゴボウ抜き。ゴール板が近づくにつれ加速力を増し、自身の上りは33秒2。稍重条件下、ラスト1Fは11秒を切っていたか。
次元の違う末脚に、一旦抜け出しセーフティーリードかに見えた
目黒記念馬
ボッケリーニも目を白黒。この一戦で
ジャパンC好勝負を確信。中間の馬造りと仕上げは松山Jが先週の追い切りで確認、木曜日発表の体重は522キロ(+4キロ)。状態のよさやムキになる癖など、ムーアJへ申し渡しもしっかりできている。偶数6番の絶好枠を引いた。
対抗は
ダノンベルーガ。
皐月賞は右回りと内枠、そして馬場に苦しんだ。ダービーは一か八かの攻めの姿勢で仕上げた。しかし、いざふたを開けると腰は硬く尖り、身体の
バランスが崩れ、弱点である後肢の踏み込みの互い違いが大きくなった。道中激しいプレシャーも受け踏ん張りが効かず、モタれるようにラチ沿いに切れ込むしか道がなかったが、あの造りでも歯を食いしばり4着に盛り返した点は評価したい。
ひと夏を越え迎えた天皇賞は、春の仕上げ過程を考慮、左後肢の送りの違いは小さくなり、背筋を伸ばして歩けている。直線はダービーと同じようにラチ沿いに進めたが、上りは
イクイノックスに次ぐ32秒8、最後までしっかりと加速している。一週前は目いっぱいに追わなくても息が整い、直前はもう軽め。木曜日発表の体重を見ると490キロ台で出てくるかもしれないが、ダービーの時とはきっと身体のラインが違う。人気は割れ気味、過度のマークも受けない。2400mは気持ち長いが、伸びやかに走ればチャンス十分。
シャフリヤールの変わり身も当然怖い。天皇賞は調教など見ると仕上がったように見えた。しかしパドックでは前肢の出が窮屈。あれ、こんな歩様だったっけ?
パンサラッサが大逃げを打ち、カメラは二番手以降の動きをうまくとらえられなかったが、再生ビデオを見ると2コーナーを抜ける際、引っ掛かってC.デムーロJがドタバタ。完調一歩手前の造りとその前半のロスが、伸びひと息の5着に繋がった。
ただ身体造り、コース取りなどメンテナンス箇所はわかった。坂路での首の動きは確実に力強く速くなっている。下世話だが、勝てば賞金4億に加え3億近いボーナスも出る。やるっきゃないよなぁ、やっぱし(笑)。
ボーナスといえば仏3歳馬
オネストも勝てば4億円がもらえる。仏ダービーは道悪に泣き5着、しかし日本のダービーでいうなら
ダノンベルーガと立ち位置はほぼ一緒。パリ大賞典は58.5キロを背負い、パワフルかつ鋭い回転力で直強襲を決めた。欧州の秋季中距離GIの目玉のひとつ
愛チャンピオンSは、激しい叩き合いの末2着。
凱旋門賞は突然の大雨。日本馬も苦しんだが、
オネストも脚をとられガックリ。外国勢の中では一番追い切りが軽く、
凱旋門賞の疲労がやや気になるが、この日本勢の顔ぶれなら、ルメールJだってチャンス十分と思うハズ。
日本馬の惑星をあげるとしたら
ヴェルトライゼンデ。
鳴尾記念はレーンJを背に1分57秒7で走破。
オールカマーは、外を回った馬は壊滅。本馬も中途半端に追い上げ雑なレースとなってしまった。ただ、前走よりは今回の方が明らかに調教の精度も仕上げも上だ。
ボッケリーニは
タイトルホルダーと鎬を削った
日経賞2着を境に本格化。
目黒記念を快勝、
京都大賞典は単に相手が強すぎた。